【稽古場レポート② 子どもも大人もびっくりが盛りだくさん!to R mansion『走れ☆星の王子メロス』】
世界中で人気を博しているパフォーマンスカンパニー、to R mansion。10月19日に開幕を迎える『走れ☆星の王子メロス』は、『星の王子さま』と『走れメロス』を大胆にコラージュした作品です。
大人も子どもも楽しめる、演劇・サーカス・ミュージカル・ライブ演奏と、想像力は無限!舞台はどこまでも自由で何でもあり!と思わせてくれるステージアート。前回は稽古が始まってすぐの様子をレポートしました。
今回は本番を約十日前に控えた通し稽古の様子をお届けします!
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稽古場を訪れた時、私は本当に何でもありなんだ……とあっけにとられた。稽古場には、独特な衣装を身に付けた出演者たちと、どのように使われるのか想像のつかない沢山の小道具、そしてピアノとチェロの重層的な音色が響いていた。
通し稽古が始まる。舞台上にto R mansionの野崎夏世さんが現れ、観客に語りかける。このお話には観客を巻き込む要素が散りばめられている。語りかけられた「私たち」は、一緒にこの物語の世界へ入り込んでいく。
この物語は、『星の王子さま』と『走れメロス』が原作になっている。どちらも多くの人に愛されてきた物語だが、テイストの違うその2つの物語が素敵な部分が重なりあっている。
主人公“星野メロス”は親友を人質に取られ、妹の結婚式から急ぎ帰るが、乗っているロケットが壊れてしまう。途方にくれる中、個性豊かな人物たちと出会っていく。
曇りなき眼で、純粋でまっすぐな言葉を投げかける星の王子さま。マイペースで、ちょっと抜けている所が笑いを誘う羊。高貴で美しい、王子の大切な薔薇。コミカルでチャーミングな動きで、人々の心を惑わそうとする悪魔。その他にも色々な登場人物たち。
そして、汗をかいて一生懸命走るメロス。その姿を見ていると、手に汗握って応援したくなる。
サーカスのようなシーンも、この作品の魅力の一つだ。to R mansionは国内外の演劇祭やストリートフェスティバルに出演しており、そのパフォーマンスは多くの人に愛されている。くるくる回り、宙を飛び、踊る。あっという間に色んなことが次々起こり、シーンが移り変わっていく。アクロバティックな動きに、初めはつい、「えっ、大丈夫!?」とひやっとしていた私も、いつの間にか、次は何が起こるんだろうと夢中になっていた。
この作品は、ストレートだ。そして、演劇、サーカス、ミュージカル、ライブ演奏、全ての要素が100%の力で詰め込まれている。だからこそ、理屈を抜きに素直に受け取ることができ、誰でも全力で楽しめる作品だと思う。日常生活にないどきどきを感じたい方へ、劇場に足を運んでみて欲しい。