今目の前にあることに全力になるだけ!と笑顔で語る、管理者兼サ責、小倉さんのインタビュー
ななゆめホーム門真浜町でサービス提供責任者として働く、小倉梢(おぐらこずえ)さん。
利用者の方々に寄り添いつつ、現場と運営を統括する役割を担い、施設管理者として日々奮闘しています。
小倉さんをこの道に導いたのは、「絶対に介護に向いている」という友人からの力強い一言だったそうです。
その言葉に背中を押され飛び込んでからは、福祉業界一筋を貫き、経験を積み重ねてきました。
「自分が幸せでなければ他人を幸せにすることはできない」
そう笑顔で話す小倉さんの、働き方や仕事に対する想いについてお伺いします。
[取材・執筆・校正]
株式会社ストーリーテラーズ 栗田加奈子
「ななゆめで、笑顔の輪を広げたい」
小倉さん:最初に、私と“ななゆめホーム”の出会いからお話しますね。
友人の一言で福祉業界に足を踏み入れ、最初は特養やグループホームで勤務をしていました。それから社会福祉協議会で訪問介護の職に就き、その後は出産・育児でしばらく仕事をお休みします。
そして子育てもひと段落ついた頃、求人誌を見ていた私の目に飛び込んできたのが、“ななゆめホーム”という施設名でした。
“ななゆめ”と口に出したときの響きの可愛らしさ、そしてその名前の雰囲気に惹かれて、条件も見ずに施設に突撃したのを覚えています(笑)。
このようにインスピレーションで動くところもある私ですが、今、とても楽しく仕事に取り組めているということは、「自分の感覚を信じて正解だった」ということですね!
私はこの施設でたくさんの人を笑顔にしたいと思っています。
そのために大切なのは、まず自分が楽しむことです。
なぜかというと、利用者さまやスタッフとの強い絆を築き、笑顔を増やし、居心地の良い空間をつくることが、私自身の幸せへと繋がるからです。結果、笑顔の輪が広がるので、みんながハッピーとなるわけです。
「私の仕事は、利用者さまを笑顔にすること」
小倉さん:今でこそ、笑い声が聞こえる施設になりましたが、私が入社した当初は、今とは全く違う雰囲気でした。笑顔がなく、暗くどんよりとした施設は、私がイメージした“ななゆめホーム”ではありませんでした。
「このままではいけない」と専務の島内さんが大きく舵を切り、ヘルパーの要求や意見をバランスよく取り入れて運営するようにした結果、スタッフ間の距離はグッと近くなり、施設の雰囲気も明るくなりました。
そして専務は、管理者でありながら管理業務が苦手な私に、「スマイルプロジェクト」という事業部を立ち上げてくれました。目的は、利用者さまを笑顔にすること。レクリエーション活動に力を入れる事業部で、私は企画から実行まですべてを担当することになったのです。
そのプロジェクトのなかで、利用者さまの結婚式のようなイベントを開催させていただいたことがあります。
利用者さまは髄膜癌腫症(ずいまくがんしゅしょう)の末期患者で、ご入居時には余命3~4ヶ月と診断されていました。
前いた病院ではスタッフを信用できず、言葉遣いも荒くなり、介護拒否や半年間入浴拒否、食事も2割程度の摂取と自暴自棄になられていました。
そのような状態の利用者さまが闘病生活を頑張れていたのは、パートナーの支えがあったからです。彼は「あいつに最後に何かをしてあげたい」と言い、その願いを叶えるために「結婚式を挙げてみては?」と提案しました。
イベントが決まってからは、準備をはりきる毎日を送ります。指輪を何時間もかけて選び、当日着る服も自分で選び、パートナーとの特別な日に向けて準備をしました。食事も当日までたくさん摂取され、努力されていた姿は、今でも忘れられません。
そして当日、部屋のキッチンの下に指輪を隠し、「食事のためにお茶漬けを取ってほしい」と頼むことで、指輪が現れるサプライズを企画しました。スタッフが見守る中、照れくさいながらも、「パパの10年分の思い、受け取ってくれるか?」と初めてパートナーに自分の気持ちを伝えることができ、結婚式は感動のうちに大成功を収めることができました。
指輪を渡した後、「ななゆめのスタッフのおかげで、自分でも信じられないことを実現できた」と、最高の言葉と笑顔をいただきました。
その後、しばらくして利用者さまはお亡くなりになられました。最後に彼の夢を叶えることができて、本当に良かったと思っています。
このように利用者さまの願いを叶えていくことができるのは、看護スタッフの存在が本当に大きいですね。
ななゆめホームでは、24時間体制で看護師が常駐し、難病の方や呼吸器が必要な方でも安心してご入居いただけるような体制を整えています。看護と介護が密に連携していることが、この施設の大きな強みだと感じています。
また、ある利用者さまは、日常生活の中で小さな幸せを見つけていました。
それは、2週間に一度施設に来る移動販売から購入できるお煎餅でした。しかし、運悪くその日は売り切れてしまい、予約をして部屋に戻りました。
そして、その晩に亡くなられました。
2週間後に届いたお煎餅を、私が代わりに受け取り、涙を流しながらいただきました。
正直、悔しかったです。このお煎餅をその利用者さまに食べてもらいたかった…私たちは、洋服を一緒に選んだり、笑い合ったり、普段の何気ない日々を共に楽しんだ仲でした。
その利用者さまの穏やかで幸せな日々の中に、私も参加できていたら、嬉しく思います。
普段見落としがちな小さな瞬間や、日常のちょっとした一コマにも、幸せは存在します。私たちは、そうした想いの一つひとつを大切にとらえ、取りこぼさないよう、両手を広げて、利用者さまやそのご家族と真摯に向き合っていくのです。
それでも心が挫けそうなときは、嵐の大野君の言葉を思い出します。
「今、目の前にあることを頑張れない人は、何も頑張れない」
シンプルで力強い言葉ですよね。この言葉を胸に、これからも自分の仕事に全力で取り組んでいきたいと思います。
「家族を預けたいと思える施設をめざして」
小倉さん:利用者さんの幸せに寄り添うのはもちろん、これからは、ご家族の方にも「ななゆめに入れてよかった」と思っていただけるように頑張っていきたい。
施設に家族を預けるという決断は、家族にとって大きな罪悪感や負担を伴うことが多いですが、そう感じさせない施設をめざしています。
ちょっとやそっとの困難では、私は諦めませんよ。
「ピンチはチャンスの顔をしてやってくる」って大野君も言ってますし(笑)、どんなときでも全力で頑張るしかないですね!
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栗田:嵐の大野君の言葉に支えられながら、自分にできることに全力で取り組む小倉さん。利用者さまのお話のときは涙を流しながらも、仕事に関しては最後まで笑顔で楽しそうにお話して下さった姿が印象的でした。
今後も定期的に、「きぼう」を身近に感じて頂けるようなストーリーをお届けしてまいります。次回は代表円市さんのインタビューを予定しています。
ぜひ、次回の更新もお楽しみに!