保全の危うさ
「在来生態系の保全」というのは胡散臭い、と私は思っている。
従来のシステムの平衡が動いて次の平衡へと遷移していくときの最初の姿を見て、均衡が失われるから食い止めて当初に戻さなければならない、というのは人間側の感覚、というか趣味ではないのか。
変化が急激すぎるから緩和しよう、というのなら賛同しないでもない。でも人間の手でそれをするのは無理だな、きっと。
自然界の生態系のような複雑系では、初期条件が変動するならばそれに応じて出力も大きく変わるはず。
動的平衡が成立している系では、構成要素は常に入れ替わりながらマクロな構造が維持されているので、変化はあって当たり前、それを変化と感じるのはタイムスケールに対する感覚の問題だと思う。
「在来」も「保全」も既定のこととして疑わず、その先の議論をしているのは危うくはないか。
(2022.8.4)