Ecce homo

イエスを引見した総督ピラトが、イエスの処刑を求める民衆に向かって発した言葉だとされる「エッケ・ホモ Ecce homo」(この人を見よ)。

これは、その人についての偏見や風説、自らの熱狂や恐怖ではなくて、その人の真実へ誠実に向かい合い、理をもって判断しろという訴えだ。

彼ピラトにとっては常識である、この古代ローマ社会の理念を覆して、民衆に妥協してイエスを磔刑にしなければならなかったのは、さぞかし不満、いや、屈辱だっただろうなあ。

しかしイエスは、理を説いても民衆の耳には届かず、情に訴えなければ彼らは動かないことを知っていた。
故に、磔に掛けられる(そして、畏敬される)道を選んだ。

総督ピラトは真のリアリストでは無かったということになる。
(2024.8.13)

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