転生、転生また転生〜続〜
『ここら辺でいいかな…』
「凄い…あっという間に富士の樹海だ…」
『ん?そうだね思ったより早く着いたね…意外と近かったね』
「近い…いや遠いよ…それよりも…あんなスピードで飛んできたのに全然風の抵抗を感じなかったよ…魔法って凄いな…」
『う〜ん…言われてみると魔法って凄いね…
富士の樹海は来たことないから飛んできたけど、一度行った場所なら転移できるから次はもっと早いよ』
「転移か…本当に凄いな…」
『●…驚いてばかりいられないよ。●には強くなってもらうんだから』
「そう…だな…さっさと降りて始めようか…
地に足がついてないから不安でしょうがないよ…」
『なるほど…●と一緒にいると初心を思い出して身が引き締まるよ…』
「ハハ…初心か…早く強くならないとな…」
『焦らなくていいからね…どこに降りようかな…
樹海って言っても道路や街もあるんだね…近づかないようにしないと…
そうだ…先に魔法かけとくね』
「魔法?」
『そう。見たところガス溜まりや、地下空洞とか結構あるみたいだから
●が落ちたら死んじゃうよ…だから魔法かけとくね』
「さすが樹海だ…1人で来てたら確実に死んでたな…」
『大丈夫●は死なせないから安心して
それに●だけで樹海に来る事なんてないから』
「まあ…そうだな…」
『じゃあ降りるよ…準備できたら言ってね始めるから』
「分かった…本当に樹海なんだな…それにしても木が邪魔だな…森だから仕方ないけど…」
『確かに…ガスも空洞もない場所に降りたけど、もう少し開けた場所の方が良かったね…
まあ、今はいいよ…広さは関係ないし、次の段階に進む前に広くしとくから
』
「そうか。分かった…広くしとく?」
『そう。後で少し整地するよ』
「えっ整地?」
『そう。魔法で木を切って土を固めて動きやすくするから』
「魔法って本当に凄いな…」
『そうだね…でも、普通は出来ないよ。私だからできるんだよ』
「ああ、そうか…本当に凄いな…僕も少しでも早く○に追いつかないとな…」
『追いつく…うん…そうだね…じゃあ、もういい?始めるよ』
「ああ…始めてくれ…」
『そんな緊張しなくていいよ簡単だから
私が●の体に魔力を流すからそれを感じてね
魔力を感じたら、それをコントロール出来るようになってね』
「分かった…」
『いくよ…』
「おっ!くっ…もう…いい…感じた…とめて…」
『ん?とめたよ…キツかった?』
「はぁ…○の魔力…凄すぎだって…」
『ごめん!もっと加減しないとダメだったね…大丈夫?』
「大丈夫…お陰ですぐに分かったよ…後はこれをコントロールすればいいんだな…」
『そうだよ…頑張ってね』
「ああ、頑張るよ…」
『さてと…私は…整地でもしましょうかね…
まずは木を切ろう…ウィンドカッター…
おお!マジックハンド!危ない…倒れるとうるさいからね…
●の邪魔しないようにしないと…マジックハンドで木を運んで…まとめて置いとこう…
アースクレイで土を動かして木の根を取り除いて…平らに…よし!
木の根も邪魔だから切った木と一緒に置いとこう…マジックハンド…
こんなもんかな…うん!意外と早く終わったな…』
「凄いな…本当に…
こんなに早く出来るなんて…土木関係の人が見たら泣くぞ…○スカウトされるかもな」
『あっごめん。邪魔しちゃった…えっスカウト?土木…泣く?』
「泣くよ、これをやるのに何日かかると思ってるんだ…
いや、そんな事よりも、魔力の出し入れは出来るようになったよ…
あとコントロールって何すればいいんだ?」
『もう出来るようになったんだね!それで十分だよ
あとは魔力を魔法に変換するだけだから』
「魔法に変換か…」
『そうだよ。何か使いたい魔法はある?』
「使いたい魔法…僕が使える魔法って何?」
『使える魔法…属性の事言ってるの?得意や苦手はあるけど
人によって属性が決まってるとかないから全部使えるよ』
「そうなんだ…じゃあ、何がいいかな」
『そうだね…一度見本を見せるよ…●が目指す強さ…あの木を見てて…ブラスト!』
「凄い!木が爆発した…粉々だ…これを目指すのか…」
『そうだよ。●にはこれを使えるようになってもらうからね…
と言っても火と風の複合魔法だからかなり難しいよ
まあ●の魔力だとこれくらいが限界かな』
「頑張るよ…僕の魔力の限界…僕の魔力って多いのか?」
『う〜ん…普通かな…でも、魔法のない世界だから凄いんじゃないの…』
「普通…魔法のある世界での普通か…この世界では凄い方なのか…」
『分からないけど…』
「分からないのかよ…まあ、いいや…言っても変わらないし…僕はこれで強くならないとな…」
『そうだね…無理しないでね…いざとなったら私が守るから』
「それじゃあダメだ…○を守れるようにって言いたいけど…
○の邪魔にならないくらい…せめて自分くらいは守れるように強くなりたい…」
『うん。そうだね…
ちょっと気を抜きすぎてた…
