【読書日記】統合失調症の一族【見栄っ張りという病巣】
まだ三分の一ぐらいしか読めていない、厚い本。
精神的な病は、遺伝子によるものなのか、それとも環境によるものかというノンフィクションなのだが、ここまで読んだ中でも、自分の実家を想起させる部分が多々ある。
カトリック信仰を持つ両親のもとで育てられた、12人もの子供達。華やかな生活の陰では、抑圧された兄弟達の鬱憤が充満するが、両親はあくまで社交に精を出す。
青年期以降の子供達は、次々と統合失調症を発症する。
精神的な病気が忌むべきもの、恥ずかしいものと考えられていた時代とはいえ、もはや隠しきれないような状況(成人した息子が近所を徘徊し、何度も警察沙汰になっている)になってもなお、「我が家には何も問題などありません」という態度を一貫して取り付けた両親には、さすがに異常なものを感じた。
家族の問題は、とかく隠匿されやすい。古い家族主義なら尚更だ。とはいえ、決定的な事件が起きても、現実からひたすら目を逸らし続ける両親は、狂気に満ちている。
けれどこの狂気は、自分の実家にも言えることだった。
歪な親子関係。幼稚園から塾に行かせてお受験させて、ここまで課金したからには、もう退くわけにいかないと思ったのか?手元に置いて生殺与奪を握れる子供の方がかわいかったのか?それとも単に、元から娘より息子の方が好きだったのか?
自分の両親の内心はわからないが、私より弟にばかり与えたことは事実だ。そして、私がそれを不満に思っていたことは認識していたのに、ずっと目を逸らし続けていた。
もっと早く話し合ったところで、結果は同じだったかもしれない。けれど、だましだまし過ごした長い年月によって私のストレスは増し、向き合ってもらえなかったことで両親に失望した。
この本の十二人の子供は、上十人が男子で、下二人が女子なのだが、統合失調症を発症したのは上の男子のみである。結果的に、女子二人は精神病の兄達から日常的に安全を脅かされ、親から守ってもらえない子供時代を過ごした。兄達のケアさえ押し付けられた。
息子を溺愛し、娘を搾取する構図も、様々な状況で起きやすい家族の闇なのかもしれないと思う。