誰のための働き方改革か 〜改革して誰が得するのか〜
働き方改革が声高に叫ばれ、日本の様々な業種の労働環境に影響を与えています。
働く人のための改革であるはずが、実際はその逆に働く人を苦しめる改悪になっている。
なぜそのように思うかをここに書き留めます。
同じ思いの方と共感できれば幸いです。
働き方改革とは何か
そもそも働き方改革とは何なのでしょうか。
働き方改革とは、労働環境を改善し、働く人々がより良い働き方を選択できるようにするための取り組みです。
具体的には、以下のようなポイントがあります
①長時間労働の是正:残業時間の上限を設け、労働者が過度な労働を強いられないようにします。
②柔軟な働き方の推進:テレワークやフレックスタイム制など、働く時間や場所を柔軟に選べる制度を導入します。
③公正な待遇の確保:正規雇用と非正規雇用の間で不合理な待遇差をなくし、すべての労働者が公平に扱われるようにします。
これにより、働く人々が健康で充実した生活を送りながら、生産性を高めることが期待されています。
改革が必要になった背景
それでは何故働き方改革が必要とされたのでしょうか。
その背景は、生産年齢人口が総人口を上回るペースで減少して、このままでは国全体の生産力低下が見込まれることから、今働く人は働きやすく、今働いていない人は働きはじめやすくし、働き手を増やすことが急務となったことがあげられます。
働き方改革の結果
この問題を解決するため働き方改革として①〜③の取り組みが始まったわけですが、本当にこれで問題が解決しているのでしょうか。
まず ③公正な待遇の確保についてですが、私が無知なだけなのですが、何かが動いて変わったという認識が全くありません。
ですので、残念ながら改善も改悪もされていないと思っています。
次に②柔軟な働き方の推進についてですが、確かにコロナ禍を経てテレワークなどに対する世間の認知は広まりましたし、実施する会社も増えたというのも事実でしょう。
しかし、コロナが落ち着いた現在も制度としてきちんと続けている会社は数少ないのでは無いでしょうか。
一部だけが柔軟に対応しても、全体に対するインパクトは弱いでしょう。
最後に最も問題だと考えている ①長時間労働の是正についてですが、これは、労働者が過度な労働を強いられないよう残業時間の上限を設けるというものです。
ところで、過度な労働とはいったい誰から見た基準でしょうか。
人によって感じ方は様々あるなかで、一定の上限を設けることに違和感を隠せません。
②柔軟な働き方の推進で、働く時間や場所を柔軟に選べるとしているにも関わらず、残業時間の上限は一定で選べないのはなぜでしょうか。
人によってはその上限でもまだまだ残業時間は多すぎると感じるでしょうし、逆に少なく感じる人もいるでしょう。
一昔前の皆で残業を頑張ることを強制される会社から、皆で残業しないことを強制される会社に変わったことで、苦しむ人が変わっただけでは無いでしょうか。
実はここでおかしな表現があります。残業をすることが苦しいのはわかりますが、残業をしないことが苦しい状況というのは存在するのでしょうか。
一見、残業をしないならばそれに越したことはない。残業をしない方がいいに決まっていると思いがちです。
しかし、現在の日本の給料体系から考えるとほとんどの場合で残業が減るイコール給料が減るという式が成り立ちます。
つまり働き方改革が浸透して日本から残業が減れば減るほど、日本人全体の給料が減っていくということになります。
よっぽど高い給料をもらっていたか、別に収入源があるなどで無い限り、給料が減ると経済活動に影響して生活に困ることにも繋がります。
結局、残業が多くて困る人もいれば、残業が少ないと困る人もいる。それはその人の状況によって変わるので一概には言えないということがわかります。
働き方改革という指示
では何故残業しないことを選ぶ人と残業することを選ぶ人が共存できるようにしないのでしょうか。
さて、ここで経営者の見方で働き方改革を見てみましょう。
経営者からすれば、 ②柔軟な働き方の推進や ③公正な待遇の確保は負担が増えるだけです。
様々な働き方をされると管理コストが増えるしそのやり方も確立していない、待遇差が無くすということは単純に非正規のコストが上がるということなので経営者からすると耳の痛い話です。
①長時間労働の是正も、労働時間が減れば生産量も落ちるため、売り上げが下がります。むしろ一番致命的な要素とも言えるでしょう。
これだけだと経営者が働き方改革をするメリットが全く無いように感じられます。
そこで、経営者は働き方改革の生産性を高めるという部分と長時間労働の是正を組み合わせて、生産性を高めることで残業を減らそうという発想を生み出します。
これが実現すれば残業は減らしながら生産量は減らさない、つまり単純にコストカットができます。
経営者にとってこれは朗報です。
逆に労働者にとって、経営者が声高に働き方改革を叫ぶときは注意が必要です。
つまり、働き方改革は経営者にとって都合の良いツールになる
という事になります。
もういい加減にしませんか、
本質的にズレた働き方改革。
というのが心からの叫びです。
長文失礼しました。