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J.S.A SAKE DIPLOMA 二次試験論述対策問題

「J.S.A SAKE DIPLOMA」は、一般社団法人日本ソムリエ協会が主催する、日本酒・焼酎のソムリエ資格の資格試験です。
3月頃から申し込みが開始され、7月中旬頃から8月下旬頃にCBT方式による一次試験が、10月上旬から中旬にかけて全国一斉開催される二次試験があり、二次試験の試験内容は「テイスティング」と「論述」に分けられます。
テイスティングに関しては、原則日本酒4種類・焼酎2種類を実際にテイスティングしながら、香りや色調、味わいを指定の数だけ選択しマークするとともに、各設問にマーク方式で回答します。
試験時間は30分です。
論述は、近年は3問出題され、各問いに対する答えをそれぞれ200字以内で論述します。
試験時間は20分です。
また論述は、近年「焼酎に関する問い」「日本酒に関する問い」「テイスティングの日本酒に関する問い(ペアリングなど)」の3種類の問題が出る傾向にあります。

今回この記事では、一次試験に無事合格され、二次試験への対策として勉強中の方へ、論述試験の対策として、私が独自に制作もしくは複数のサイトを参考に引用した予想問題とその回答を記載しました。
ぜひ参考に勉強に励んでください。

・焼酎 3問
・酒米 6問
・都道府県 20問
・その他 20問
全49問

〈焼酎〉

壱岐焼酎と料理について

壱岐は麦焼酎発祥の地とされている。
その長崎県壱岐市内で、その土地の地下水と麦・米麹を用いて造られる麦焼酎が地理的表示「GI壱岐」として登録されている。
米麹を使用することでライ麦パンのような香ばしい香りと、蒸米のような香りが調和する。
名産のウニの塩漬け、麦味噌を用いた鶏鍋などに合う。
減圧タイプはそば粉のブリニとキャビアに合う。
セモリナ小麦を意識してパスタなどに合わせることも可能。
190字

甘藷焼酎と料理について

甘藷焼酎は、主原料がさつまいもの蒸留酒で、黒麹や白麹などの米麹を用いて作られることが多い。
鹿児島が地理的表示「GI薩摩」を取得しており、鹿児島県内(奄美市・大島郡以外)で県産の甘藷を原料に製造される単式蒸留焼酎について「薩摩」を表示できる。
テルペン系やβダマセノンといった甘やかな香りが特徴で、豚肉料理(豚骨の煮込み、豚肉のしゃぶしゃぶ、豚肉のリエット)や、鹿児島県の食材とそれらを用いた料理に合う。
200字

焼酎の減圧蒸留と常圧蒸留について

常圧蒸留は、醪温度85〜95℃という高温で蒸留する方法である。
結果的に多くの成分が流出するとともに、高温による分解や合成などの化学変化が促進され、香ばしい風味を生み出す。
減圧蒸留は、醪温度45〜55℃という低温で蒸留する方法である。
常圧蒸留よりも化学変化が抑制されるため、軽快なタイプで、果物香(エステル)を得やすい点が特徴である。
単式焼酎の減圧蒸留は1970年代初頭に開発された。
191字

〈酒米〉

山田錦

1923年、当時の兵庫県立農事試験場にて「山田穂」と「短稈渡船」の交配により誕生、1936年に命名された。
国内最大の生産量で約33.3%のシェアを誇り、「酒米の王」の異名を持つ。
良質な麹となり高精米にも向き、奥行きのある豊醇な味わいの酒となる。
晩生品種。
約60%が兵庫で栽培され、独特の村米制度を形成した。
主産地、三木市と加東市の土壌はモンモリロナイトを主とする粘質土で、ミネラルをバランス良く含む。
200字

五百万石

1938年、当時の新潟県農事試験場で「菊水」と「新200号」の交配で誕生。
1957年に新潟県産米生産数量500万石突破を記念して命名。
寒冷地向けの早生品種で、大粒で心白があり、さばけが良い蒸米となるため麹が造りやすい。
米質は少し硬く溶けにくく、米を磨かずとも淡麗で爽やかな酒質となり、「淡麗辛口」を実現した。
総生産量の50%弱が新潟で生産され、他21府県で栽培されており、富山県南砺産五百万石が有名。
200字

雄町(既出)

