到達できないゴールを目指す
ゴール設定が大切だといわれる。
たとえばビジネスなら、目標の売り上げを設定して、そのゴールに向かって売上をどのように伸ばしていくかを考えて、それを具体的に実行していく。
またたとえば学校の勉強なら、 試験日と試験の範囲が発表されたら、できるだけ高い得点が取れるように目標を設定し、そのゴールに向かって勉強のプランを立てて、それを具体的に実行していく。
これらの場合は、到達可能なゴールを設定して、そのゴールと現在の自分とのギャップをしっかりと見て、そのギャップを埋めるために何をすればいいのかをピックアップして、ゴールまでの時間的なプランを立てて、それを実行していく、というやり方だ。
このゴール設定のやり方は、仕事や勉強、そして留学生活などにも応用できる、とても効果的な方法だ。
でもゴール設定には、もうひとつのやり方がある。
今の自分からは到底到達できそうにないゴールを設定する方法だ。
到達できそうにないゴールを設定すると、ゴールと自分とのギャップもわからないし、当然ゴールに到達するまでのはっきりとしたプランも立てることができない。
ではどのようにするかというと、その到底到達できそうにないゴールに、自分が到達している状況を具体的に想像するところから始める。途中経過はまったく考えずに、自分は将来そのゴールに到達しているはずなのだ、と信じ込む。
そして、到達しているのであれば、今、自分は何をしているはずなのだろう、どんな状態であるべきなのだろう、と考える。
たとえば、 日本だけではなくて世界中のたくさんの人のために大きな影響力を使って働いている、というゴールを設定するのなら、今の自分は英語でのコミュニケーションぐらいはできているはずだし、世界のいろんな人たちとつながっているべきだと考える。
またたとえば、将来自分は宇宙の開発にかかわっているというゴールを設定するのなら、 今の自分は当然物理学の基礎知識ぐらいは身につけているはずだろうし、宇宙に関する知識を持った人たちと交流しているべきだ、と考える。
そして、だから今自分は英語力をつけるために勉強をするし、世界の人たちとつながる努力をするのだとか、だから今自分は物理学を勉強するためにこの本を買うのだし、宇宙に関する知識を持つ人たちとのSNSに参加するのだ、と考える。
そして、実際に今の自分の行動を、そのように変える。
到達できそうにないゴールを設定する、ということ自体に疑問を持つ方もいるかもしれない。それはゴールとは言えないとおっしゃるかもしれない。
でも、ゴールを設定する目的が、 ゴールに到達することそのものではなくて、今の自分の行動を変えることなのであれば、ゴールに到達できるかどうかということよりも、 今の自分の行動を変えることができるのかということの方が、重要なのは明らかだ。
だったらあえて到達できそうにないゴールを設定し、そこに到達している自分をできるだけ具体的に想像して、そこから今自分は何をしているはずなのか、どんな状態であるべきかを考えて、それを具体的に実行することで、自分の行動を変える。
そうすることで、時間が経てば、最初は到達できそうにないと思っていたゴールに、自分が近づいていることにいつか気がつくかもしれない。
到達可能なゴールセッティングのやり方であまりうまくいかないという人は、到達できそうにないゴールセッティングを一度試してみるのもいいかもしれない。
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