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シリーズ・留学を考える [4] - 生活の時間を変える意味
留学を考えるシリーズ第四回目。
生活の時間を変える意味について。
留学をして、それまで生活していた場所を移動し、出会う人が変わると、生活の時間が必ず変わる。
起きる時間も、通学時間も、授業の時間割も、放課後の過ごし方も、帰宅時間も、寝るまでの過ごし方も、就寝時間も、起きてから寝るまですべての生活の時間の使い方が変わる。
ただ地球上どこで暮らしていても、一日は24時間、一週間は7日間だ。基本的にそのサイクルで生活をする。
だから、生活の時間の使い方が変わるということは、一日24時間、一週間7日間、何をしてその時間を埋めるのかが変わるということだ。
たとえばニュージーランドの中学高校留学生を見ていると、日本で生活していたときよりも、時間があり余っているという人が多い。
日本では、長い通学時間をかけて学校に行き、朝から夕方まで授業を受け、放課後は毎日年間を通してクラブ活動があり、それからさらに塾に行き、夜遅く家に帰ってきて夕食をとり、そして宿題をして、ようやく寝る。週末もクラブ活動や塾があったり、習い事があったり、宿題をやったりして、気が付けばまた月曜日になっている。夏休みなどの長期の休校期間にもクラブ活動や宿題があるし、塾や習い事もある。
でもニュージーランドでは、通学時間が10分だったり、登校するのが年間40週間以下だったり、3時過ぎには授業が終わったり、クラブ活動は週に2回程度でしかも年間半年くらいだったり、塾などなかったり、家に帰るのが3時半ころだったり、夕食が5時半からだったり、宿題も1時間ほどで終わったり、ホストファミリーが寝る時間が9時頃だったりする。週末は土日2日間とも何も予定がない日も多かったり、年間12週間以上がスクールホリデーだったりする。もちろんスクールホリデーには、授業はもちろん、クラブ活動も習い事も宿題もない。
だから留学生活は、
暇で、
何もすることがなく、
時間があり余っている。
そして、この状態が、とても大切だ。
人間、何もすることがなかったら、何をすればいいのか?と必ず問う。そして最初留学生たちは、学校の先生や友達、私たち現地でサポートする周りの人たちに対して、それを問う。
「暇なんです。何かすることはないですか?」
「これをしなさい。あれをしなさい。」という答えを期待しているのだろうけれど、そんな答えはなかなか返ってこない。
だから、暇で、何もすることがなくて、時間があり余っている状態が続く。
そうすると今度は、「どうすればいいのか?どうすればこのあり余る時間を使うことができるのか?」と問うようになる。つまり、問いかける相手が、誰かほかの人から自分自身に変わる。
この瞬間がとても大切だ。
日本では、24時間、一週間の時間を埋めていたことのほとんどは、誰かから与えられていたものだろう。でも、留学生活では、待っていても与えてくれない。だから自分に問いかける。
「どうやって時間を埋めようか?」
目の前にあるあり余る時間は、誰かが何かを与えてくれるのを待っているのではなく、自分で探して自分で決めて、そして自分で時間を埋めていかなければならないことに気づく。
この大きな転換。
日本では、与えられたものを一生懸命こなすことが時間を使うことだったのが、留学生活では、それは自分で考えて行動すべきものなのだと気づく。この経験は、その後の人生を大きく変える転換だと思う。
そのあと、そのあり余る時間を何で埋めていくのか、あるいは埋めないのかを具体的に自分で考えるようになる。
そして自分で考えたことを、やってみる。
友達と一緒に過ごす、本を読む、ホームステイの家事を手伝う、映画を見る、散歩に行く、自主トレーニングをする、音楽を聴く、ぼーっとする、文章を書く、楽器を弾く、料理をする、など、日本では時間がなくてできなかったことをやる留学生も多い。実際にこれらは、今までの留学生たちが自分で考えてやったことだ。
ただ、自分で考えたことで時間を埋めても、それが楽しくないこともあるし、うまく時間を使えないこともあるし、継続しないこともある。
それはそれでいい。
あり余る時間を目の前にして、最初は誰かが何かを与えてくれることを期待し、それができないとわかると、自分で時間を埋めようと考える。その大きな転換を通して、何をして過ごすのかを自分で具体的に考えて、そしてやってみる。うまくいくこともあるし、楽しくないこともある。
その全ての経験を通して、時間とは何かを考え、時間の使い方を学んでいく。簡単に言えば、タイムマネージメントが自分でできるようになる。
この力をつけると、大学生になっても、仕事をするようになっても、リタイアしても、1日24時間、一週間7日間、1年365日、そして残りの人生の時間をも、自分で考えて、計画を立てて過ごせるようになる。
時間は人間すべてに平等に与えられている。けれど、その時間をどう使うのかはその人次第だ。何かを与えられるのを待っているのではなくて、時間に能動的に働きかけて、自分で時間をコントロールし、マネージメントする。
その結果、自分の生活を自分自身で変えることができ、実際に生活が変わるのを実感する。時間を通して自分の生活を自分の手の中に収めることができるのだ。
これが、留学をして、生活の時間の使い方が変わる意味だと思う。