1859年、岡山の篤農家・岸本甚造により発見され「二本草」と名付けられたのが始まり。
酒造好適米の中で最も歴史があり、山田錦や五百万石の先祖である。
草丈が高く、1970年代には作付けが3haまで落ち込むも、現在では岡山県内での作付け面積が約500haまで回復している。
日本全国で生産される雄町の内、9割以上が岡山県で生産されている。
雄町で造られる酒は適度な旨味とまろみがあり、秋上がりする。
晩生品種。
199字

美山錦(既出)

1978年、長野県農事試験場にて「たかね錦」の種籾にγ線を照射して生み出された突然変異種。
大粒で豊満かつ心白発現率のよい品種で、現在、醸造用玄米の中では「山田錦」、「五百万石」に次ぐ生産量となっている。
JA全農長野のHPを見ると、長野県内では西部の安曇野(あづみの)地区や北西部の大北地区が主要産地。
耐冷性がある品種のため主に東日本へと広がり、長野のほか、秋田、山形、福島、宮城などが主な産地である。
194字

秋田酒こまち

秋田県の気象条件に適応し、山田錦並みの醸造特性と美山錦並みかそれ以上の栽培特性をもつ酒造品種の開発を目標に、秋田県農業試験場において開発された。
「秋系酒251」を母、「秋系酒306」を父とし、2003年には秋田県の栽培奨励品種に採用された。
大粒で高度精白が可能、蒸米に弾力があって麹が造りやすい。
タンパク質が少なくでんぷん質が消化しやすい性質で、雑味の少ない上品な旨味と軽快な後味をもつ酒になる。
198字

八反系

広島県は、八反系では「八反35号」と「八反錦1号」を県の産地品種銘柄に指定している。
ルーツは「八反草」で、1875年に地元の民間育種家が育成後、八反10号・35号・40号が生み出され、その遺伝子が引き継がれた。
「八反錦」は「八反」の収穫量の低さが改善され、玄米は大粒、千粒重は大、心白発現率も高い。
「雄町系」のグラマーなふっくら美人タイプに対し、「八反系」は現代的なすっきり美人タイプの酒とされる。
199字

〈都道府県〉

青森

県の面積の7割弱が森林で、気候は日本海側気候と太平洋側気候の二つの顔を持つ。
津軽エリアでは大規模な治水工事と新田開発によって、南部エリアでは東廻り航路に伴う近江商人の伝来により酒造りが活発化した。
酒造用酵母「まほろば華酵母」シリーズは華・吟・醇・芳の4種類があり、香りの傾向とアルコール耐性が異なる。
酒米に関しては「自給自足タイプ」で、純米酒向きの「華吹雪」、吟醸酒向きの「華想い」などの生産が盛ん。
200字

宮城

1986年、宮城県産ササニシキ100%の純米酒造りを通して、いい酒、うまい酒造りに努めるとして、「みやぎ・純米酒の県」宣言を行う。
2007年には「これからもみやぎ・純米酒の県」を宣言している。
気候は典型的な太平洋岸気候で、「やませ」と呼ばれる海風が入り「冷害」を引き起こすこともある。
宮城県初のオリジナル酒米「蔵の華」が県内で生産料が最も多い。
特定名称比率は約96%と全国1位。酒米は自給自足タイプ。
200字

福島

福島県における酒造りは16世紀の会津で始まった。
明治後期、嘉儀金一郎が山廃仕込みを考案。
会津の酒蔵において実証試験醸造を行い山廃造りを確立した。
平成には「うつくしま夢酵母」や酒米「夢の香」が開発され、これらの組み合わせで「夢の米・夢の酒」とブランディングされている。
全国新酒鑑評会での金賞受賞数が2012年から2021年まで9年連続日本一であり、会津の酒蔵を中心に現代の日本酒シーンを牽引している。
199字

栃木

栃木県には利根川、那珂川、久慈川などの一級河川があり、それらの河川とその伏流水の水量は豊富で、適度なミネラル分を含み、酒造りに向いた水質である。
2006年、下野杜氏が資格認証を開始、首都圏での酒の会や「夢ささら」の発表イベント開催など、精力的に活動中。
安価で掛米に好適な「とちぎ酒14」や、高度精白可能で大吟醸酒向きの「夢ささら」を県内で開発しており、酒造好適米の生産は関東では最多。
酒米移入タイプ。
200字

