【出演者インタビュー】ティーファクトリー『ヘルマン』
2024年1月18日(木)~28日(日)、吉祥寺シアターにて上演されるティーファクトリー『ヘルマン』。『少年の日の思い出』で知られ、道徳的なイメージを持たれるヘルマン・ヘッセの、アウトサイダーとしての人生を描く演劇作品です。本作の上演を記念して、出演者の灘波 愛さんと朝田百合子さんにインタビューを行いました。その様子をお届けします!
――お二人は本作で初めての共演だと伺いました。まだ顔を合わせてから日が浅いところではありますが、お互いの他己紹介をお願いします。
灘波)朝田さんは今までミュージカルで活動していらっしゃって、演劇の舞台は今回が初めてだそうです。とっても可愛らしく溌溂としていて、初対面にも関わらず頭をポンポンしてしまったのですが、それも優しく笑って受け止めてくださいました。
朝田)灘波さんとは役柄的に2人で同じシーンを作ることが多いのですが、いつも優しく受け止めてくださいます。自分から行かなくても人を引き付けるタイプの方だと思います。読書やコーヒーもお好きということで、知性を感じる“魔性の女”感が漂っているなと思いました。役柄的にも灘波さんのそういった部分が最大限引き出されているシーンがあるので、ぜひ楽しんでいただければと思います。
――灘波さんはヘッセ作品が愛読書だと伺いました。お二人の好きなヘッセ作品について教えてください。
灘波)『知と愛』という作品が好きです。芸術家の「ゴルトムント」と精神派の「ナルチス」は対照的でありながら、どちらも魅力的な人物です。私はどちらかというとナルチスに似ていると感じます。でも、ゴルトムントに憧れてお芝居をやっているように感じる所もあります。『ヘルマン』に関わることが決まってから、改めてヘッセの作品を読み漁りました。どれもやっぱり面白くて、特に今回初めて触れた『荒野のおおかみ』のファンになりました。
朝田)私がヘッセの中で好きな作品は『デーミアン』です。「エーミール・シンクレール」という男の子がデーミアンという男の子に出会って、自分の中の世界が変わっていくという作品です。『デーミアン』では自分自身をどこまでも追求していく姿が描かれています。その作品に影響されて、自分の人生をどう生きていきたいのか、もっと追求しなければという思いが湧いてきました。
――『ヘルマン』ではアウトサイダーとしてのヘルマン・ヘッセが描かれますが、ご自分の「アウトサイダー」だと思う部分はありますか?
朝田)芝居をしている人はみんな「アウトサイダー」なのではないかと思います。社会に属してはいますが会社という組織には属していないところが、『荒野のおおかみ』のようにアウトサイダーだと思います。
灘波)すごく恥ずかしいので、かなりオブラートに包んで表現すると、喜怒哀楽の受け止め方が変わっていると自分は感じています。両親に甘やかされて叱られずに育ったので、私の中で勝手に理想の両親像みたいなものがあります。叱られたい願望というか、怒っている人を見ると“これは愛情表現なのか”と受け止めてしまうことがあります。
――初めて台本を読んだ時の感想を教えてください。
朝田)想像以上にヘッセの言葉が散りばめられているなと感じました。小説からの言葉がとても多く取り入れられていて、色んな小説から再構築されて新しい形になっているのがとても面白かったです。これから映像や踊りと組み合わさって具体的になっていくのが楽しみだなと思いました。
灘波)どのように立体的に立ち上がっていくんだろうと、すごくわくわくしました。ヘッセの作品が、時系列を追って流れるように構成されている台本です。アウトサイダーでありながら、平和主義者であったヘッセの生きざまが感じ取れるような作品になっているのではないかと思います。ヘッセの言葉や世界への対峙の仕方が、今のこの時代にもとてもピッタリなのではないかと個人的には感じています。
――インタビューをご覧の皆さまへメッセージをお願いします。
灘波)ヘルマン・ヘッセ好きの方も初めて触れる方も楽しんでいただける作品になっていると思いますので、ぜひ1月、吉祥寺シアターにて皆様のご来場をお待ちしております。
朝田)ヘッセの言葉が、自分たちの小さい時の記憶や誰もが持っているアウトサイダーな部分を寛容してくれるような作品になっています。ぜひ、どのような世界観になっているのか楽しんでいただければと思います。1月、吉祥寺シアターにてお待ちしております。
――本日はありがとうございました。