ノーベル物理学賞とブラックホール、宇宙について そして恋・・・


先日、ノーベル物理学賞受賞者の発表がされた。今回はブラックホールの研究成果についてのようだ。


私は、学部生時代の卒論のテームが「中性子星と状態方程式」で、専門は中性子星などの理論天体核物理。こちらは、私が学生時代のゼミのテキスト。

この本はもう40年近くも前の本である。今は、Neutron Star(中性子星)とBack Hole(ブラックホール)の間にクォーク星とか中間の星もあると言われている。

そんなこんなで、理論核物理学研究室にて、中性子星やブラックホールやそれらの連星などを中心に研究をしてたとかしてなかったとか。(最終的に修論は、所属していた理論核物理学研究室の主題なテーマを扱ったが。)

けれども本来やりたいのは、Cosmologyであり、Cosmologyと言えば日本語で宇宙論と直訳されるように、現代では物理の研究対象となる宇宙全体の理論で、特に初期宇宙論の研究のことを言う。これがまさに、50年以上前のペンローズによるブラックホールの特異点の問題を、初期宇宙に適用したペンローズ・ホーキングの特異点の定理で有名であり、宇宙を巻き戻していくとどうしても現代物理学が破綻するポイントが出てくる。ということである。そして50年経った今でもここは完全に解明されていない。(後述するホーキング博士の理論とか”仮説“はある。)

そして、この初期宇宙論を打破するには、間違いなく今一度我々の中にある「時間軸のバカの壁」を超えなければならないはずなのである。それはアインシュタインの特殊相対論で一度時間軸のバカを越えたが、まだもう一つ超えなければならない壁があるはずである。ホーキング博士はその後、その時間軸を虚数単位にすることで問題を超えられると考えた。

現代の最新理論はよく把握していないが、主流はSuperString Theory(超ひも理論/超弦理論)の進化系であろうか。空間軸が9次元化10次元と言うような形になるのは想像の範疇内で、それほど難しくない。3次元を切り取ったのが2次元であり、次元を上げるにはその反対をすればいい。だが、時間軸が虚数だとか2次元だとかいう話になると急ににちょっと難しくなる。

ホークング博士が提唱した虚数単位の時間。虚数=Imaginry Number と聞くと、想像上の数字ではないか?そんなのは現実の自然には当てはまらない!という人がいるかもしれない。いやいや、虚数が想像上の数字だとしたら、そもそも”ゼロ“も想像上の数字であり、負の数だった想像上の数字である。0個あるとか、−10個とか人間が勝手に作り出した数字だ。

そんなせいでか、ホーキングの考えが「実証主義」で「実在主義」でないとか難しい言葉を並べて物事を難しくしようとする人たちもいる。それは、この世の中はシンプルで美しくあるはずだとする物理学の思想、科学哲学の根本に反する。中学生くらいから私の周りにもそういう人たちはよくいた。物理学とはすごくシンプルで答えはそこに書いてあるのに、なぜか難しくしようとする人たち。そして「そこに書いてあるではないか?」と言ってもわかってくれずに、難しい言葉を使ったり数字を並べたり数式を並べたりなぜにそんなに難しく考えるのであろうか?と思っていたが、それは大人になって社会に出てもそういう人が多くいる。あっ、話は逸れた。

もちろん、物理は数学のような机上の空論ではないので、自然界に当てはまらなければ何の意味もない。だから、虚数単位は自然でどういう振る舞いかを説明されて、かつ、それが実証されなければ何の意味もない。ペンローズ博士は89歳という高齢でのノーベル物理学賞の受賞となったが、やはり理論、特に実証が難しい宇宙物理学に関わる理論はなかなかその確証が得られるのに時間がかかるので、その間に高齢になってしまうものであったりする。(そもそもノーベル賞自体が、取れてもおかしく無いような候補者達が詰まりに詰まっている問題は別にあるが。)

よく物理屋を数学屋さんと一緒にされるのに違和感を感じる。物理学は狭義の意味でのサイエンス(科学)、つまり自然科学なのである。それに対して数学は自然科学ではない。「数学科なんて文学部の哲学科の横に置いておけ!」といつも言っている。理学部として一緒に入っているだけでも違和感だが、理工学部とかいう私大に多い、建築も情報も工学も一色たんのわけわからないハコに入っているのはおかしく意味不明である。いや、そもそも哲学と数学は一緒のものだった訳で、一つの科でもいいくらいだ。といつも言っているのであるが、我々の宇宙の外側まで考え出すと、もはや哲学や形而上学と大差なくなってくる気もする。なぜなら観測できないから。(いや、もしあるとしたらその名残がどこかに残っているはずで観測できないとは言えないのでもあるが。)

私が、宇宙論とか宇宙物理学とか使わずにCosmologyという言葉にこだわるには意味がある。それは、現代の意味で一般的な物理学的なCosmology、Physical Cosmologyだけではなく、本来の意味であるメタフィジカルなComologyというのが元々私が物心つく頃から考えていたことであるからだ。それが、14歳の時に、圧倒的に簡単な学問である(と思った)物理学が宇宙物理・宇宙論として取り扱っていると知り、宇宙の謎を解きたいと物理学を志したのである。「存在とは何か?」との答えに少しでも近づくためにと当時思っていたのだ。


