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REALITYで作った物語セリフ>人魚の唄が響く時

「なにか聞こえる…歌?こんな夜更けの海にも人がいるんだね…
せっかく一人になりたくて来たのに…
それにしても…素敵な歌声…こっちの方から聴こえてくる…」

『誰か来る…人間の娘?隠れないと…』

「あれ?誰もいない…確かに歌が聴こえたのに…綺麗な声だったな…
そう言えば…この辺りには人魚姫の伝説があったよね…
人魚?まさかね…この辺の娘が私に驚いて逃げだしたんだよ…
この場所…人が来そうにないし…隠れて歌ってたんだね…きっと…」

『何で人間の娘が…ここに…』

「まあ、いいか…はぁ〜私…結婚するんだな…
政略結婚…家の為…それは分かるけど…
皇族、貴族、身分の高い家に生まれた娘の宿命だよね…
会った事もない、好きでもない人と…
私…まだ恋もした事ないんだよ…」

『好きじゃないのに結婚…
何で、わざわざ嫌な事するんだろ…人間って…
私には分からない…』

「はぁ〜せめて会った事あれば、どんな人か分かるのに…
何も分からないまま結婚なんて…不安しかないよ…
私…恋愛してみたかったな…今からでもしてみようかな…結婚するまでの間だけ…
まあ、そんな事無理だけどね…」

『何…この気持ち…ムカムカする?私…好きじゃない…やる前から諦めてる人…
嫌ならやらなきゃいい…やりたい事あるならやればいい…
他人なんか関係ない…自分が良ければそれでいい…』

「はぁ〜帰ろうかな…こんな所にいても何も変わらない…
夜の海でも見て気晴らしになればって思ったけど…全然ダメ…余計に落ち込む…」
『ちょっとなに!こんな所って!ここは私の大好きな場所なの!
勝手に来て散々文句言って…言われるまま従ってる自分が悪いんでしょ!この場所のせいにしないで!』
「えっ何…誰…」
『あっ…私…私は人魚…つい出てきちゃった…今の無し…忘れて…無かった事にして…』
「人魚…えっ人魚!無かった事って…忘れろ…忘れられないよ!人魚なんて初めて見た!凄い!本当に体の下魚なんだ…」
『忘れて!お願い!…怒られるの…人間に見つかったら…』
「怒られる?人間に見つかると怒られるの?」
『そう…昔人間と人魚の間で色々あって、人間と関わらないようにって言われてるの…だから忘れて…』
「そう言われても…忘れられないよ…ねえ、私が黙っていればいいんじゃない
誰にも言わなければ分からないよ」
『でも…ホントに言わない?大丈夫?絶対だよ!誰にも言わないでよ!』
「本当に!絶対に誰にも言わない!」
『ん〜他に方法ないし…分かった…誰にも言わないなら…約束だから…』
「約束します!誰にも言いません!
それにしても…本物の人魚だ…凄い…
この場所が好きって言ってたよね
よく来るの?あっもしかして、ずっといたの…」
『いたけど…』
「じゃあ…全部聞いてたの!覗きは良くないよ…悪趣味だと思います…」
『違う!覗きじゃない!私が先にいたんだから!
あなたが後から来て勝手に喋りだしたんだから!』
「まあ、そうか…誰にも言わないでよね…約束だよ」
『うん…分かった…誰にも言わない…約束する…言ったら私もバレるし…』
「そうだね…私達2人の約束だよ…お互いバレたらマズイんだから絶対に言わないでね…
ねえ、私が来る前から居たって言ったよね…もしかして、さっきの歌あなたが歌ってたの?」
『歌…そうだけど…あれは風の精霊とお話ししてたの…』
「風の精霊とお話…」
『そう…風の精霊は私に良くしてくれるから…
喋れないけど歌で気持ちは伝わる…』
「そうか…風の精霊さんに会いに来てるんだ…だからこの場所が好きなんだね…あなたの歌…気持ちがこもってるから素敵なんだね…
凄く綺麗な歌声だったよ!また聴きたい!」
『えっ…綺麗…私は…ここに歌いに来てるんだ…だから歌ってるだけ…
それを聴くのはあなたの勝手…好きにしたら…』
「本当に!ありがとう!あっでも、もう遅いから今日は帰るね…またここに来ていいんだよね?」
『何で私に聞くの…それにさっきはこんな所って言ってた…嫌じゃないの…』
「それは…あなたに会えて…気持ちが明るくなれたの…もっと、あなたの歌を聴きたいし、話もしたい…だから、ここに来たいの」
『そう…別にいいけど…ここは私の場所じゃないし…好きにしたら…』
「やった!また来るからね!楽しみ!
ふふ人魚とお友達になれるなんて!凄い!」
『友達…』
「絶対また来るね」
『うん…また…友達か…』

