99歳の祖母の、美しい生き方を知れた葬儀
夫方の祖母が亡くなり、昨日は長野から東京へ。家族7人で日帰りで行ってきました。
99歳。今年の年末で100歳を迎える御年でした。
私達の結婚式には、東京から長野へわざわざ来てくださった。当時は86歳だったか。
いつまでも黒い髪で、身の周りの事は自分ででき一人暮らしを長年続けていた。
夫達孫は、「おばあちゃま」と呼んでいて、品があり格式のある家系なのだと感じさせた。
おばあちゃまが元気なおかげで、お正月には義父の姉妹家族も集まり、嫁の私からしたら、夫の叔父叔母だけでなく、従兄弟のパートナーや子供達という、なかなか出会わない関係性の方々ともご縁を頂く、にぎやかな元旦が恒例だった。
葬儀はおばあちゃまが毎週礼拝に行っていたという、信仰の厚いキリスト教の式だった。場はセレモニーホールだけど、長年の付き合いのある牧師さんがおばあちゃまの葬儀を執り行った。だからこそ、知らなかったおばあちゃまの姿を教えてくれるエピソードがたくさんあった。
おばあちゃまと教会との出会いは、おばあちゃまのお母さんのエピソードから始まった。
元々は(おばあちゃまの)お母さんが信者で、おばあちゃまは日曜日の礼拝に連れて行ってあげる運転手だったそう。
子供も産まれ、忙しい最中小さい子らを連れて母を教会へ送り、近所の公園で子供達を遊ばせていたそう。
時にはお母さんと一緒に礼拝に参加する時もあった様だ。
その後お母さんが亡くなった時に、キリスト教の葬儀をしてもらい、大切に天へ送り出してくれたのを経験した事から、おばあちゃまの夫(私の夫の祖父)も「礼拝に参加したい」と自ら言ってきたそうで、おばあちゃまは一度も強制した事はなかったけれど、『同じ教えを志として共に生きていきたい。』という願いが叶ったと思ったそう。その時に夫婦で洗礼を受けたそうだ。
その後、日曜日には二人で礼拝へ通う様になったそう。
おばあちゃまは旦那さん(祖父)が10年前に亡くなった後も、日曜日の礼拝へ参加していた。
いつも時間早めに到着し、同じ席に座り、その日の経典を読んでいる姿があったそう。
美しい所作で、身なり、衣づまいも整えて、教会へ来る。そして、牧師さんの周りに人がたくさんいる時は、そっと待っていて落ち着いた頃に、必ず顔を出して挨拶をしてくれたそう。
おばあちゃまが必ず決まって座る席は、旦那さんと二人で通っていたときも座っていた、お決まりの席だったのだそう。
旦那さん亡きあとも、同じ席に座り、どんな思いでいたのだろう。
牧師さんが言っていたけれど、ずっと昔にお母様と来ていた時から、きっとその席に座っていたのだろうと語っていた。
母と、夫、という、大切な人達を見送って、そして巣立っていった子供達と、孫、ひ孫に時折囲まれて、おばあちゃまはどんな事を感じて生きていたのだろう。
おばあちゃまの通っていた教会は、自分を見つめ、教えを受け学び、信じる物を得て、心を支える大切な場だったのは間違いないだろう。
私にとっては結婚した夫のお祖母様。だけど、お正月の度にお家にお邪魔させてもらい、子供達もひ孫としてたくさん抱っこして貰ったりもした。
私の知っている面なんて僅かだけれど、葬儀中の牧師さんの話を聞いていて、
おばあちゃまの生き方が、自分の信じた道に真っ直ぐで、美しい。と思ったの。
母と通った礼拝堂。
母の信じた道を信じて自分も探求した。
いつも同じ席に。母と過ごした場。夫と過ごした場。一人になってもその席は大切な自分の場所だった。
99歳。年を取り、少し認知症の気があっても、息子(義父)のことはいつまでも心配で子供に見えていたそう。そんな姿に苛つく義父の姿も見た。子供に面倒見られながらも、いつまでも母だった。
人は最後は死を迎えるのは知っているのだけれど、本当に、その人自身が大切にする事を、派手でなくても、人に知られなくても、小さな世界でも、自分の最大限の気持ちで大切にして過ごせたら、その生き方は、本当に美しいと思った。
葬儀には、一人の女性を「おばあちゃま」と慕う家族が34名も集まり。
子供達とそのパートナー。孫たちとそのパートナー。ひ孫は15人も。
そんな【命の木】ともいえる繋がりを見せてもらって、こうやって命は繋がり、他人と思ってる人も、遠い先祖をたどれば、繋がりがあるのかもしれないと信じれた。
おばあちゃまからみたら、私は、長男の、長男の嫁。その、他人だった私が、いずれは同じお墓に入る事があり得るのだ。
私は今の時代に生きて、時代の情報をとり、翻弄されたり迷ったり。
だけど、いつだって最大限自分の人生をより良く生きるためにもがいている。
そんな日々の中で、おばあちゃまの大切にしていた場や人々からのお話で、
自分の大切な事を、とても謙虚な姿勢で、敬意と感謝を体現して、信じて過ごされていた女性が、とても美しくて感動したのです。
周りに流され過ぎず、情報に惑わされず。
自分の大切な人や物を、大切にしていきたい。
そんな事を考えさせてくれた、おばあちゃまと、関わる家族皆様に感謝致します。