「おもむくまま書いてみた」
つい先日、縫い上げたばかりのリネン地の白いエプロン。
数回着用して「今日も白リネンにしよ」と洗濯カゴから抜き取ったら、どういうわけか、まだらピンクに染まっていた。
「物を(よい状態のまま)維持できない」というのは、月星座乙女の最大の特徴なので、半泣きで笑うことにする。
よってわたしのクローゼットには、元白色、現藍色(染めてもらう)の洋服がわんさかある。
藍染めをしている友人たちのおかげであるが、やっぱり白い服が好き。
刹那の白の儚さよ。
「今日はカレーだから、くれぐれも気をつけて」と、自分に言い聞かせる。
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夏至から発作的に目が痒くなる。その痒さを我慢することなく思う存分擦るから、今朝はお岩さんです。
よってデフォルトで三白眼みたいな状態で、こんなに夏なのに「ビール飲みたい!」ってならない。
そう、これが身体の真の狙いである。
すなわち、肝臓が疲れているってこと。目と肝臓の結託。
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目の前のふたりは、さっきから奥歯に物が挟まったような物言いをしている。
それだと1回で済むところを30回くらい言わないとならないんじゃないかなーと思うけど、ああ、とにかくまわりくどい、なんなら翻訳したい。
でもそれはやってはいけないのです。おとなの関係だからね。
そして、30回こそ本望なのかも知れないからね。
到底、せっかちには理解できんあゆみ。
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夏は豚肉のカレーがすごく美味しく感じる。それに沖縄の豚は近所のスーパーで買っても素晴らしいクオリティなのです。
ワインヴィネガーの酸味、沖縄の黒糖、黒胡椒にクローヴ。
ごく弱火でコトコト煮込むと、鍋の表面に脂膜が浮き立つ。それが出来上がりの合図。
昨日は豚肉のキーマだった。今日は腕(グゥーヤー)肉のカレーにした。
明日は肩ロースにするかもで、明後日はチマグ(豚足)やも知れない、ってくらい旨い。
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近所に越してきたK家の南美ちゃんと、「好きなスナック菓子は何?」という話しになった。
わたしは昔から「湖池屋海苔塩」の一択なんだけど、途中から会話に入ってきたナーリーは「僕はわさビーフですね」というのでびっくりした。
わさビーフには申し訳ないが、まったくのノーマークだったから。
潤ちゃんはチップスターのコンソメだという。
ええっ?そうなの?
25年もいっしょに居て、そんなことも知らなんだー。
その間も南美ちゃんはずーっと悩んでいる様子で、突然、「あ」と言った。
お!さてはカルビーうす塩だろうか、もしくはプリングルスのサワークリームオニオン?ハートチップル?おっとっと?
「わたしは味というより、ちょっと湿気た状態であることがだいじなようです。例えば、『カール』にしても、ふにゃっとしたのを上顎でゆっくり潰しながら食べる、という具合に。なので無意識に、しばらく外気に触れさせてから食べてますね」
それは完璧にフェチシズムの話しである。
おまけに、例えば「しみせん」のような最初から狙ったものは「ダメ」だというから、なかなか審査が厳しいのもフェチである証拠。
なんだかそういうたわいもない会話から、その人の偏愛っぷりを垣間見れて「おおお」となるのは、日常のなかのギフトだなと思いました。
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昨夜、いっしょに餃子を包んでいる長女の機嫌がかなりバッドで、その自覚も自らはっきりあるから、「自分がイヤ!」となってて、原因もよくわかってて、誰のせいでもなくて。
「あーもう最悪」
「なんなのムカつくんだけど」
静かに悪態をつき、ぶつぶつ呪いの言葉を呟きながら包む餃子は、それでも端正だったからすごい。わたしならばこのもちもちの餃子の生地に八つ当たりするかも知れないのに。
長女が、「ねぇ、おかーさんに聞きたいんだけど、こんなに機嫌悪いのにそれに対して怒らないの?」と言った。
ここで、ちょっとでもおかしなことを言うもんなら絞められそう。でもなんて言ったらいいの?うーん、ここは正直に。
「それは、あなたの問題だからね、おかーさんが関係しているなら何か協力できるけどね」
「ふーん、なーるほーどー」
よかったのかどうなのか。
今朝、わたしのお岩さんの目を見て長女は、「あらぁ、かわいそうに」と慈悲深い眼差しを向けてくれたからほっとして、且つ嬉しかった。