【きちnote】僕らは子どもたちが一部大人の偏見に虐げらているのに黙っていられない。しょうがないことじゃないはずなんだ。
先日、ドイツサッカー協会公認プロコーチライセンス(日本でいうS級)を保持されている湯浅健二さんとWEB対談を行った。
サッカーの本質について、スポーツの素晴らしさについて。
いろんな刺激いっぱいの話を僕らは熱く語り合った。参加者の方からも様々な問いかけが集まり、時間はあっという間に過ぎていった。
最後に、あるお母さんがこんな話をされた。要約するとこんな感じだ。
・小2の息子が所属しているチームではみんなが出場できるわけじゃない。試合になったらもうポジションごとのプレーが決まっていて、この前まで楽しそうにボールを追いかけていた子どもたちがおっかなびっくりサッカーをしている。「サッカーってそういうスポーツだからしょうがないんじゃない?」そう言われた。「うまい子が出るんだから、練習しなきゃダメなんじゃない?」そう言われた。そうなのかなと思った。サッカーってそれで楽しいのかなって思った。自分でちゃんと考えてしたプレーをどやされて息子は泣いた。
ひょっとしたら、今でも日本では当たり前の悩みなのかもしれない。ここにあるように「うまくないなら練習しなよ」「努力が大事なんだよ」そういう論調が正論化されているのかもしれない。
でも僕はそれが正しいとは思えないんだ。
それが子供たちの成長に一番だなんて思えないんだ。
練習に一回もこなかったり、来たり休んだりだったり、練習中ずっとふざけている子を毎回、一生懸命やっている子と同じように起用しろって言ってるわけじゃない。出場時間に差が出ることだってある。
それでもね、「サッカーをしたい」といってチームにきている子どもがサッカーの試合に出るのはれっきとした権利なんだ。「勝つために」というのは理屈にならないんだ。
プレーする機会があるから成長できるんだ。それを奪う権利は指導者にない。
今回の話を聞いて、湯浅さんは最初すごく怒っていた。それはそんなことを平然とする指導者に対して、それを改善できる選択肢がない現状に対して、そしてそうしたことが起こっていることを受け入れられてしまっている現実に対して。
子どもたちが犠牲になっているじゃないか!
なんで周りの大人は動かないんだ!
そんなのがまかり通っていいわけないじゃないか!
そんな叫びが聞こえてくるようだった。ドイツで日本のそんな現状について指導者仲間に話をするとみんな同じように怒り出すことが多い。元ドイツ代表DFでデュッセルドルフ・セカンドチームのコーチを務めるルーカス・シンキビッツもそうだった。
サッカーの楽しさを大人がつぶしてどうする!
子どもたちの今を何だと思っているんだ!
子どもたちがサッカーに嫌いになるようなことをしてなんで平気でいるんだ!
自分のチームやクラブ、周囲で起こっていることじゃない。それこそ他国の話であっても、みんなそれを「しょうがないよね」だなんて言わない。言うわけがない。
サッカーというスポーツをどのように定義するのは人それぞれ違うだろう。
でも子どもたちでも、大人であっても、気持ちを解放させて、夢中になってサッカーに取り組んで、その中でいろんなことを学んで、みんなで支えあって成長していくことの素晴らしさは、ど真ん中にあるものではないだろうか。
だから自分たちが心から愛してやまない、大人になっても真剣に遊んでいるサッカーが間違って解釈されて、子どもたちがそこに巻き込まれて、サッカーの本当の楽しさに触れ合えずに嫌いになるなんてことは悲しすぎるし、愚かすぎる。
ちゃんとさ、受け止めて、やっていこうよ。
スポーツって、すごいんだぜ。本当に素晴らしいんだぜ。
※湯浅さんとのやり取り詳細はフッスバルラボコラムでアップしてあります。