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「入院日記 番外編」

以前、火傷で入院したときの日記をnoteにアップしました。https://note.com/kicoleo18/n/n460b4de1b920

上記を読み返しているうちに、「そういえば」と、思い出したエピソードがふたつありました。すごく印象的だったのに、どうして書かなかったんだろう。
あのときのことを蒸し返すと、たちまち眉が八の字になりますが(笑)、当時は「これも社会勉強ってやつ?」と、心の風呂敷にパタンパタンと包んでしまったからかな。


さて、あれは2回目の手術の後のこと。

主治医ではない壮年期の男性医師が、「この傷は残るねー。男だったら勲章だけど・・・」と、わたしの傷跡を横目で見ながらボソッと言ったんです。このときの彼の眼差しを翻訳すると、「あんた、不憫だねぇ」でありました。
ときは「令和」、昨今こんな差別的なことを言う人がいるのかっ!、と白目を剥きましたが、ほんとに心から悪気なしって感じで、「いいえ、わたしにとっても勲章ですが何か?」とは言わないまでも、「ははーん、さては任侠映画か東映Vシネマファンだな」と。(って、これも偏見かな)

このように、衝撃的な言葉の不意打ちをくらうと、そのときは「!!!」と一瞬固まりますが、しばらく間を置くとたちまち脳内がざわつきますね。まるで、池に餌を投げ入れられた鯉のように。



はい次!

これから手術が始まりますよー、麻酔の注射をしますよー、というタイミングで、(頼んでもいないのに)「手を握ってくれる役割の人」が登場。
そのメンズは若い研修医だと思われますが、(まさか外注の専門職ではないよね)まるでアイドルみたいなきれいな顔立ちで、「だいじょーぶですよーリラーックス、リラーックス」と囁きボイスで言いながら、全身麻酔が効いてくるまで手をほんのり握って(くれ)ました。
この行為、なかなか微妙です。
患者によって、「おばさんだったら若い男」、「おじさんだったら若い女」、と振り分けているのでしょうか。
もし仮に「結構です」って拒否したら、「あれ?つよがってる?」って思われる可能性が否めず、それは大気圏外くらい心外だし、もし「ガラスのプライド」の保持者だったらあとで泣いちゃうかもだし、ジェンダーとかに悩んでいる人だったらどうするのかなって、てかこれも保険内のサービス?とかなんとか。
なんでこれから全麻(全身麻酔)かけられる状態のわたしがこんなにいろいろ気を遣わないとならないわけ?と、ほんとうに不可解な出来事でした。

今更ながらあのとき、わたしがスマートに拒んでいだら。
「あれ、もしかしてこのサービス必要ない人もいる?」っていう気づきをもたらしていたのかも知れませんね。

うーん、100歩譲って、彼がわたしの実の孫とかだったらいいんだけど。


このふたつの出来事は、見方によっては患者であるわたしの人権に関わるんだと思うんですよ。相手違えば、おおごとになる可能性を十分に秘めています。
壮年医師の失言は特に。
若いメンズの手握りは、「あら嬉し♡」とか言えるキャラじゃなかったのが、我ながら「惜しい!」です。

「情け」って、難しいですね。


まぁ、皮膚移植や火傷跡はそれなりに目立つので、あたらめて大腿部や上腕部をまじまじと眺めると、「わー!継ぎはぎだらけじゃーん!」って思いますが、別段、隠すとか考えずに着たい服を着ています。
それに、こんなふうに「カスタム」されると、ますます「オリジナルの身体(肉体=器)」って感じ。
例えば、膝が破れたジーパンに違う色の当て布あてたとか(BOROとか大好きhttps://booknerd.stores.jp/items/639e993cc3289c5143b13a96)、欠けた茶碗を金継ぎした、てな具合に。
そこまでカジュアルではないにせよ、いっしょに(医師の腕も借りて)「くぐり抜けた」という愛着が確かにあります。
きっとこの考え方は、もともと美白などの美容関係にからっきし疎い、「きれいをキープする」って何?魔法なの?といった、素地がそうさせるのかも知れません。

とはいえ、あくまでもわたしの場合は、「そう言える」くらいの損傷であって、ましてや傷跡を軽く見ているんでもないです。


今はというと、おかげさまで傷の痛みもないし、ひきつれの箇所もそれなりに皮膚がビヨヨヨーンと伸びて、腕の上げ下げもだいぶんスムーズにできるようになりました。

ということで、入院日記はこれにてお仕舞い!


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