シリーズ・留学を考える [27] - こんな留学生がいた : IELTS試験対策コースの語学留学生
「シリーズ・留学を考える [22] - NZ語学留学」でも書いたけれど、語学学校の試験対策コースで大学やポリテクニック入学を目指して勉強している留学生たちは、かなり雰囲気が違う。
ニュージーランドの大学やポリテクニックに入学するためには、学力と英語力の2つの基準を満たす必要がある。日本の高校や大学に在籍していた人は、在籍時の成績や取得単位で学力を証明することもできるけれど、英語力の証明は、基本的にはIELTSなどの英語の試験を受けて一定以上の成績を出す必要がある。
英語の試験で入学基準を満たすポイントが取れるかどうかが、人生を大きく左右するのだ。
たとえば、ニュージーランドの大学の学士レベルの入学基準英語力は、IELTSのAcademic Module で総合 6.0以上、全てのバンド(Reading、Writing、Listening、Speaking)で最低5.5以上となっている。
IELTSを受けたことがある方はご存じだろうけれど、アカデミックモジュールで6.0、しかも全てのバンドで5.5以上とるのは、かなり難しい。特にReading とWriting は、英語力があることはもちろんのこと、時間をかけて試験対策をきちんとしないと取れないポイントだ。
語学学校のIELTSなどの試験対策コースでは、大量の文章を読んだり書いたりする宿題も多く出されるし、試験のテクニックも教えてくれる。語学学校によっては、IELTSの試験管の経験を持つ先生がいるので、その対策は具体的だ。
どんな試験もそうだけれど、実力があってもスキルがないと高得点は取れない。その両方をきちんと教えてくれるのが、語学学校の試験対策コースだ。目標得点に到達するために留学生がやることは山ほどある。
弊社の留学生でもIELTS試験対策コースで勉強していた人たちがいる。みんな「他のコースの留学生とは雰囲気が違う」と言われながら、何か月も試験に向かって毎日勉強していた。
中でも、留学を終えるころに「ニュージーランドで生れたの?」と言われるくらいの英語力をつけた留学生がいた。
彼は、日本の高校からグループツアーでニュージーランドに来たのがきっかけでニュージーランドに興味を持つようになり、高校卒業後も日本で英語学校に通って勉強を続けていた。そして、ニュージーランドで暮らしながら英語を勉強するために、ロトルアの語学学校に留学した。
最初は一般英語コースに入って基礎英語力をつけていた。その時点では、ニュージーランドの大学や専門学校に入学できる英語力には正直かなり遠かった。
でも、持ち前の真面目さと勤勉さでコツコツと勉強を続け、IELTSコースに入学できるまでの英語力をつけた。そして、専門学校で勉強をする目標をきちんと定め、入学基準英語力に足るIELTSポイントを目指して、IELTSコースでさらに毎日勉強を続けた。
たまに会うと、日本の大学受験生の追い込みの時期のような緊張感を漂わせ、集中力をみなぎらせ、ヘトヘトになりながらも目標に向かって努力している、というエネルギーを感じさせていた。
そしてIELTS試験でみごと目標得点を取り、次のIntake からオークランドの専門学校に入学した。
専門学校はもちろん現地学生も多いので、最初は授業の進め方にも戸惑ったそうだ。でも、オークランドシティで現地学生と一緒にフラットで暮らし、毎日の授業に追われながらも、さらに英語力を伸ばしていった。話を聞くと、英語の発音や言い回しについても、現地学生にいろいろと聞きながら、できるだけ完璧な英語力をつけることを目指して、どんどんブラッシュアップしていったようだ。
そのときにはIELTSコースで勉強したことが基礎力となり、ずいぶん役にたったとのことだ。やはり、一定期間きちんと学校で集中して英語を勉強することは、その後の英語力の伸びを左右する。
専門学校を卒業後はニュージーランドで働きながら、将来的には永住権の取得を目指していた。
そのころになると、仕事場の同僚や新しく友達になった人から、「君はニュージーランドで生れたの?」と言われるくらいの英語力を身に着けていた。
日本から留学に来て、最初はあまり英語力がなかった人が、ネイティブと間違えられるくらいまで英語力を伸ばすのは、とても難しい。単にニュージーランドで学校に通い、毎日英語を使って暮らしているだけではそこまでにはならない。やはり、英語力を伸ばすことを毎日意識して、誰かにチェックしてもらい、間違ったり恥ずかしい思いもすることが必要だ。
そして、英語の勉強の初期にIELTSで高得点を目指すことは、モチベーションを上げ持続し、単語や熟語などの大量の知識を身に着け、アカデミックな基礎英語力をつけるために、最も効率のいい勉強方法の一つだろう。
彼はIELTSコース修了後も、毎日毎日きちんと英語のブラッシュアップをコツコツと続けていたのだ。彼の英語力なら、もう世界中どこでもどんな仕事でもできる。
今彼は日本で暮らしているけれど、いつか世界できっと活躍する日がくると思う。