山形

「吟醸王国山形」と呼ばれ、酒造生産量における吟醸酒の比率が高く、酒質の評価も高い。
大山では、江戸後期には北海道から長崎まで海路を利用し「大山酒」という統一ブランドで販売していた。
明治中期、阿部亀治が米の三大品種の一つと呼ばれる「亀ノ尾」を生み出す。
その他、県開発の「出羽燦々」、民間開発の「酒未来」などがある。
2016年、地理的表示「山形」が都道府県単位で初めて指定された。
酒米は自給自足タイプ。
198字
※県開発の酒米 「出羽燦々」「出羽の里」「雪女神」
民間開発の酒米「酒未来」「龍の落とし子」「羽州誉」「亀粋」

新潟


新潟県は「淡麗辛口」で一世を風靡し、平成の吟醸酒ブームの立役者となった。
新潟県の越後杜氏は、日本三大杜氏の一つとして数えられている。
新潟県農事試験場によって開発された「五百万石」は米を磨かずともすっきりとした軽い酒質になるため「淡麗辛口」の酒を造るのに最適。
清酒免許場数全国1位、酒造好適米生産量2位、日本酒生産数量3位の「自給自足タイプ」。
2022年には「GI新潟」が県単位で指定された。
195字

②新潟県は「淡麗辛口」で一世を風靡し、平成の吟醸酒ブームの立役者となった。
新潟県の越後杜氏は、日本三大杜氏の一つとして数えられている。
1938年、新潟県農事試験場によって開発された「五百万石」は、1957年に新潟県産米生産数量500万石突破を記念して命名され、少し硬く、米を磨かずともすっきりとした軽い酒質になるため「淡麗辛口」の酒を造るのに最適。
清酒免許場数全国1位、酒造好適米生産量2位、日本酒生産数量3位。
約5割弱の五百万石を生産する自給自足タイプ。
2022年には「GI新潟」が県単位でら指定された。
252字

富山

標高3000m級の山々に囲まれ、冬季は降雪が多く良質な雪解け水が豊富である。
「昭和の名水百選」「平成の名水百選」に合わせて8カ所が選ばれるなど水質の評価も高い。
またブランド酒米の南砺産五百万石など、富山県産米は全国でも評価が高い。
五百万石に次いで県開発の「富の香」や昭和後期に富山県農業技術センターにより開発された吟醸酒向きの「雄山錦」の生産が盛んな移出超過タイプ。
2013年、富山杜氏が誕生した。
199字

静岡

静岡県の酒の特徴は、酢酸イソアミル系の香りと低い酸、きれいで滑らかな吟醸酒である。
県内で開発された静岡酵母と技術指導にあたった河村伝兵衛の尽力により、静岡酵母がデビューした1986年の全国新酒鑑評会で静岡県は金賞受賞数全国1位となり、吟醸王国静岡と呼ばれた。
また酒米では山田錦に放射線照射して生まれた突然変異種「誉富士」を開発し、県内ほとんどの酒蔵で「誉富士」の酒造りを行っている。
自給自足タイプ。
199字

京都

9世紀、造酒司が設けられ貴族階級の酒が造られた。
15世紀には洛外・洛中に350軒あまりの造り酒屋が現れ、庶民にも酒が普及した。
室町時代には「麹座」が北野神社にあり、麹文化の中心であった。
明治期、伏見の酒は酒質向上と鉄道での輸送を確立、東京進出に成功した。
伏見の酒は、軟水〜中硬水の仕込み水による柔らかな口当たりから「女酒」とも呼ばれる。
日本酒生産量全国2位。県産米に「祝」がある。
酒米移入依存タイプ。
200字

愛知

酒造りの歴史は古く、古事記、日本書紀に熱田で酒が造られた記録が残っている。
知多半島は醸造半島とも呼ばれ、かつては主たる酒造地となっていた。
アルコール度数が高い愛知の酒は特に江戸で飲まれ、「鬼ころし」の愛称で親しまれた。
明治時代、江田鎌次郎が常滑の酒蔵と協力し速醸酛を開発した。
純米酒に向く「若水」、吟醸酒に向く「夢吟香」「夢山水」や、その他「露葉風」「玉栄」などの酒米を開発した。
酒米移入タイプ。
198字

