4月12日② プロ野球書きなぐりキビナグリ 恐ろしいタイミングで三塁を突いた髙松渡(中日)の職人走塁、菊池涼介→上本崇司(広島)へと引き継がれる一塁ヘッドスライディング、4安打デビューを果たした梶原昂希(DeNA)への期待
中日・髙松渡の走塁、鮮やかだったなぁ。阪神・湯浅京己のフォークボールがショートバウンドになって、坂本誠志郎が体で止めたが、三塁側へ少しだけ跳ねた。その一瞬のスキを見逃さず、二塁から三塁へ進んだ。
これ、普通は走れないよ。坂本のブロッキングが跳ねたといっても、右バッターボックスの少し先あたりだからね。
投手がモーションを起こしてからの第二リードを大きくとって、かといって、投球後に捕手が送球するピックオフプレーに刺されぬよう二塁に戻るための警戒心を怠らず。それでいて、僅かなスキがあれば臆せず迷いなく三塁へ行くぞ───。
こういう姿勢を1対1で迎えた8回裏1死二塁という場面における決勝点が託された二塁走者の立場で貫けるんだから、22歳という若さでまさに職人である。
ま、プロの走塁のスペシャリストたるもの、そうでなければ務まらないのだがね。
とはいえ、直線的なスピードがあるからってんでその役割を任されたものの、瞬時の判断に難があってなりきれなかった者がどれだけいたことか。
この捕逸で1死二塁を1死三塁としたことは大変な功績といっていい。阪神内野陣は前進守備を敷かざるを得なくなり、プレッシャーが段違いとなった中で、6番・木下拓哉が四球で歩いて1死一三塁。続く7番・石川昂弥が湯浅の難しい低めのフォークボールを拾い、やや球足の遅いハーフライナーとなって三遊間へ飛んだが、前進守備を継続していたためショート・中野拓夢が飛びつくも届かず、レフト前の決勝タイムリーヒットとなった。
ヒーローインタビューは、この決勝打の石川が本拠地初、そして同点打のマスター阿部寿樹のふたりが登壇となったが、個人的には髙松の走塁にも殊勲賞をあげたい。
そんな小さな“ビッグ”プレーだった。
ただ、下手くそ草プレイヤーとはいえ長く捕手をしているオイラからすれば、坂本は責められないよ。むしろ、この球以外のショートバウンドはしっかりと止めていた。
とくに、湯浅や次に登板した左腕の岩貞祐太のときは、打者のところではまだ地面でバウンドしていないけれども、捕手のところまできたらショートバウンドになるかもしれない……? というようなショートバウンドするのかしないのか微妙な高さに来る変化球が多かったから、大変だったと思うよ。
しかしながら、たったひとつとはいえ、それが結果的に失点の直接的な原因となるミスであったらなら、大きな失態となってしまうのがプロ。そう、プロなんだよなぁ。
普通の野球観なら、そもそも、あのくらいの跳ね方で「ゴー!」となる走者だって滅多いやしないよ。
瞬間的な判断とコンマ1秒単位の研ぎ澄まされたスピードが勝負を左右する本当にシビアな世界なのだと、戦慄すら覚えたプレーでもあった。
今日は、その他に気になったこととして、、、、、
広島の上本崇司かな?
打者走者として一塁へヘッドスライディングしていたでしょう?