「やっぱり素敵な歌声だね…遊びに来たよ!人魚さん!」
『本当に来たんだ…』
「嘘だと思ってたの?来るに決まってるじゃん…凄く楽しみにしてたんだから…
ねえ、それよりさ、人間に見られたらマズイんじゃないの…何で隠れなかったの?」
『あなただって分かってたから、他の人間が来たら隠れるよ…』
「えっ…私の姿見えてなかったよね…それで分かるの?」
『あなたの事はもう覚えたから…風の精霊も手助けしてくれるし、見なくても分かるの…』
「そうなの…凄いな…」
『別に…』
「ねえ人魚さん!あなたの歌聴きたい。歌ってよ」
『言われなくても歌う…私は歌いに来てるんだから…』

「本当に素敵ね…何度聴いても良いわ…」
『そう…そんなに良いんだ…』
「最高よ!あなたの歌大好き!聴きけて良かった…
ありがとう。今日はもう帰るね。またね」
『うん…また…』

『また来たんだ…』
「凄い…私まだ声もかけてないのに…完全に見えてなかったよね…
本当に見ないで分かるんだね」
『嘘だと思ってたの?』
「ふふ、思ってないよ…ちょっと試してみたかったの…」
『試すって…それは信じてないって事では…』
「信じてるよ!信じてても実際やってみたいでしょ」
『まあ、いいけど…ずっと来てるけど、そんなに私の歌が好きなの?』
「好き!大好き!だけど、それだけじゃないよ
私達は秘密を共有した者同し、誰にも言わないって約束した仲でしょ」
『うん…そうだね…』
「私…ここでは自分を偽らないで自分のままでいられるの…我慢しなくていいの…」
『そう…ねぇ、結婚が嫌なら相手の男を殺しちゃえば良いんじゃない…そうすれば結婚しなくてすむよ』
「えっ!何言ってるの…そんな事…出来ないよ…」
『出来るよ…あなたがここに結婚相手を連れてくれば、私が海に引きずり込むよ』
「そんな…」
『大丈夫だよ。波にさらわれたって言えばいい』
「でも…バレたら…」
『バレないよ。約束でしょ。誰にも言わないんだからバレないよ…』
「私…今日はもう帰るね…その話はまた今度…じゃあね…」
『ん…じゃあね…また…』

『今日は遅いな…』

「えっ…この歌…ちょっと待ってて下さい…」

『遅かったね…もう朝だよ…誰かと一緒みたいだけど、もしかして結婚相手?』
「彼は…そう…結婚相手…婚約者だよ…
遅かったって…昨日の夜から居るの…もしかして私を待ってたの?」
『別に…待ってたわけじゃない…歌ってただけ…
それより…彼奴が婚約者…じゃあこっちに連れて来てよ』
「えっ…その話はもういいの…」
『ん?もういい…結婚しないの?』
「結婚するよ…会ってみたら、優しくていい人だったから、それにカッコいいし…だからあの話は無し」
『無しって…でも…』
「私は結婚して幸せになるの…
今までありがとう…友達になれて嬉しかったよ…
私はもう来れないけど。すごく楽しかったよ」
『えっ何で…来れないって…私…何かした?ごめん…謝るから…お願い…また来てよ…』
「謝らないで…違うの。そうじゃないから…
私は結婚するから…もう、ここには来れないの…
彼が待ってるから…さようなら人魚さん」
『あっ…待って…友達…
何で…友達って言ったのに…彼奴のせいだ…
話ができる初めての友達なのに…彼奴がいなくなれば…きっとあの娘も…
そうだよ…あの娘は彼奴に騙されてるんだよ…
彼奴なんかいなくなればいいんだ…』

『彼奴の事はもう覚えた…後は…この魔法の薬で足を…まあ、目が見えなくなるけど別にいい…
こんな世界なんて見えなくていいし…
風の精霊が手伝ってくれるから位置もわかる、形だって分かるから大丈夫…』

「えっ?歌が聴こえる…この歌…人魚さんの歌…こっちの方から聴こえる…
この部屋って…ここから聴こえた…
居ないのかな…ノックしても返事がない…
失礼します…えっ…王子様!大丈夫ですか!
えっ…何…血!…誰か!誰か来て!」