だが、私も2年弱前に、ある人との特別な距離・シュワルツシルト半径内に入り、恋の事象の地平面を超えて、もう一瞬でもうその重力にひきづり込まれてしまったのだ。

その先にある新たな宇宙/世界からもう元の宇宙/世界に戻ってくることはできないのだ。「恋はするものではなく、落ちるものだ」とよく言っていた人がいたがそれは間違っている。「恋は、突き落とされるものだ」と思った。だがそれも違う。そう「恋は、引きずり込まれるものだ!」それは自分の意思ではなんともできない。抗うことなど到底できず、気づいたら違う世界にいるのだ。あの日あの時あの一瞬で、私の世界は変わってしまった。もう積極的に恋愛などしないと決めていたのに、神の嫌がらせにあったように抗うことのできない重力によって別世界に引きずり込まれてしまったのだ。もう元の世界には戻れない。あの

我々の宇宙は誕生して138億年と言われている。(私が学生の頃はまだ137億年と言われていたが、最近の正確な数字では138億年と言われている。)我々の宇宙という言い方をするのは、我々の宇宙の外側にも宇宙があるかもしれないし、私はあるはずだと信じている。だが、全く現在の情報ではそれは未知だ。あるとも言えないがないとも言えない。どちらにしても我々の宇宙だけでも138億年。そしてその大きさは少なくとも138億光年以上であり正確にはわかっていない。どちらにしても途方もない大きさであり、そこから考えると、その中の本当にごく平凡な銀河系の天の川銀河の、ごくごく平凡なブラックホールはもちろん中性子星にもなれないような大くもない恒星である太陽の周りを、これまた大きすぎず小さすぎない惑星・地球の中のちっぽけな人である。もう我々の人生の80年なんて誤差レベルである。80年が120年なろうが、20年になろうが誤差なのである。そもそも私が生まれてきたこともたまたまの偶然であり、あなたに出会うのも出会わないのもこの悠久の宇宙の中で考えたら誤差なのである。

けど、だからこそ「一瞬」の中に「永遠」を見るのであろう。その一瞬の刹那的な出来事にこそ永遠を見る。そんな感覚を感じるのである。

軽度ディスレクシアで若い頃活字を読むのに酷く苦労した私が、最も心打たれる長編小説である「こころ」。その作者の夏目漱石は英語の先生でもあり、”I love you”の翻訳の際の話は有名であろう。そこでは「月」が出てくる。そう、古来より恋愛の話に星とか月とかがよく出てくる。その気持ちはよくわかる。

もし私が、「死んだら星になる。」って言ったら、皆は馬鹿にするであろう。人は死んでも星になれないって。だが、そもそもそう言っている人はその星の成り立ちを見たこともなければ、どう成り立つかも学習したこともなく知らないのである。ただ、漠然と世間で言われている「常識」というモノがあって、なれるわけがないと言っているだけである。なぜに大して知りもしないことを知ったような顔で言うのであろうか。宇宙物理学の教科書の最初には星の進化というのが出てくる。それはもちろん、人間が星になるなんて書いてはいない。だが、そんなことを学んだ私だからこそ逆に、人間の魂が絶対に星にならないなどとは絶対に言えないと言える。そもそも初期宇宙論が解明されていない時点で、星が成り立つための物質の最初の元がなんなのかわかっていないということなのである。

だから、僕は死んだらあの人を照らすだけの星になる。


ちなみに最後に皆さんに質問です。

「なぜ西洋は10の3乗単位で、アジアは10の4乗単位か?」個人的にこの確信した答えはあるのですが、重要なのは答えじゃなくてその背景的なところです。ここにこそ、時間軸のバカの壁を越えるヒントがあるのではないかと思っています。何かそのバカの壁を越えるヒントを持っている人がいたら是非教えてください!

もうちょっと俗物的、現実に近い質問です。「コペルニクスとケプラーの時代に、なぜ天動説が地動説になったのか?」(それまでも地動説は唱えられていたがなぜこの時代に受け入れらたか?)「それはなぜにアジアでなく西洋で、アジアではなく欧州であったのは必然か偶然か?」前者に関しては、色々な要因が複雑に入り混じってあの時代のあの場所(欧州)に集まったのでありその幾つかの要因は自明であるのだが、それ以外に何か知っている人がいたら教えて頂きたく。これは、これからの時代、大きなイノベーションを生む環境・土壌的な要因は何か?のヒントになると思います。後者は、必然か偶然かは難しい気がしますが。。

一瞬で震える程の恋に落ち、そしてその人の真っ直ぐさに惚れ込み、そしてその輝く目と笑顔の為なら全てを捨ててもいいと思った2年。正直それ以外のことはどうでもいいことなんです。宇宙のことだって、もう今の僕にはどうでもいいことになってしまった。だから、逆に、少しでも忘れるために他のことを考えているのです。


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