
今、フィリピンでキチママと暮らしてます。(第二期)(5)
叔母の子供たち
キチママの母親の妹にあたる叔母がいる。
その叔母も破天荒な人で、借金をして逃げ回っているので、その叔母の代わりに子供たちを引き取り育てることにキチママは一人で決めてしまった。
はじめは、「クリスマスの間、子供たちをここでいっしょに過ごさせてもいい?」と期間限定ということで了承したのだが、一向に帰らないのでいつまでいるの?と聞いたら、子供たちを引き取ることにしたと、その時初めて私に打ち明けたのだった。
そのときからキチママは家族として、自分の子供と一緒に叔母の子供である6歳の(仮)太郎と18歳の花子を育てることにしたのが、子供たちの学費など結局私が払うはめになった。
実は叔母には太郎と花子の他に8歳の長男と16歳の次女がいて、その子供も初めは姉夫婦が面倒をみていたのだが、その状況もキチママがお金のことで姉と口論となり、絶縁状態となったことでさらに次女までキチママが面倒見ることにしたのだった。
もちろん、そういうことは一切私に言わず全て勝手に決めてしまうキチママであったが、別居しているのでそこまで介入するつもりはないが、ただそのために本来子供たちに当たえられるべきものを与えられなくなることは避けたいと私は思っていた。
例えば、私がキチママの家に行くたびに娘のためにお菓子を買っていくのだが、太郎が食べてしまうので、いつも娘がお腹を空かせるようになった。だからこれまでの倍の量を買って平等に太郎と娘に同じだけ食べさせるようにしているが、それでも娘より大きく、普段からあまり食べさせていない太郎が娘よりも多く食べてしまうのは、やはり気分がよくないと感じてしまう。
キチママは自分の娘であっても、叔母の子供であっても平等に接するが、私は心が狭いからなのか、そういう風にはどうしても考えられない。「娘のことを甘やかしすぎる」とキチママによく言われるが、自分の娘がやはり可愛いし、愛情はもちろん、全て尽くしてあげたいと思っているが、太郎にはそういう感情は一切ない。
ただいっしょにいるので、娘には私がほしいものを買ってあげているのを見ているので、太郎も私に言えば同じように買ってくれると思っているのか、通販アプリで写真を見せて
「Buy this(これ買って)」と言ってきたので、「お前のママに言えよ」と突き返した。
もちろんキチママにそんなことを言えば、ダメだと言われるのが落ちで、最悪怒られるとわかっているから、私に言ってきているのだが。
他にも、例えば私が使っている携帯を娘に使わせてゲームをさせていると、太郎が娘から私の携帯を奪い、娘が泣いているのを見かけたことがあった。そのときは本当に腹が立って、太郎を怒ったこともあった。
しかし姉の花子については、以前思っていたような感情はなくなっていて、逆にいつも申し訳ない気持ちになる。
18歳と言えば、彼氏を作ったり友達と遊びに行きたいそんな年頃だと思うが、ヤヤさんがいない土日は食事や掃除など全てやってくれる。それは今までキチママといっしょに住んでいた時に私がやっていたことで、今は私に代わり花子が全てやってくれている。
キチママは「育てて上げているんだから家事くらいやれ」と、馬車馬のように花子をこき使うがそれに対して文句ひとつ言わない花子はえらいなと思う。
私は何度、何もしないで命令ばかりするキチママに文句を言って包丁で刺されそうになったかわからない。
だから「いつもありがとね」とこまめにお礼を言うようにしているし、「花子が作る飯が一番うまい!」と誉めてあげると毎回照れたようにはにかむ花子が可愛い妹のように思えてきて、本当に働き者でいい子なんだと思うようになっていた。
そんな叔母の子供たちを巻き込んでさらに大きな事件が起きていたのを知ったのは、私が別居して2か月ほどあとになってからだ
第1期の1話から読む