兵庫

日本三大杜氏の一つ「丹波杜氏」による生酛の確立や、灘の蔵元からきょうかい1号酵母が分離されるなどの酒造技術開発、また酒米「山田錦」の発祥地であるなど酒造技術革新をリードしてきた巨大な実績を持つ。
硬水「灘の宮水」の生酛仕込みに代表される飲み応えのある旨辛口が酒質の特徴で、「男酒」と称される。
日本酒・酒造好適米生産量共に全国1位。
「山田錦」は国内生産量の約60%を生産。
自給移出タイプ。
192字

広島

酒類総合研究所有する広島県の日本酒醸造における功績は大きい。
明治期の天才醸造家・三浦仙三郎が、広島の軟水に合う健全で酵素力の強い麹造り、低温長期醪による醸造法を確立し、この技術が吟醸造りのベースとなった。
大正時代にはきょうかい3,4,5号酵母が広島県の酒蔵から採取された。
また広島の酒蔵において高温糖化酛が開発され、吟醸酒用の酒母として多く使用された。
「八反系」の生産が最も盛んな自給移出タイプ。
200字

岡山

岡山県は江戸時代末、岸本甚造により雄町が発見された土地であり、雄町の全国生産数量の内9割以上を生産している。
その日照時間の長さと温暖な気候から「晴れの国」と呼ばれ、雄町の栽培に適した気候風土である。
中でも赤磐郡部で作られる「赤磐雄町」の評価が高い。
酒造りに関しては江戸時代中期、岡山の廻船業の商人が灘へ漂着し酒造技術を持ち帰ったことが始まりとされる。
最盛期には500人以上を誇った備中杜氏が存在した。
200字
※移出超過タイプ

奈良(既出)

奈良県は日本清酒発祥の地とされる。
古墳〜奈良時代にかけて、酒造り専業の役所「造酒司」が設けられた。
大神神社は日本最古の神社と言われ、御神体・三輪山の一部である杉を使って造られる杉玉発祥の地である。
境内には杜氏の祖、高橋活日命が祀られている。
室町時代、菩提山正暦寺でそやし水と呼ばれる乳酸酸性水・生米・米麹を使用した酒母「菩提酛」が確立された。
愛知県発祥の「露葉風」の生産が最も盛ん。
酒米移入タイプ。
199字

高知

紀貫之が土佐日記に「童まで酔っ払って」と記したり、長宗我部元親が「酒は災いの元」と家臣に禁酒令を出すなど、酒飲みの逸話が多く残る。
17世紀初頭、(江戸時代)山内一豊に付き従ってきた酒造業者がその技術を土佐に伝え酒造りが始まった。
近年「吟の夢」「風鳴子」「土佐麗」などの酒米や、セルレニン耐性酵母「CEL酵母」の開発を盛んに行なっている。
酒蔵の連携も強く、「TOSANAKAMASAKE」を結成して活動している。
199字
※酒米移入タイプ

石川

石川県は太閤秀吉が花見で飲んだという「加賀の菊酒」を造ったとされる、古くからの酒どころである。
江戸時代後期には能登杜氏が誕生し、今や三大杜氏に続く杜氏流派として認識されている。
金沢で分離された「金沢酵母」はきょうかい14号酵母として頒布されており、酸が少なく口当たりが滑らかな酒になる。
清酒免許場数のうち半数近くが能登半島に位置し、その他も全体的に海に近い酒蔵が多い。
酒米移入依存タイプ。
194字

山口

山口県は純米酒系生産比率が93%と全国1位、特定名称酒比率は約95%と2位、日本酒生産数量は9位と、県内のとある一社が大きく影響を及ぼしている。
「やまぐち・桜酵母」「やまぐち山廃酵母」「山口9H酵母」「山口9E酵母」などのオリジナル酵母や、山口県オリジナルの新品種酒米「西都の雫」などの開発も盛ん。
酒造好適米の生産に関しては山田錦が約9割を占め、次いで西都の雫の生産が多い。
酒米移入タイプ。
195字

福岡

福岡県は、焼酎文化圏の九州において日本で唯一、焼酎と日本酒の二刀流の県である。
江戸時代中期に始まった酒造りは西南戦争を契機として大きく飛躍し、今では九州全体の約3割を造り、清酒免許場数は全国4位を誇る。
県産オリジナル酒米「夢一献」「吟のさと」や、リンゴ酸高生産のオリジナル酵母「ふくおか夢酵母」などの開発がなされており、中でも糸島産「山田錦」はブランド米として人気を博している。
酒米自給自足タイプ。
199字

