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イントロ

わたしの息子たちは、偏食家だ。

第一子の子育てで新米母だったわたしは

白飯以外の離乳食をほとんど受け付けない長男に、

毎日毎食イライラしていた。絶望していた。

なんとか食べてもらおうと工夫を凝らしたおかずも拒絶され、

キレて寝室に逃げたこともあったっけ。

「野菜、食べない、1才」でどれだけネット検索をしたか。

すりつぶしてみましょう、ごはんに混ぜてみましょう、

などいろいろ工夫が書いてあったが、

心のなかで「全部やったけどあかんねん!!」と叫んでいた。

我が家もそうでした!など共感する記事もたくさん出てくるが、

誰かが投稿した「これがうちのこどもの食事でーす」と

ゆでたブロッコリーや人参がごろっと載った

写真映えするプレートも平気な顔してつらつらでてくる。

これがストレスだった。

野菜を食べない子どもの話を100回きいて心平和になっても、

そのばえるプレートの写真1枚で瞬殺。画像の威力はすごい。

「なんでうちの子は・・・」と暗い気持ちになったものだ。

その後、次男、三男と産み落とし、

子どもたちのママと仲良くなり、食事の話をするたびに

よその子が偏食かどうかを知りたくて仕方ない。

「ぜんぜん食べないの」なんて、ほかのママから相談されようもんなら、

「わかるわかる!!」と長男のときの話を

頼まれてもいないのに長尺ですることもある。

ちなみに。

今日のごはん何?という議題は、

ママとの雑談の中では微妙なポジションだ。

というのも、毎日の食事の話って実は、

ママの料理のスキル、育ってきた環境、経済状況などなどを

推し量ることができてしまうので

当たり障りのない話題中心のママとの関係性において

わりと繊細な問題をはらんでいるからだ。

でも、長男のときの苦痛でしかなかった食事作りを思い返すにつけ、

「育ち盛り子どものごはんといえど、こんなものでいい」という、

飾らない、とってもリアルな実録を目にしていたら

ちょっとは楽になれたかもしれないと思うのだ。

というのも、この全国民総SNS時代において

写真映えする食事プレートの画像は出てきても

黄色いおかずしか乗っていないような、子どもの趣向に寄せた

恥ずかしい食事をあえてさらすママなんてほとんどいない。

でも実際は、毎食子どもとバトルするのも辛いわけだから

人に見せられないようなお恥ずかしい食事になっている

家庭はゴマンとある。

子どもの好き嫌いだけでなく、

冷蔵庫の中身、家計、ママの体力の残量。

あらゆるファクターが相まって、日々の子どもごはんは決まっていく。

その作り手の芸術的ともいえる采配によって。

それは、その家庭にしかない色と味。

栄養士が眉間にシワを寄せるようなものでも

ママが子どものためを思って工夫を凝らした集大成なのだ。

「ごはんの写真撮って送ってくれる?」という不躾なお願いに、

「恥ずかしいんだけど」と言いながらも協力してくれたママたちに感謝。

そして、「毎日おつかれさま」という心からの労いの言葉を送りたい。

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