愛玩子

標題の言葉を知り、弟はまさに愛玩子なのだなと腑に落ちた。
生活力がなく、仕事も住居も用意してやらなければならない存在ということで、親にとっては永遠のペットのようなものなのだろう。
生殺与奪を握っているという優越感は、我が子が親離れするよりも甘美なのだろうか。
私なら、子供が自立したら、全く寂しくないと言えば嘘になるが、誇らしいと思う。

そういえば母がよく、うちの娘が成長していくのを、「ばあば寂しいわ」と言っている。
「寂しいけど嬉しい」なら理解できるけれど、そういう言い方は絶対にしないのだ。
孫に対しても、成長の喜びよりも愛玩の快の方が優るのだろう。

私の両親は、子供が成長し、自分達と対等な大人同士の関係になることを、恐れている。
私はそうなってしまったから、不要なのだ。
弟のことは、口では「あの子は何もできない」とこぼしつつ、内心はそれを喜ばしく思っているのが伝わってくる。自分達なしでは生きられない赤ちゃんオジサンの面倒を見ながら、終わらない子育てをして一生を終えたらいいと、今は思う。

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