秋田

全国でもトップクラスの日本酒消費量を誇り
生産量も全国5位、「美酒王国」を名乗る。
県立の醸造試験場を持ち、県開発の「秋田流花酵母AK-1」がきょうかい1501酵母として頒布されている。
昭和には県内蔵元の醪からきょうかい6号酵母が分離された。
酒造好適米生産数量は東北で最も多く、「秋田酒こまち」の生産が盛ん。
2022年には県産オリジナル酒米「一穂積」「百田」が農林水産省に品種登録された。
自給自足タイプ。
200字
※県内蔵元の多くが横手盆地に集中している。

長野

長野県は飛騨山脈・木曽山脈・赤石山脈を擁し、湧き水が極めて豊かである。
1946年には諏訪の酒蔵から「きょうかい7号酵母」が分離された。
近年、長野県食品工業試験場によって開発された「アルプス酵母」は、「デリシャスリンゴを思わせる香り」のパイオニアとして知られる。
2021年には「GI長野」が県単位で指定されている。
自県開発の「美山錦」の生産数量が最も多く、県外への移出も多い「自給移出タイプ」。
196字

〈その他〉

級別制度について

昭和期には日本酒を、品質が優良な特級、品質が佳良な一級、特級・一級に該当しない二級の三つに分類する「級別制度」が設けられた。
消費者の多くは、贈答用の酒として特級や一級の酒を選ぶ傾向にあったが、1989年には特級が、1992年には制度そのものが廃止された。
その後から現在にかけては、1989年に定められた「清酒の製法品質表示基準」によって、「特定名称の清酒」と「特定名称酒以外」に分類されている。
197字

セルレニン耐性酵母と料理との相性ついて(既出)

セルレニン耐性酵母は別名「香り酵母」と呼ばれ、リンゴ様の香気成分「カプロン酸エチル」の生成量が多い。
カプロン酸を生成する脂肪酸合成酵素を阻害するセルレニンに耐性を持ち、この酵母を使用した酒は華やかな吟醸香があり酸度が低い。
開発当初はこの酵母を使用した酒は夏が越せず香味のバランスを崩していたが、低温貯蔵での流通や保管により解決した。
フレッシュチーズを用いたカプレーゼや生ハムメロンなどと相性が良い。
199字

熊本酵母について

熊本酵母は、「香露」を醸す(株)熊本県酒造研究所が技師長として招聘した「酒の神様」野白金一によって開発され、のちに「きょうかい9号酵母」として頒布された。
野白金一は熊本酵母の開発を始め、日本酒の酒質アップに大きく貢献した。
上記の研究所は、酒造技術向上のため1909年に酒造業者の出資によって設立された「研究所」で、1918年に株式会社化した。
現在も希望する蔵には熊本酵母KA-1などを頒布している。
199字

花酵母について

花酵母は花から分離される酵母で、現在の主流は旧・東京農業大学短期大学部の中田久保教授が分離したもの。
桜やコスモス、ナデシコ、いちごなど約30種類の花酵母が生み出されている。
奈良の「ナラノヤエザクラ酵母」や山口の「やまぐち・桜酵母」など、産官学連携で生み出される動きが活発化している。
花酵母は分離元の花の香りをそのまま生成するものではないが、既存の酵母にはない特徴ある香味を生む可能性を秘めている。
198字

天候が原料米の品質に及ぼす影響について

稲は天候不順の年では冷害となり米の収穫量や等級が低くなる。
一方で極端な猛暑が続くと、未熟な米粒が増える「高温障害」を受ける。
天候は米の収穫量や品質に大きな影響を及ぼし、また登熟期の気温はでんぷんの溶解性に大いに関係するが、その一方で、気象庁アメダスから登熟期の気温を入手したり、酒造現場でもでんぷんの溶解性の分析法を開発するなど、仕込み前に簡易に性質を把握し、その性質に応じた清酒醸造が行われている。
200字

杜氏について

日本酒における醸造責任者である杜氏の下には副リーダーである「頭」、麹造りの責任者「麹屋」、酒母造りの責任者「酛屋」、蒸米担当の「釜屋」、醪の搾り担当の「船頭」などの蔵人がおり、杜氏がそれぞれをまとめる。
古代には酒造りをする女性の役割で「刀自」と呼ばれた。
日本最古の杜氏は高橋活日命である。
丹波杜氏、南部杜氏、越後杜氏を三大杜氏と呼ぶ。
近年では、2006年に下野杜氏が、2013年に富山杜氏が誕生した。
200字

