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僕がドイツ地元強豪クラブからのオファーを断った理由。サッカーはレベルやカテゴリーが全てじゃない。

ドイツのシーズンはもうすぐ終わる。
僕にとってもいろいろあったシーズンだった。来季はどうしよう?そんなことをずっと考えていた。

正直オファーはいろいろともらっている。僕がフライブルガーFCを離れたことを聞いて、SCフライブルク関係者から別のパートナークラブで監督しないかとオファーがあった。育成年代ではそれこそSCフライブルクの育成チームに勝つこともあるほどのクラブ。他にも別地域の成人チーム監督のオファーもあった。

どちらも悪くない話だし、以前だったらもっと乗り気で考えていたかもしれない。

でも僕はどちらも丁重に断った。

フライブルガーFC時代、サッカーを窮屈に感じていた自分がいた。納得いかないクラブからの縛りの中で、もっと子どもたちが子どもたちらしくサッカーと関われる環境を作りたいのに、それができないジレンマに心を悩ませていた。

何もかも自分の思い通りにいくなんて思ってない。理想的に事が運ぶことが最高だとも思っていない。でも、話し合いが前向きに進んでいくこともないまま、なんとなく煙に巻かれて、違う価値観がどんどんクラブ内に増えてい来る現状を受け入れることができないでいた。

選手を成長させたい思いはきっとみんな持っている。でもそれが本当に成長につながるものなのかどうかを正しく議論できる場がないなら、そこに発展はない。そして成長への価値観が違ってしまったら、議論はどうしたってかみ合わない。

サッカーって、こんな窮屈なものだったっけ?
サッカーって、こんなギスギスした思いと向き合いながらやるスポーツだったっけ?

もっとうまくなるために、もっと強くなるために、もっと上のレベルでやるために。

そうしたことばかりに目が向いてないだろうか。
そうしたことばかりに価値観が集まっていないだろうか。

選手ってそんなずっと成長し続けないといけないものなの?
選手ってそんな四六時中観察され続けないといけないものなの?
資質があるないをそんなシビアに見続けられなきゃいけないものなの?

僕にはそうは思えない。いまはほかの選手よりもうまくないかもしれないけど、そして将来的にうまくなれないかもしれないけど、それってそんなに大きな問題なのだろうか。

どうしようもないほどレベル差があって、そこでプレーすることがその子にとって明らかにマイナスになるなら、別のクラブでプレーしたほうがお互いにとってメリットになることはある。

でもそこまで大きな差があるわけではないなら、今目の前にいる子どもたちがどうしたら、もっとサッカーを好きになって、その中でサッカーをもっと知って、もっと関われて、そうした中でもっと人間的にも成長して、成熟してというふうになる方がよっぽど大事だと思うんだ。

サッカーってなんだろう?
サッカーってなんで楽しんだろう?

当たり前の、でもとても大切で、とても根源的なこのテーマにぼくは向き合っていきたい。

だから来季はまた地元の小さなクラブだけど、僕のことを信頼して、それこそ育成コンセプト作りを任せてくれているSVホッホドルフで指導者を続けることにした。

U19監督とU12-13の統括をする予定だ。

今季U14ながらU15でプレーしていた長男は来季もU15でプレーする。今のチームと一緒に上がることもできるけど、そうするとU15年代でU17リーグでプレーすることになる。フィジカル的な差はさらに大きい。それはまだ時期尚早。来季U15には監督・コーチで3人以上スタッフがいるから、そちらに任せようと思う。

U13はひょっとしたら次男が戻ってくるかもしれない。戻ってこなくてもU12-U13年代はそこからのサッカー人生においてとても大事な年代だから、密に関わっておきたいというのがある。

選手数は結構いるからおそらく2-3チームを作ることになるけど、その中でトップチームだけに帯同するのではなく、全部の子どもたちに関わりながら、できるだけ多くの子どもたちがU14-U15へと残っていくようにアプローチしたい。

そうした流れがうまくできて、U17、U19、そしてトップチームまで彼らがサッカーをしたくて残ってくれるようになってほしい。

それにこのクラブでU19監督を続けて、やがて息子たちがそこでプレーする日が来たら。

とてもワクワクする話だ。

サッカーはレベルやカテゴリーが高ければ高いほど、自動的にすごくて、楽しいなんてわけではない。信頼し合って、つながり合って、結び付きあって、チームとして最高のプレーができたときが最幸なんだ。

そしてそうした環境にいる方が人って成長できるんじゃないかなと思う。


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