2023/5/7 sun 弾き語り

こんばんは、きっかです。
普段の話し声は細いのに歌う時は声量がすごくなる系のシンガーです。

つい先日、イベントでステージに立って弾き語りをした。
人前で歌うのは10年振りくらいで、ステージに上がるとなるともう20数年以上振りだった。
あまりにも長いブランク。もはやブランクというよりは「引退」と表現した方が適切なんじゃないだろうか。なんなら少し嫌な気持ちになって離れていた時期もあったんだし。
そういった事情もあり、それはそれは久しぶりに緊張した。ド緊張。
ド緊張ってなんかドキンちゃんみたいだね、食パンマン様とか言いそう。
そんなこんなで本番前夜は浅い眠りと覚醒を繰り返し、カーテンの隙間から滑り込む明かりが白んでいくにつれて興奮が高まっていく時のあの胸のザワザワを、実は楽しんでいたりもした。

とまぁ、前置きはこのくらいにして、せっかくそういう機会に恵まれたので、これを機にセットリストの公開とその曲を選んだ思惑やらその曲に対してのアレコレを交えて記事にしてみようと思い立った。
大体はお酒を舐めながらキーボードを叩いているはずなので、乱文や誤字脱字はご容赦を。

1.川べりの家/松崎ナオ
2.話がしたいよ/BUMP OF CHICKEN
3.Across the Universe/The Beatles
4.春の歌/SPITZ

上記が本番におけるセットリスト。
当初は5曲演る予定で、実は曲順も違ったりした。
そこら辺にも触れつつ早速いってみよう。

1.川べりの家 / 松崎ナオ

ご存知の方もいらっしゃるとは思うが、NHKのドキュメンタリー72時間の主題歌だ。
実はNHKのドキュメンタリーが結構好きで、手持ち無沙汰な時にはBGM代わりというか、無音は嫌だけど音楽を適当に流すのも違うかなっていう時に頼ったりしている。
世界ネコ歩き、街角ピアノ、ふれあい街歩き…平和だよね。
映像の世紀も好き。ちょっと脱線したね。

今回選んだどの曲にも言えるんだけど、なるべく聴いたことがある、もしくは聴いたことがありそうな選曲にしようというのは意識した所。
客層も年齢高めという前情報もあったし、いくらテレビ離れが進んでいるとはいえNHKの力を信じてやることにした。
好きな曲だったし、この曲を男性が原曲キーで一発目にやったらお客さんびっくりしてくれないかなー…っていう悪戯心もあった。当初は一発目に演る予定ではなかったんだけど。
その思惑が当たったかどうかはわからないけれど、ミックスボイスで一曲通すっていう初めてのチャレンジもよかったかなって思っている。

2.話がしたいよ / BUMP OF CHICKEN

今回、弾き語りをするにあたって一番最初に決まった曲。
実はこの曲をずっとアルバム曲だと勘違いしていて、
「わからない人もいるかもしれないけど、バンプだし大丈夫でしょ!」
って感じで、エイヤッ!とセットリストに入れることを決めた。
後々、シングル…しかもトリプルA面シングルだということを知ってとても申し訳ない気持ちになったけど、これだけいい曲だもん何ら不思議ではない。
しかも映画「億男」の主題歌だったんだね。

歌詞の内容としては「離れてしまった誰かを思い、胸の中にしこりのように残る遣る瀬無さをなんとか受容しようとしている」心象を描写しているのかな、と思った。
さすがに40歳を目前にしているので、どうしようもない別れ方をしたとか、話したいのに気軽に話せる距離にいないとか、そういう存在はそれなりにいて、そういった事実をそれなりに上手に割り切れるようになった。なったと思いたい。
それでもこの曲を聴いた時に「あぁ、これだ」と思った。
君が今ここにいたら、どんな風にしていたんだろう。
忘れたくないのに、記憶はどうしても薄れていく。
抗いようのないことになのになんとか歯止めをかけようとしても、それに対しての現実の圧倒的な無情。
仕方ない、どうでもいいとでも言ってしまわなければ割り切れないことの多さ。
あぁ、ももさん(飼い猫)に会いたいぜ。

話がしたいけどそれがもう叶わない人、みんなもいるでしょ?おれもそうだよ。
それに対してみんながどういう気持ちでいるのかはわからないけど、そういう気持ちがあるってことはおれもわかるよ。
…という気持ちが伝われば素敵だな、と思っての選曲。