精米方法とその歴史について

古くは碓屋と呼ばれる専業者が足踏み精米を行っていたが、江戸時代末期には灘で水車精米が開発され格段に進歩し、大正期の横型精米機を経て、1933年に登場した竪型精米機が急速に普及した。
精米方法は大きく「球形精米」「原形精米」「扁平精米」の三つで、球形精米が一般的である。
精米歩合は「見掛精米歩合」「真精米歩合」「無効精米歩合」の三つで、見掛精米歩合が一般的。厳密な精米歩合としては真精米歩合が用いられる。
200字

灘の宮水・伏見の御香水について

灘の酒造家がこぞって使用した西宮の水は「宮水」と呼ばれ、醸造に有用なミネラル分を多く含み不要な鉄分が極めて少ない硬水である。
その硬水で造られる酒は酸が効いてキレが良く、辛口酒が多いことから「男酒」と呼ばれた。
京都の伏見では、平安時代に御香宮の境内から湧き出た「御香水」が有名で、これ以外の六つの名水と合わせて「伏見の七つ井」と呼ばれる。
伏見の酒は滑らかで決めが細かいことから「女酒」と呼ばれる。
197字

菩提酛について

菩提酛は室町時代に奈良県の菩提山正暦寺で確立された。
麹米、掛米の両方を精米する諸白造りで、原料米の1割を炊き、残り9割の生米の中に埋めて、そやし水と呼ばれる乳酸酸性水を加えて3日置き、乳酸発酵により乳酸を生成させて酒母を造る製法である。
『多聞院日記』と『御酒之日記』を参考に奈良県の酒蔵と奈良県工業技術センター、正暦寺が協力した研究会により復元され、毎年正暦寺にて菩提酛清酒祭を開催している。
197字

三段仕込みについて

日本酒醪の仕込み方法である「三段仕込み」とは、麹、蒸米、仕込み水を3回に分けて、4日間かけて仕込む方法である。
酵母を健全に増殖させる事で、日本酒醪は酸が少なくpHが高いにも関わらず、腐造を回避できる。
1日目が初添、2日目が踊り、3日目が仲添、4日目を留添と呼ばれる。
留添が醪日数の1日目となる。
初添の高い仕込み温度に対し、留添は醪全体で最低を目標とし、吟醸で6〜7℃、普通酒で7〜10℃と低温である。
200字

アルコール添加とその効果について

アルコール添加の技術は、古くは江戸時代に柱焼酎(粕取り焼酎)で行われた。
アルコール添加したお酒は一般的に「アル添」や「アル添酒」と呼ばれる。
特定名称酒では、大吟醸、吟醸、特別本醸造、本醸造が該当する。
アル添することで、火落ち菌の増殖防止と香り高くすっきりとした味に仕上げる効果がある。
添加用アルコールは上槽の3日前から前日、あるいは直前に加えられ、特定名称酒に使える量は白米重量の10%以下である。
199字

並行複式発酵について

「並行複式醗酵」は、日本酒特有の発酵方式である。
醪内で蒸米のデンプンが麹の酵素(αアミラーゼとグルコアミラーゼ)によって糖化されるのと同時に、酵母によってブドウ糖が消費されアルコール発酵が行われる。
発酵中に蒸米から糖が補充されるため、20%ほどの高アルコールとなる。
アルコール発酵の過程では、アルコールの他に炭酸ガスと熱が生じる。
ワインは単式発酵、ビールは単行複式発酵である。
188字

火入れ酒と生酒について

火入れとは、60〜65度で酒を加熱処理し、「火落ち菌」を死滅させるために行う。
一方で生酒とは、一度も火入れをしていない日本酒を指し、冷蔵管理が大事になるが搾りたての華やかな香味を楽しめる。
火入れ方法として一般的には「蛇管式」が多いが、「プレート式熱変換器」や「パストライザー・ウォーマー」も用いられる。
中でも瓶ごと燗をつけるようにする「瓶燗火入れ」は、手作業で効率は悪いが香気成分が揮散しにくい。
198字

割り水をする酒と原酒

日本酒は世界の醸造酒の中でもアルコール濃度が高く、醪を搾っただけの状態では20%前後にもなる。
そのため、瓶詰め前に15〜16%にするため加水調整を行う。
このことを「割り水」という。
それに対し「原酒」とは、加水調整をしない、もしくはアルコール分1%未満の範囲内で加水調整を行った日本酒を指す。
原酒はオンザロックスや自分の好みの加水調整で楽しまれ、特に近年の「無濾過生原酒」ブームで市民権を得た。
196字