カープの一塁ヘッドスライディングといえば菊池涼介。特に左腕を伸ばすようにして外角の変化球を引っ掛けながら、つまりミスショットのはずが、一歩目から猛烈に走り込んで空中を滑空するようなスピードのあるヘッスラで内野安打にしてしまう得意の形。
あの代名詞的なプレーを、今日も序盤に披露していた。
上本のヘッドスライディングは、まさに菊池のそれを完コピしたもの。
一塁へのヘッドスライディングは好みが分かれてしばしば物議になるが、それは一旦置いておくとして、内野安打を稼ぐ手立てを確立しているチームの良きお手本をしっかり盗んで継承しているのは悪いことではないと思う。
そして、二塁に進んだあと、その先輩・菊池のレフト前ヒットで一気に本塁に生還した走塁。スタート、走路などかなり良いベースランニングにみえたので、ストップウオッチを手に計測してみたところ、そのタイムは6秒36だった。
これがすごいかどうか? を判断するには、昨年12月に発売された『がっつり! プロ野球 (30) 2022年1/15号』で計測・分析した自分の記事が役に立つ。
残念ながら、雑誌なのでもう店頭には出ておらず(さらに次の号も出ているし)、↑Amazonでエライ値段がついているので、大サービスで計測した生データを↓に貼っておくネ。
これをみてもらえればわかるとおり、日本シリーズの勝負を決めた塩見泰隆(ヤクルト)の6秒05という激走があるが、これはきっと後年まで継がれていく語り草になるだろう別格タイム。上本の6秒36はさすがにそこまでは及ばなかったが、松原聖弥(巨人)の6秒33とほぼ同格といったところだった。
とんでもない好タイムというわけではなかったが、「うん。やはりかなり速い部類だったな」という感じで納得することはできた。
で、、、あとはDeNAの新人・梶原昂希の素晴らしいデビューを軽く挙げて今日は終わりにしようか。
プロ初スタメン初打席こそ三振だったものの、第2打席で放ったプロ初安打がセンターへの初本塁打。以降も安打を重ねてこの日4安打というこのうえない結果を残した。
この梶原、昨秋、横浜スタジアムで開催された横浜市長杯・関東地区大学野球選手権や明治神宮大会で見ている。
タイムも計測していて、フライの滞空時間が6秒43、一塁かけ抜け3秒94といずれも好タイム。これは同じく昨年12月に発売『野球太郎』No.041の「炎のストップウオッチャー」の記事内コラムで、小さいけど掲載してある。
打球スピードもあって俊足というフィジカルの持ち主なので、『プロ野球ニュース』で「チームではカジータ(柳田悠岐の「ギータ」をもじって)と言われているそうです」と紹介されていたが、バッティングに関していえばギータの「マン振り」系とはちょっと違う。
梶原のバッティングは、腕をしならせ、ヘッドが遅れて出てくる「しなやか」系のスイング。だから、左中間やセンター方向への打球もよく伸びるのだ。この才能は訓練でなかなか得られるものではないので、天性のもの。その意味では、バッティングに対する期待はかなりしていいと思っている。
ただ、昨秋の段階では体が細くてね。だから、以前、twitterのフォロワーさんに梶原について聞かれたときに、以下のようにリプを送っていた。
現在はこの半年ほどで多少はプロらしい体にはなったが、それでもまだまだ長期的な体力面では苦労するのではないかと思う。
しかし、才能は素晴らしいので、生かしていけるかどうか。
ひとついえるのは、三塁側へのファウルが多く出ているとき、梶原の調子は決して悪くはない。ヘッドが遅れて出てくるので、ほんのわずかタイミングがズレただけでそうなってしまうのだ。むしろ、そういうときのほうが、ある程度タイミングはあっていて、紙一重の差ととらえていてほしい。
現在のベイスターズは、新型コロナウイルスの感染者が続出しており、その関係で今回梶原に1軍昇格とスタメン起用のチャンスがおとずれたわけだが、首脳陣としては、本来ならばファームでいくらガンガン打っていたとしても、1軍に引き上げるまでにはもう少し時間をかけていたに違いない。
プロで長く活躍する選手になるためには、このような幸運が舞い込んでくるのもひとつの要素になってくる。
梶原の場合は、今日のデビューを生かして1軍定着になるかどうか? 期待しつつ見守っていきたい。
あー。また、書きすぎた。
本業の書籍構成の仕事が全然進まず。夕方、外に出ていて気づかぬ間に編集者から催促と思われる電話の着信があったというのに。
あまりにヤバい状況なので、スパートをかけようと、この2週間ずっとパソコンに向かっているのだが……。
どうにも、雑念が多すぎて脳みその体力(集中力が続かないのと、テクニック的にうまく書けずに悩んでいるうちに、モリモリと日数が過ぎてしまった。。。。
3月の終わり頃からずっと腑抜けた状況が続いていて、執筆の練度もかなり低迷中だが、自分にムチを打って頑張らなくては。。。