リアルの世界にラブコメ的展開は存在しない
恋ってなんなんだ。
一時の思い込みなのか、強迫観念か、ただの性欲か、気の迷いなのか。
こんなに苦しいものだったなんて知らなかった。それとも忘れてしまっているだけなのか。
この感情をなかったことにできたら、どんなにいいことか。
『傷つけるより、傷つく方がいい。諦めることには慣れている』
感傷的で好きな青春ラブソングの歌詞。
世の中の出来事はすべてメッセージである。
何かを僕らに伝えるために起きている。としたら、この苦難は何を教えてくれているのか。
こんなにも胸が締め付けられ、息が入っていかないほどに。
この世界の理不尽さ。無情さ。現実の厳しさ。人間の心の難しさ。ああ、この世界は無慈悲である。
そんな世界をいかに生きていくべきか。僕らは心を強く保たないとならない。
現実世界には、ラブコメなんて存在しない。
おとぎの国の話である。
リアルには、ヒロインが頬を赤らめることはなんてないんだ。
リアルには、相合傘イベントも、自転車二人乗りイベントも、お見舞いイベントもないんだ。
リアルには、両想いですれ違い続けて、ドキドキし続けるなんてないんだ。
リアルには、女性から好かれるなんてことはないんだ。
少なくともぼくの生きてきた世界では、一度たりともなかった。
結局、全て自分なのだ。ああ、なんとも世知辛い世の中である。
しかし、ラブコメは男性視点で、三人から五人のヒロインから好意を寄せらる。
全員が選べないほどにとっても魅力的なヒロインであり、非現実だからこそ視聴者はハーレム展開を望む。けれど、やはり一人を選ぶ。
つまり、ラブコメには複数の負けヒロインが存在するのだ。
主人公とメインヒロインの関係がうまくいくことを望み、その点に注目しがちだが、ぼくらは見逃している。そこに負けヒロインがいることを。
そして、彼女たちの感情を。どれだけ辛い想いをしているのかを無視してしまっている。
でも、今の自分には分かる。
負けるとかじゃないけれど、選ばれないこと。恋が、好きが実らないことの辛さを。ああ、辛いよね。
ときめかせてもらって、楽しませてもらっている大好きなラブコメは、本来はあんなにも辛いものだとは。。。
昔に読んだ自己啓発書に書いてあった。
「恋をして恋を失ったほうが、一度も恋をしなかったよりもましである」
こんなの嘘である。
恋なんてしない方が、ましである。