濾過・無濾過について

炭素濾過とは、粉末状の活性炭を酒のタンクに入れ、余分な雑味や色みを吸着させる方法で、無色透明で雑味のない綺麗な味わいになるが、一方で酒の風味も取り除かれてしまう。
現在最も一般的な濾過方法は、滓引き後、濾紙フィルターを装着した濾過機に酒を移す方法である。
対して「無濾過」とは酒税法上の明確な定義はなく、製造者により異なる。
無濾過の酒は近年人気であり、搾ったままの爽やかさや旨味の濃さが魅力である。
199字

滓引きについて

滓とは、でんぷんや不溶性タンパク質、酵母といった濁り部分のことで、低温にしたタンクなどの中で数日静置させ滓を沈殿させることを「滓引き」という。
滓をブレンドしたものや滓引きをせずにそのまま瓶詰めした酒は「おりがらみ」や「おり酒」と呼ばれ、細かい米の破片などを含む滓や炭酸ガス(二酸化炭素)を残し、うっすらと白く濁っている。
滓には旨みと香りがあり、フレッシュ感と滓に含まれる濃厚な風味を楽しめる。
196字

スパークリング日本酒について(2024年度出題)

スパークリング日本酒は、発泡性のある日本酒だ。
フルーティーで低アルコールタイプ、特に甘酸っぱく口当たりの良い品質設計のものが多い。
製法は主に①活性清酒(火入れをしていないにごり酒)、②上槽後、瓶内やタンク内で発酵を継続させ、炭酸ガスを溶け込ませたもの、③日本酒に炭酸ガスを充填して瓶詰めしたもの、の3つである。
②についてはスパークリングワインの製法になぞらえて「瓶内二次発酵」と称されることが多い。
199字

液化仕込みについて

醪の発酵前に蒸米を酵素で効率的に溶かしてから、それを三段仕込みで麹と一緒に醪に添加する製法である。
エステル(果物様)の香りが出やすく、日本酒らしくないという課題があったが、醪の撹拌数の制御などでこの課題を克服した。
メリットは①初期の醪が粥状でなくサラサラしており撹拌や温度制御が容易②従来の日本酒にない香味の可能性と自由度から、新製品の開発に有利③米でんぷんの利用率が高く、経済性(原価率)に優れる。
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熟成古酒について

熟成酒とは、貯蔵方法を工夫し長期間貯蔵することで、新酒にはない味わいを持った日本酒である。
5年以上貯蔵した日本酒は秘蔵酒と呼ばれることがある。
長期間貯蔵することで、メイラード反応により色調が少しずつ山吹色や琥珀色に変化する。
カラメルやはちみつ、木の実やスパイスなど複雑な香りに変化し、複雑さやコク、ボリューム感のある味わいになる。
古酒は純米酒で造られる事が多く、吟醸酒は低温で貯蔵されることが多い。
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赤米酒について

古代米とも呼ばれ、健康食として人気のある玄米の状態で外観が赤い米を日本酒の原料米の一部に用いて造った酒である。
赤米は玄米の色が赤褐色で、果皮・種皮の部分に赤い色素が局在するため、一般の飯米のように「八分づき」にすれば赤い色素を失ってしまう。
赤ワインと同じアントシアニン色素を持つ紫黒米と、タンニン系色素の赤米がある。
果皮・種皮を用いておりポリフェノールの渋味があるため、甘口に仕上げているものが多い。
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以上になります。

過去に出た問題とほぼ同じものも出題されることもあります(問われ方は違えど「泡盛」は2024年度も出題され、過去に合わせて計3度出題)ので、ここに記載のないものと合わせて過去に出題されたものもなるべく覚えきることをオススメします。
また、自分の意見・主張を求められる問いかけも見受けられますので、暗記したものを丸々記入するだけでなく、その問いに応じた自分自身の意見を回答するよう心がけましょう。
少しでも試験を受ける方の助力になれば幸いです。


<参考URL>
https://ethnicsake.blog.fc2.com/blog-entry-166.html#6
https://sushi-blog.com/sakelog/sake-diploma-essay/
https://exam.sakepisode.net

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