3.Across the Universe / The Beatles

英語がわかんないから、とにかく歌詞を覚えるのに苦戦した。
日本語の歌詞ならどんなに時間かかっても3日くらいでいけるのに、この曲は3〜4週間くらいかかったんじゃなかろうか。
ご存知ビートルズの名曲中の名曲。ジョン・レノンも「最高の歌詞が書けた」って言っていたんだって。
理解を深めようと思って色々な方の翻訳を読んだりしてみたんだけど、こういうのは洋楽ならではの楽しみ方だよね。

この曲を選んだ経緯としては、なんか一曲くらい洋楽やりたいなーと考えていた所にルーファス・ウェインライトのカバーバージョンがたまたま耳に入った時に「これだ!」って思った。
本当はイントロも端折って曲に入ろうとしてたんだけど、「いやいや、それは…」と思い直して一生懸命にあのフレーズを練習して本番を迎えたら盛大にミスったんですよ。
「無理はするもんじゃねーな」っていうのと「いやいやチャレンジ精神は大事よ」っていう気持ちの間で、今もどっちが正解かはわからないまま。
でも、やっぱり楽しかったし、この曲を選んで正解だと思った。

“Jai guru deva”という歌詞には「我が師に栄光あれ」という意味があって…何語だったっけ。
ロックンロールの素晴らしさを教えてくれた、あの…彼がしばらく活動を休止するというニュースが飛び込んできてから、このフレーズを口ずさむ時には少なからず祈りのような気持ちが胸にある。
本番当日もそれは変わらなかった。
一日も早い快復を、そして再びステージに立つ姿を目にする日を待っています。

4.春の歌 / スピッツ

季節柄、春っぽい曲をやらねぇワケにはいくまい…ということであれこれ考えていた。
「LUNKHEADの桜日和?葉桜ファイター?」
「a flood of circleの春の嵐?」
「The BirthdayのSAKURAもいいよなー…」
「しかし、これらの曲を琴似のイトーヨーカドーにたまたま居合わせた人がわかるのか…?」
「春の曲を選ぶのってこんなに悩むんだなぁ…」

季節や時候に沿う曲というのはパワーがあって、魅力的である。
前述した敬愛するミュージシャン以外にもやはり春を歌った曲はどれも大好きだ。
だからと言って自分が知っていて、いい曲だなぁと思ってもそれが万人に通用するわけではないことがわからない程に若くはない。
演りたいものと、聴いてもらう場に見合ったものとはまた違う観点から判断しなければならないよな…と思案した結果、スピッツの春の歌に落ち着いた。

そして実は、当初はこの曲をオープニングに演ろうと思って練習していたんだけれど、通しで練習している内に違和感を覚えるようになった。
その違和感の正体というのは「話がしたいよ」と「春の歌」の歌詞に潜んでいて…

心からどうでもいいんだ そんな事は
話がしたいよ / BUMP OF CHICKEN

「どうでもいい」とか そんな言葉で汚れた 心 今放て
春の歌 / スピッツ

「1曲目で心放ったのに、その後でまたどうでも良くなっちゃうのはどうなの?」ってすごく引っかかりを感じていた。
セットリストを組む時に、ある程度の整合性というかストーリーの流れはできるだけ大事にしたい性分で、今回みたいに色んなミュージシャンの曲を詰め合わせるとなると仕方なくなってくる部分…例えば世界観がどうとか、イメージがどうとか、そういう所は出てくるんだけど、この「どうでもいい」は結構クリティカルな問題だぞ、と。
あれこれ思案している内に、当初ラストに予定していた斉藤和義さんの「歩いて帰ろう」をバンドセットで演ることになって、その空いたスペースに「春の歌」がストンと収まってくれたという感じ。
結果的には気持ちいい流れのセットリストが組めたなぁ、と振り返ってみる。

ちなみにこの「春の歌」、季節の春のことを歌っているようで「春=青春」なのではないか、と練習している内に思うようになった。
ここでの春というのは言ってしまえば「チェリー」のことなんだけど、この2曲はなんとなく構成が似ているなぁ、と。
2サビ後のメロの歌詞がどっちも「歩く」ことだったり、どちらも唐突に「春」というワードが出てくる。
「悪魔のフリして切り裂いた歌」というのはこの「春の歌」なのかも…とか。
リリースは春の歌のが後なんだけど、スピッツってそういう曲同士の関連付けとかするんだろうか。
詳しいことはわからないけど、ちょっとだけ考察してみたりして、そういう面でも楽しめた曲でした。



というわけで、今回演った4曲についてのアレコレをまとめてみました。

一応プレイリストも公開しておこうかな。
少し長くなってしまったけど、読んでくれた上でプレイリストも楽しんでもらえたらなぁ、と。
この企画も次回があるのかは全くの未定なんだけど、お目にかかる機会があればその時はお付き合いくだされば。

それではそれでは、また会いましょう。

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