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シリーズ・留学を考える [25] - こんな留学生がいた : 高校留学からNZの大学へ

長期の中学高校留学生の中には、ニュージーランドの大学やポリテクニックに進学する人もいる。

ニュージーランドの高校で、University Entrance (UE)の単位を取得すると、基本的にはニュージーランドの大学に入学ができる。ただし、大学や学部によっては、一定以上の成績や、指定科目の履修が求められる場合もある。

UEの条件は、簡単に言うと、NCEAというニュージーランドの高校生が取得する国の資格のLevel 3 を、UEの指定科目で指定単位数以上で取ると同時に、Literacy やNumeracy (英語力と数学力)で求められる単位を取得することだ。

現地生徒でもしっかりと勉強しなければUEは取れないので、留学生にとってはハードルは高い。

でも、3年間以上留学をする人で、最初からUEの取得を目指し、特に留学2年目からしっかりと単位取得をしていけば、不可能なものではない。

UEは一度取得すると一生使えるので、たとえば高校留学後に一度日本に帰って、数年後にニュージーランドの大学に進学することもできる。また、UEを持っていることで、ニュージーランドの大学進学レベルの学力と英語力がある証明にもなる。だから、一部の日本の大学の帰国生入試の出願資格にUEが入っていることもある。

2016年から3年間高校留学をしていた留学生で、現在はオタゴ大学に在籍している人がいる。彼は、留学当初からニュージーランドの大学進学を目指し、こつこつと単位を取得し、最終学年でUEを取って、ニュージーランドの大学に進学した。

留学当初とは志望学部は変わったけれど、きちんとゴールセッティングをした通りに勉強し、単位を取って、希望の大学に入った。

彼は、高校留学中にUE取得に向けて勉強するだけではなく、サッカー部に所属し、Year 13ではキャプテンも務めた。

また、Year 12のときに一緒にやったゴールセッティングで、高校の生徒会役員であるPrefect を目指すことを決め、みごとハウスキャプテンに選ばれた。Prefect は現地生徒でもなるのはなかなか難しい。留学生がハウスキャプテンになるのは、よほど他の生徒からの信頼が厚かったのだと思う。

そして彼は、「留学生活を充実させるために、できるだけいろんなことをやって、忙しくしていたい」と言い、ボランティアを毎週やったり、市のダンス大会に参加したり、学校のミュージカルに出演したりしていた。勉強、Prefect、サッカー部キャプテン、ボランティア、ダンス大会、ミュージカル。こんなにたくさんのことを一度にやっていた留学生はほかにいない。

放課後に会って話をしようと思って連絡をしても、ずっと予定が入っていてなかなかタイミングが合わなかった。それでもこまめにメッセージをくれて、「忙しいけれど元気ですよ」などと伝えてくれた。

大学に進学するときは、これからの進路についてや人生についてなど、ゆっくりと話をした。彼は、ほんとうに深くよく考えていたし、頭がいいので、抽象的な話も自分で言語化してよく理解していた。

彼と話をしていて、こんな人のことをほんとうに頭がいいというのだろう、と思った。それに、留学という経験、しかも、他の人があまりやらないことをいろいろとやった経験をプラスして、さらに成長した。

大学に入ってからもたまに連絡をくれて、ロトルアに来た時には一緒にお茶を飲みながら話をした。彼から聞くニュージーランドの大学生活の話は、とても興味深く、面白かった。それは、大学留学そのものが魅力的なことに加えて、彼の経験として語られるその内容がとても充実していたからだと思う。

たった3年間の高校留学でも、これだけのことができるし、ニュージーランドの大学にも進学できる。そして、大学に進学したあとも、高校留学の経験を活かして、現地学生とも日本の大学生ともまた少し違う、スペシャルな大学生活ができ、そして個性的な成長ができる。

そんなことを教えてくれた留学生だった。


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