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No.020 バンビさん(放課後等デイサービス・児童発達支援施設/児童指導員)

【色んな子と接して、その子の世界を知りたい】

1.どうして福祉の仕事を選びましたか。(法政現福に入学したきっかけは何ですか)


法政現福に入学したきっかけは何ですか

昔からなんとなく子ども系の仕事に就きたいと思っていて。
英語も好きだったので、大学は国際系の学部に進み、将来は海外の子どもと関わる仕事ができたらいいなと考えていました。

転機になったのは高校3年生の時、自殺で亡くなってしまう子どもが増えているというニュースを聞いて衝撃を受けたこと。

「これ日本やばくない?海外行ってる場合じゃなくない?」
「とにかく日本の子どもたちをどうにかしないと、これからの将来どうなっちゃうかわからない」と危機感を覚え、進路選択を考え直すようになりました。

最終的に臨床心理学部を選んだのは、この子たちがどうして自殺してしまったのかという心理を知りたいと思ったからです。

法政の現代福祉学部を選んだのは「多摩キャンパスの周り、何もない。てか草が凄い。自然がいっぱい。」というところが気に入ったからです。

私の通っていた高校も自然の中にある学校だったので、こういう環境の方が自分に合うと思いました。

あとは、高校の指定校推薦で現福が余っていたということもあります。色々と私は運がよかった(笑)

どうして福祉の仕事を選びましたか。

就活の時、親から「わざわざ大学入ってまでも福祉の仕事やることないんじゃない。いつでもできるんじゃない。」と言われていたこともあり、結局3年生の後半ぐらいまで仕事について何も考えていなかったです。

心理カウンセラーを志してはいたけれど、だからといって、「この仕事に就きたい!」という大きな希望はなかった。

ただ、企業の選考を進めていく中で、SPIを受けたときに、私にはこういう就活は向いてないなと感じました。それなら大学でやってきたことを生かせる仕事を探したいと思いました。


大学時代は、ゆるくすごしてきたけど「色んな子どもと接する」という目標は自分に課しており、親御さんと離れて暮らしている子どもたちや、一般的に普通と言われているような子どもとも接してきました。


こうした経験を就活の為に棚卸した際、「そういえば私、障害分野とか全然やってきてないな」と気付きました。

放課後等デイサービスや児童発達支援センターとかよく知らないな、じゃあやってみるかといった具合で現在の職場に就職しました。

 

【何かを達成し成長した姿を見られることがやりがい】

2.あなたの仕事について教えてください。

児童指導員として、放課後等デイサービスと児童発達支援の多機能型の施設で働いています。

どちらのサービスも同時平行で行っており、3~6歳の未就学児は朝から来所し、午後からは放課後等デイサービスの小中学生をお迎えに行きます。

仕事内容としては個別支援がメイン。そこにプラスでお出かけや外食、お買い物といったイベントの企画もします。

個別支援はその子の特性に合った活動を行っています。例えば毛糸通しのような、その子の集中力を高められるような作業を取り入れてみたり、塗り絵が上手にできるか見てみたり。

言葉があまり発せられない子には絵カードを使ってクイズ形式で発語を促す訓練をしたりもします。

会社の方針は「遊びがメイン」という考え方であり、ご家族からも「様々な遊びを通して成長したり楽しく過ごしてきてほしい。」という要望が多いです。

毎週土曜日はおでかけかパーティかクッキングの三択。

おでかけは遠出をすることが多く、クルージングをしに行ったり、電車に乗って子どもの国、江ノ島水族館、横浜の中華街等、正直少し行きづらいところにも積極的に遊びに行きます。


印象に残ったエピソードはありますか?