『待ってたよ…来てくれると思てった』
「人魚さん…私の婚約者が殺されたの…」
『そう…良かったじゃない…』
「良くないよ!婚約者…彼は小さい国だけど王子様なのよ…
それが…何で殺されないといけないの!
私…彼と幸せになるはずだったのに…
ねえ…王子様の部屋から人魚さんの歌が聞こえたの…なんで?」
『私が殺したから…』
「殺した…何で殺したのよ!
それに下半身魚なのにどうやって…」
『彼奴は私達の仲を引き裂こうとしたから…
ほら見て足…薬を飲んだから…代わりに目が見えなくなったけど…』
「足が…薬って…目が見えない…何でそんな事してまで…私達の仲って何よ!」
『友達だから…目は別に見えなくていいし…』
「友達…友達って!友達なら言うこと聞いてよ!私の幸せ見守ってよ!
あなたは自分の事しか考えてない!
私は…せっかくいい人と結婚出来るはずだったのに…
次の相手がいい人か分からないじゃない…」
『次…また結婚…それならまた殺せばいい…』
「何言ってるのよ!そんな事ずっと続けるつもり!私が疑われるわよ!もうやめてよ!」
『えっ…ごめん…』
「もういい!私に関わらないで!
本当に友達と思ってるならね!
これでさようなら!もう会う事は無いから!」
『えっ…待って…』

『そんな…私…風の精霊と違って、ちゃんと喋れる初めての友達だから、すごく嬉しかったのに…
私は…人魚姫の消えた泡から生まれた…みんなは優しくしてくれるけど…それは…ただの哀れみ…
腫れ物を扱う様な感じで、私はただの厄介者…
みんな上辺だけのやさしさで…影では王子の子供で混血なんじゃないかって言ってる者もいる…
それが嫌で1人になりたくて、あの場所に行ってた…
風の精霊も良くしてくれたし…そしてあの娘に出会えた…
あの娘は思った事は何でも言う…感情をそのまま出すから…みんなと違って裏表がないから一緒にいて心地よかった…
もう私はあの娘がいないとダメなの…あの娘から嫌われたら…生きていけない…
あの娘なら友達なら分かってくれると思ったのに…だから薬を飲んだのに…
あっ…もう時間が…私は…あの娘から愛されなかった…薬の作用で醜い大魚になっちゃう…
まあ…もういいか…こんな世界…さよなら…』

お〜い!来てみろ!珍しい魚があがってるぞ!
大きいな…人間と同じくらいの大きさがあるぞ…
初めて見るがこれ人魚の元になった魚じゃないか…
なあ、この魚姫様に出してやらないか
王子様が死んで元気がないみたいだからな
人魚の元になった魚なら不老不死とは言わないが元気になるかもしれん…

「これは…魚料理?私の為に漁師さんが?ああ…あの海の…
珍しい魚なんだ…精がつくね…食欲ないけど…少しだけいただきます…
ん…なんだろ…変わった味ね…ごちそうさま…」

「あの海…はぁ〜思い出したくないのに…人魚か…
やっぱり人じゃないからかな…だからあんな事…
はぁ〜歌は綺麗で好きだったのにな…あの歌…」

「ん?誰…どうぞ…えっ…歌?私が歌ってたけど…
えっ…私が人前で歌うの…何で…私の歌が凄い上手い…でも人前で歌うなんて…
えっ結婚相手もすぐに見つかる!本当に!分かりましたやります…」

「歌…私そんなに上手くなかったのに…何で急に上手くなったんだろ…
まさか…人魚…何かしたのかな…
おわびのつもりとか…まあ、いいか…もう会う事もないし…
それより、いい人見つかるといいな…」

聞いたか?姫様結婚したんだって、相手は大国の王子様
姫様は歌姫って言われるほど歌が上手くて、その歌に惚れ込んだって話だ…
何にせよ姫様が元気になっみたいでなによりだよ…

「私…大国の王子様と結婚できるなんて…幸せ…ホントに信じられない…
まあ、一応これも人魚のおかげって言ってもいいのかな…
王子様を殺してくれたから…小国の王子様より大国の王子様だよね
私に惚れ込んでるみたいだし、アプローチ凄かったからな…
あれ…何これ…カサブタ?いつ怪我したんだろ…
なんだか鱗みたいで気持ち悪い…」

大国の王子様か…あまり評判は良くないみたいだな…
姫様との結婚も歌が目当てらしい
みんなに見せびらかす為で好きとか愛は無いらしいぞ…
姫様と言ったら聞いたか?
姫様の生まれた国で行方不明事件
姫様が歌姫と呼ばれるようになった頃から、海の方で出始めたそうだが…
そうそう、一時期精力剤とし人魚肉売ってた辺りだよ
あそこら辺で行方不明が出るようになったとか…なぜか、居なくなった者の所に必ず魚が置いてあるそうだ…