この世界に…力のある奴はいないと思ってたけど…私が知らなかっただけみたい…』
「えっ…何…どういう事?」
『何か来るよ。けっこう強い…さっき私が派手にやりすぎたみたい…』
「えっそれって…敵?」
『分からない…まだこの世界の敵について何も分かってないから…
異世界だと魔物や魔族だけど…この世界だと…やっぱり人間かな…』
「人間が敵…」
『うん…そういう異世界もあったよ…もちろん倒した…●にできる?敵が人間だったら…私はもう…なんとも思わない…人を殺しても…』
「○…分からない…だけど、○を守るためなら…」
『そう…無理しないでね…●は殺さなくてもいいから…自分の身さえ守ってくれれば…』
「それじゃダメだ…○にばかり嫌な思いさせるなんて…」
『嫌…なのかな…来たみたい●は下がって…結界張ったから大丈夫だからね』
「うん…今はまだ足手まといだけど…必ず強くなる…」
『何…私に何かようなの?』
[はい…あなたが…先程の爆発を…
う〜ん…これはまいったな…
私では歯がたたない…うちには主以外であなたとやりあえる者はいないでしょうな…]
『何?いきなり来て…やりあう?私に喧嘩うりに来たの?
その主なら私と戦えるって言うんだ?』
[戦える…なるほど…あなたは自分の方が強いと思っているのですね…
主の強さは…正直分からないです…私等には推し量れませんから…
それに私はあなたに喧嘩をうりに来た訳じゃないですよ]
『じゃあ何しに来たの?用件をいいなさい…』
[おお…威嚇しないで下さい…あなたからみたら私などゴミ虫同然でしょう]
『用がないなら帰りなさい…』
[いえ、用はありますよ…せっかちなお方ですね]
『まともに話しもできないようね…ハリケーン!』
[くっ…なんて風だ!待って下さい!
本当にせっかちな方だ…私は話し合いに来たんです。あなたという人物を見極めて勧誘する為に…]
『勧誘…説明が不十分だよ…お前達に邪魔な存在なら消して、有用なら仲間にするだろ…』
[そうですね…あなたを消すなんて事は出来ないですから…
仲間にするしか選択肢がないので、言わなかったのですよ]
『まあ、いい…お前達は何だ?勧誘するなら私に分かるように説明しなさい』
[もちろんです。その為に私は来たんですから…
私達はこの世界を管理しています…決して表には出ず裏から分からないようにです…
まあ、私達の事は管理者とでも呼んで下さい
私達の仲間は世界中にいます
私達はこの世界を変えるような行き過ぎた行いをする者を処理し世界を修正してきましたが
もうこの世界はそんな細かな修正では正せない程に歪んでしまった…
1度世界を壊して作り直すしかないのですよ…]
『大層な物言いだな…それで…お前達は何なんだ?人間か?』
[お〜これはまた…あっ…ちゃんと話しますから、威嚇しないで下さい…
私達は人間じゃないです。その上位種です]
『上位種?』
[そうです。我々は突然変異等で生まれた、人間を超えた者、進化した存在なのです
見た目は人間と変わらないですが、その能力は圧倒的に優れてます
人間は特出して秀でた者を排除しようとします…自分達より優れた者を…自分達では理解できない者を…
私達は無能な人間達のやっかみにあい孤立した者達に救いの手を差し伸べ集まって出来ました…それが管理者です]
『それで…お前達の主はどうなんだ?』
[それは…分かりません…主はこの組織を始めた張本人ですから…年齢も分からないですね]
『よくそんな得体のしれない者についていけるな』
[それは…主は私達に居場所をくれました…
私達が人間なんかよりも優れた存在だと教えてくれました…
今の私達がいるのは主のお陰なのです…
主の正体なんて、どうでもいいのですよ]
『そうか…分かった…それでお前は管理者の中でどれくらいの強さなんだ』
[私はこれでも幹部ですから強い方ですよ…まあ、あなたには遠く及ばないですが…
純粋な強さで言うのなら幹部の中では、上の下ですかね
まあ相性がありますから勝ち負けでは分からないですが…
あなたに関してもそうですよ…別に勝たなくてもいいんです…あなたを抑え込めれば…]
『私を脅してるのか?』
[違いますよ。これは私からの助言です…いくらあなたが強いと言っても1人…世界中にいる仲間が一斉に動き出せば、あなただけではとめられないですから
1人で出来る事なんてたかが知れてるんです…判断を誤れば大切なものを失いますよ]
『いい度胸だ…私を脅すなんてな…私のものに手を出せばお前達に未来はない…』
[嫌だな…脅しじゃないですよ。私からの精一杯の助言です。殺気を消して下さい…
仲間になるかどうか、答えはすぐじゃなくていいですから
私達もすぐに答えをいただけるとは思ってないですし…
答えが決まったら連絡を下さい。こちらをお渡ししますので]
『そんなものはいらない…』
[そう言われても…連絡が出来ないですよ…見張られてるみたいで嫌ですか?]
