シリーズ・留学を考える [29] - シリーズ最終回 そして留学とは?
留学を考えるシリーズ最終回。では結局留学っていったいなんなのかについて書いてみたい。
留学は経験だ。これは間違いない。日本とは違う経験をするために留学にいく。だから、留学をして日本と同じことをしていては、意味がない。
日本と違う経験をする3つの条件は、場所と人と時間を変えることだ。それまで暮していた場所と違うところで暮らし、それまで一緒に過ごしていた人と違う人と過ごし、それまでの時間の使い方と違う時間の使い方をする。
そうすることで、日本とは違う経験をして、日本とは違うことを感じ、日本とは違うことを考え、日本とは違う成長をする。
だから、留学をすると、生活が変わり、その人自身が変わり、人生が確実に変わるのだ。
多くの留学生は学校に行く。語学学校、中学や高校、そして大学やポリテクニック、専門学校など。そこで日本とは異なる教育を受けることができる。
留学して日本と異なる教育を受ける意味は、どこでどんな教育を受けるのかを自分で選ぶということだ。日本の教育を受けるのもいいけれど、日本とは異なる教育を受けることを自ら選択する。それが留学だ。
日本で暮す全ての人にとって、日本の教育がその年齢でベストな選択とは限らない。いいとか悪いとかではなく、その人のその年齢に、合うのか合わないのということだ。だって、日本の中でも、学校を選ぶこともあるだろう。その時、その学校でどんな教育が行われているかはとても大切だ。それを、世界レベルまで広げるだけだ。
これからの時代、小学生の年齢では日本で教育を受け、中学高校ではニュージーランドの教育を受け、大学では米国の教育を受ける、などということもできる。それが留学だ。
たとえばニュージーランド留学では、生活も学校も全てが英語だ。
それまでの日本語に代わり英語でコミュニケーションをとるようになると、何を重要と考えるのかが変わる。何が重要なのかが変わると、日常生活の中での重要度も変わり、物事に対する考え方も変わり、そして生活に対する態度も変わる。
英語という言語能力を伸ばすのだけなら日本からオンラインでもできるだろう。でも、場所を変え、人を変え、時間を変える留学という経験のなかで、さらに英語という言語を自分の中に取り入れることで、その人の世界に対する態度が変わる。留学を通して新しい言語を身に着けるのはそういう意味だ。それが留学だ。
そして、うれしいことや楽しいことばかりではなく、悲しいことやうまくいかない経験、つまり失敗と言われるような経験も通して、自分で考える態度を身に着け、どんな状況になっても自分で生きていける力を身に着ける。それが留学だ。
もちろん、現地でサポートする人達、学校の先生、友達、チームメイト、ホストファミリーなどに加えて、日本のご家族からのサポートも受ける。そして、日本でいたときと違う親子関係、家族関係を新しく作っていく。それが留学だ。
だから、留学に行ったら、まずは自分自身を壊してみることが必要だ。それまでの場所での考え方や感じ方、常識や先入観を捨てる。それまでの人との付き合い方や関係の作り方を一からやり直す。それまでの時間の使い方を全く白紙に戻す。そこから始める。
そしてゼロから留学生活をスタートさせる。つまり自分の生活と自分自身を再構築するのだ。その時に、日本と違う場所で、日本と違う人達と、日本と違う時間の中で、日本と違う経験をすることで、日本とは違う再構築ができる。それが留学だ。
だから、留学には、特に長期の留学には、ゴールセッティングが必要だ。だって、一旦自分を壊すのだから。そこからどこに向かっていくのか、それを明確にする必要があるだろう。
でも一旦自分を壊すのだから、逆に言えば、なんだってできるだろう。それまでの常識や人の評価や自分の限られた考えから解き放たれて、大きな夢やゴールを目指すことができる。それが留学だ。
そして、留学はそれを考え始めたときからすでに始まっている。「留学したい」と誰かに告げたとき、「留学なんて意味ないよ」などという人とは、その時点で人生が大きく違うのだ。
今留学生活を送っている人、以前に留学に行っていた人はみんな、「留学したい」と思った瞬間が必ずある。そして情報を集め、誰かに相談し、最終決断し、具体的に行動して、最後は飛行機に乗って、そして留学地に降り立つ。そこまでの長い道のりを経て留学生活がスタートする。だから、留学を考え始めたときからすでに留学は始まっているのだ。
留学をすると、プロラグビー選手にもなれる。
留学をすると、日本の学校ではなじめなかった人でも、とても楽しくて、友達もでき、明るくなって、学校や教育にもフィットして、すごく成長して、卒業することもできる。
留学をすると、いろんな経験をして英語力を伸ばし、ニュージーランドの大学に進学することもできる。
留学をすると、女子ラグビー選手としてラグビー王国で大活躍することもできる。
留学をすると、「君はニュージーランドで生れたの?」と言われるくらいの英語力を身に着け、世界のどこでも働く力をつけることができる。
留学をすると、小学生からいろんな経験をして、周りの人から評価され、小さいときからの夢をかなえ、さらに高いゴールを目指すこともできる。
それが、留学なのだ。