こだわりの強い自閉症の子とボーリングに出かけた時に、ボーリングシューズを履きたくないとパニックになってしまった。きっと、自分の靴ではないから嫌だったんですよね。

ボーリングはやりたそうにしていたので、何度もその子に説明をして頑張ってもらおうとしましたが、結局履くことが出来ず断念。

社会のルールとこちらのこだわりを擦り合わせる難しさと、やりたいことをさせてあげられなかった悔しさを感じました。

後日、またボーリングに行く機会があったので、「今度こそは!」と思いボーリング場と靴の写真を撮ってきて「〇日〇曜日にボーリングに行きます」「靴を履きます」というのを伝え続けました。

普段、絵カードだと比較的指示が入るタイプだったので望みをかけました。

そしたら当日、スッと靴を履いてくれたんです。それが嬉しすぎた。ただ、そのあとボーリングのレーンをガーっと走りだしちゃったので「走りません」っていうカードも作らせていただきました(笑)

他にもいろいろ予想外のことをやらかしてくれるんだけど笑、何かを達成できた時は嬉しいなと思います。

できなかったことが少しでも出来るようになっている姿を見るのが、やりがいというかエネルギーになっています。

他にも、プラネタリウムに行ったときにどうしても楽しくなると歌を歌っちゃう子がいて、注意を受けたこともあります。

どうにか見せてくれませんかねー。とお願いしても、やっぱり断られてしまった。

やりたいことを叶えてあげられなかったときはやっぱりショックで、社会との兼ね合いや支援の方法が難しいなと感じます。 


【視野を広く柔軟な思考を持つ大切さ】

3.大学での学びが仕事で生きていると感じるのはどんなときですか。


多くの子どもと出会ってきましたが、どの子も独自の世界がそれぞれあり同じものを見ているはずでも捉え方が違うということを知りました。

それが、私だったらこう考えるけど、この子だったらこう考えるのかなという現在の思考に繋がっていると思います。

私は福祉の仕事しか知らないというのは嫌だったので、飲食店のバイトとかもしていました。

興味のあることに没頭するというよりは幅広く経験をしていた方がいいなと。福祉脳になると考え方も偏ると思っていました。


福祉って特殊だなと思っていて、正直現福の友達少ないし現福が嫌いだった (笑)

ボランティア大好きみたいな、なんか福祉福祉している子が多いという印象があり、申し訳ないけどそれが嫌で他学部の子と仲良くしていました。

就職も福祉だけでなく様々な業界を見てから決めました。今となっては福祉だけに目を向けすぎなかったのが結果良かったと思っています。

【子どもたちが見ている世界を知りたい】

4.いま興味を持っていることやテーマは何ですか。

仕事、ですね。子どもの様子は日によって変わります。1つの作業やコミュニケーションでも、昨日は上手くいったけど今日はダメだったというのは日常茶飯事。

私もあまりにも支援が通らない時、つい怒りがちになってしまいますが、その度に相手の気持ちを思いきれていないと反省しています。

やっぱり、うちに来てくれている子どもたちの世界をもっともっと知りたい。1年半ほど一緒に過ごしているけど、まだまだ全然見えていないと思っています。

パニックになった時や嫌がっている時、この世界がこの子たちにはどう見えているのか。

また、そういった感情を示す瞬間だけではなく日常生活の中でも気になることは多いです。

例えば、この子たちにとって階段は段差として捉えられているのか

この声量では内容のないただの爆音にしか聞こえないんじゃないか

こういう言葉を掛けたけどこの子には違う意味合いに聞こえているんじゃないかとか

考え出すとキリがないぐらいたくさんあります。
 

あとは生活している中で全然バリアフリーじゃないなって思いますよね。車椅子でのおでかけでも、段差ばっかりで移動が難しかったり、電車も中が狭いので乗車に躊躇してしまう。

道ももう少し平らになるといいなと思います。ガタガタしていると、車椅子ユーザーはただでさえ座りっぱなしでしんどい思いをしているのに、より乗り心地が悪くなってしまいます。

せっかく外に出られたのに、楽しいより辛い気持ちが勝っちゃったら意味がないと思うので。

日本のバリアフリー、もっと頑張ってほしいなと思います(笑) 

【子どもたちと一緒に楽しく経験していきたい】

5.今後の目標を教えてください。


別にプロフェッショナルになろうとは思っていないです。

専門職として極めるのは、何となく自分の目指したい像と異なる気がしてしまいます。

とにかく、楽しみたいなと思います。
子どもに対する考え方や接し方が悪い方向に行かないように、凝り固まらないように気を付けつつ、もっと楽しいことをいっぱいしていきたい。

子どもとこれから経験していきたいことをいっぱい思いつけるように、アンテナを張ったり好奇心は持ち続けたいと思っています。


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