『それもあるがお前達が迎えにくればいい…
さっきみたいに力を使えばお前達は見に来るだろ?その方が簡単だ』
[はは…まあ、そうですね…私はこれで失礼させていただきます…]
『ふぅ…帰ったな…もう大丈夫だよ●』
「ああ…○は凄いな…本当に勇者なんだな…いつもと全然違う…迫力があった…」
『そうだね…●は私が怖い?嫌いになった?』
「怖い?嫌いになる?そんな事あるわけ無い!
僕はまだ○と同じ場所に立ててない…まだ○の足元にも及ばない
それを自覚したんだ…強くならないと…」
『そう…
ねえいつまで隠れてるの?出てくるのずっと待ってるんだけど…
出てこないの?敵意がないから放置してたけど…これ以上の覗きは許さないよ…
そう…話をする気がないなら消えて…シャインレーザー…』
《待って!死ぬって!何なのそれ!?レーザー光線!!
そんなのくらったら塵1つ残らず消えてなくなる!》
『ええそうね…話の出来ない奴なんて邪魔だから…消えてなくなりなさい』
《そんな無茶苦茶な…話すから!その物騒な魔法を消して!》
『さっさと話しなさい』
《分かったから…私はさっきの奴等が言う進化した存在だけど人に恵まれた…
奴等の境遇には同情するけど、人を蔑ろにする考えに賛同できず仲間にならなかったの…
そしたら奴等…自分達の妨げになるって襲ってきたのよ…
私は隠密系の能力だから、逃げられたけどね…
私達の組織は奴等に滅ぼされた者達の生き残り…名前は無いんだけど奴等の手から世界を解放する、解放者とでも呼んでよ…》
『そう…管理者と対立してる組織…解放者ね』
《そう…数や戦力は奴等に劣るけど、私達も世界中に仲間はいるわ…
私はさっきの奴、幹部の監視をしてたの…
そしたら面白いものを見つけたから監視は他のやつに任せて私が残ったのよ…》
『面白いものって私達の事?』
《そうよ。奴等の幹部が脅える程の存在なのよ。何者なのか確かめないとね》
『確かめるね…それで、貴方はどうするの?』
《どうって…もちろん戦うつもりなんかないわよ
勝てるわけないし…あなたが奴等と対立するって言うなら一緒に戦いたいのよ》
『一緒に戦うね…あなたの強さは解放者でどれくらい?』
《私は戦闘向けじゃないから、弱いけど…さっきの奴と同じくらいの強さなら解放者にも何人かいるわよ》
『さっきの奴ね…戦力は管理者の方が上ね』
《そうね…だからこそ、あなたに私達と一緒に戦ってほしいの。世界を滅ぼすだなんて絶対させないだから》
『そう…私は管理者の仲間にならないわ…解放者の仲間にもね』
《どうして…》
『簡単な話よ。足手まといだから』
《でも…1人では奴等に対応できないわよ。世界中に仲間がいるんだから》
『使えない者が何人いても意味ないわ』
《それは…そこにいる連れはどうなんだ…あれこそ足手まといだろ?私でも勝てる…》
『死にたの?彼に手を出したら許さない…まあ、貴方程度なら手も出せないけどね』
《何もしない…だから…殺気を消して…》
『あんな事…冗談でも言わない事ね』
《分かった…言わないから…生きてる…私生きてるよね…
ふぅ〜良かった…でも彼…狙われるだろ…私達といる方が安全じゃないか?》
『安全…どこが…私といる方が安全よ…それに彼はこれから強くなるの』
《これから強くなる…そんな事出来るのか…それが本当なら…私達も強くしてくれないか?
邪魔はしない彼は普通の人間だろ?私達の仲間も普通の人間が多いんだ
それが強くなれるのなら…頼むよ》
『あなた達…そうね…邪魔しないって言うならいいけど…』
《本当か!ありがとう!それなら、ここよりマシな場所があるから一緒に来てくれ…
今仲間に連絡するから…》
『ええ…分かったわ、こちらも準備があるから終わったら言うわね』
《そうか分かった…》