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感情にトントン。

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この世に雲なんてなかったんじゃないかって思うくらい、透き通った空。

そんな空の下で、ぽつり「僕」という未だ意味を持たない存在が、ここに。どこか落ちていたら、僕に教えて欲しい。

パソコンと見つめ合う体力がなくなったときに、会社の屋上に行く。すると、空とか山とか人が、合唱しているような風景が目に飛び込む。静かだけど、賑やかだ。

屋上に行くと思いを馳せる。自分が安全に屋上に立てているのも、これまでの先人が、知識とかスキルのバトンを繋いで、はじめて自分はここに居て、あの風景を見れている。膨大な歴史に想いを寄せる。

さぁそろそろ時間だ。

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児童ホームでは、子どもが来るまでにクイックルワイパーで、床を磨く。スタッフ間では「床磨きといえばキタバくん」という称号まで頂いている。何かの専門性を磨くのは、清々しい。(専門性なのか…)

そんな床磨きに勤しんでいるなか、「ただいま〜」と、みんなが帰ってきた。いつもの児童ホームのはじまりはじまりである。

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児童ホームとは、少しせわしない。学校から児童ホームに帰ってきて、おうちの人が迎えに来るまで、大体4時間ある。その4時間に、子どもはこれほどかと「〜やりたい」を詰め込む。外遊びしたい、あやとりしたい、工作したい、おやつ食べたいなどなど。その他もすることがある。連絡帳を書いたり、ケンカを話し合ったり、宿題したりとか。

つい私もバタバタしてしまう。あわあわする。そんななかで、進級してお兄さんになったBさんが、僕のところにやってきた。

そして、まじまじと私を見て、「イライラしているの?」と聴かれた。私は驚いた。その子は、感情を察することを得意としていない方だと思っていたのと、事柄を聞くことはあるが、感情を聞くこと珍しかった。

そして、ハッとして、ホッとした。
「ほんまやぁ、イライラしてたかもしれへん。ありがとう言ってくれて」

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私は常日頃「どんな気持ちなん?」と聴くようにしている。気持ちを捉えようとする態度は、「その人を人として尊重したい」ことを相手に伝えている。と私は思っている。

そんな想いが返ってきたように感じた。たまたまかもだけど。そして、私はBさんから「感情をもつ1人の人間」として扱われたかのようで、嬉しかった。

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感情が動く、その背景に「何かしらの価値観」が隠れているとしたら

『あなたは、どんな人でもどんな物でも、取り替えることのできない、かけがえのない存在なんだ』って。

そう伝えるために、僕はぽつりと生まれたのかもしれない。

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