【ゆきnote】校則って何のため?ドイツの校風を懐かしむ友人の娘さんの話から考えてみた
こんにちは。中野吉之伴編集アシスタント、ゆきのです。 2021年最初のnoteをお送りします。今年もどうぞよろしくお願い致します。
読者のみなさまにとって、2021年が、なによりもまず心身ともに健康に過ごすことができ、コロナウィルス感染拡大によって強いられている日々の変化が、少しでもプラスの方向に転じる年となりますよう、心よりお祈り申し上げます。
さて、日本ではまもなく本格的な受験シーズンに突入しますね。年始に何人かの日本の友人とLINEやZOOMでオンライン新年会をしたのですが、友人の娘さんは高校入試を控えて、最後の追い込みをかけている真っ最中とのこと。
実は娘さん、友人夫妻の仕事の都合で1年間ドイツに滞在していたことがあり、インターナショナルスクールでも日本人学校でもなく、現地の公立の小学校に通っていました。
少しずつドイツ語を学びながら、言葉が通じなくても得意なことや打ち込めることを見つけた1年間の留学生活。娘さんいわく、「大変だったけれど学校が自由だったのが本当に良かった」のだそうです。
髪型も服装も自由、アクセサリーをつけてもいいしマニキュアを塗ってもいい。彼女自身は決して目立つ服装や髪型を好むタイプではないのですが、「ここではのびのびと過ごすことができそうだ」「こんな自由な学校なら、自分の居場所もきっとありそうだ」と思えたから頑張れたのかもしれません。
そんなドイツの小学校は、彼女の記憶に強い印象を残したらしく、今回の進学希望先も、とにかく自由な校風のところがいいと探して見つけた学校なのだそうです。
彼女の通っていた小学校は、ドイツの中では平均的な、いたって普通の学校です。一般的に、ドイツでは、服装や持ち物に関する校則はほとんどありません。
私の息子2人の小学校では「動きやすくて、天候に合った、実用的な服装で来ること」決まりらしい決まりといえば、たったこれだけでした。一部の学校で女子の露出の高い服装などが禁止されていることがありますが、日本のスカートの丈ほど厳密に決められているわけではないようです。
アクセサリーの着用も、体育のときに外しさえすれば自由ですし、メイクをしている子もいます。もともと多様な髪や肌の色の生徒がいますから、髪型も髪の色も自由。高緯度で紫外線の強いヨーロッパでは、帽子やサングラス、日焼け止めは禁止どころか夏の課外活動のマストアイテムです。
制服を採用している学校もほとんどありません。馴染みが薄いだけに、海外の映画やドラマ、日本のアニメやマンガに登場するような制服に憧れる子もいるようですが、自由を謳歌しているドイツの子どもたちにとっては、学校での服装や持ち物について細かいルールがあることや、ルールに強制性や罰則まであるということは、きっと受け入れがたいのではないでしょうか。
確かに私達の社会にルールは必要です。道路交通法があるのは、そのルールを作ることで安全性や快適性、効率性を確保するためです。ルールがなければ交通事故が多発し、そこかしこで渋滞が起こり、交通網が私達の生活を支えるために充分に機能しなくなるからです。
では、学校のルールはなんのためにあるのでしょうか。決められた時間に登校するとか、学校の備品は丁寧に扱うといったルールは確かに必要でしょうが、髪型や服装、持ち物やマスクの色、果ては通常見えることのないはずの下着の色まで決めなくては、学校の中での安全性や快適性、効率性は確保できないのでしょうか。そこまで細かいルールに従うことを強制される学校で、子どもは安心して学ぶことができるのでしょうか。
学校は、子どもが不合理なことを我慢することを学ぶためにあるのではなく、自分の可能性を伸ばして自立した大人になるためにある場所です。生徒の安全や健康を守るどころかむしろ損なう危険さえある校則、従うことがただの苦痛でしかない校則、合理的な理由なく決められた校則。
いったい何のためにあるのでしょう?学校は、ルールに従わない子どもを排除する場所ではなく、一人でも多くの子どもたちが、自分の価値に気づいて、それを伸ばすことのできる場所であってほしい。
友人の娘さんの合格を心から祈念しつつ、そんなことを考えた年明けでした。
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