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宿題と牛丼と紅生姜

草木の歓声が聞こえる梅雨入り。この喜びは、ドラえもんの道具、グルメテーブルかけで好きなご飯をいっぱい食べられるような期間なんだろうか。私の靴は濡れるが、喜ばしいことである。

「つゆ」という響きが可愛い。「ある2文字を連続で言って、可愛いランキング」があれば、上位を取れると思う。つゆつゆ。かわいい…

つゆつゆ、つゆつゆ、つゆつゆ。

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この前、「なんで一緒に食べるんだろう話」で盛り上がった。

私は、牛丼と紅生姜を一緒に食べるのが苦手だ。小さい頃、親と牛丼屋さんによく行った。その際、親が健康にいいからって、大量の紅生姜をのせてきた。紅生姜屋さんに来てしまったと思わず勘違いするほど、のせてくる。

そんな名残で、私の中では、牛丼と紅生姜は共演NGとなった。お互い決別してしまった。

しかしながら、冷静に考えたら、食べられなくもない。食べようと思ったら、多分食べられる。自分が過剰に「苦手!!!」って思いすぎている自分もいるなぁと思う。なぜ、そんなに過剰にNOだと思っているのだろう。

それは、人生の中で、何度もNOを唱えたからだと思う。牛丼屋さんに行くたび、牛丼の上に紅生姜がダイブするたび、私の心の中で「NOぉぉぉぉ」と何度も叫び続けた。だから、牛丼と紅生姜は、絶対にNO!!と思い込みすぎてるんだと思う。

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児童ホームに、Aさんという方がいる。Aさんの集中力は凄まじい。一つのことにのめり込むと、完成するまで時間をかけて集中力を発揮する。この前は、1人で3つのジグソーパズルを完成させていた。

しかし、嫌なことに関しては、とことんと嫌がる。例えば、宿題である。Aさんにとって、宿題は苦の時間である。「やる気が起きない……」といつも悲しそうに宿題と葛藤している。

ある日驚いたことがある、ふと漢字の宿題を見ると、10ページを超えるお直しがあった。その子がどんな想いで書いたか分からないけど、その字の上に、紅生姜のように真っ赤かに、赤ペンでお直しされていた。それは、日に日に増え、今や30ページのお直しが溜まっていた。

「できない」が溜まっていく。これは、本当に、その子にとって、素敵な時間なのだろうか。その子はきっと「書くことが楽しくない」「漢字は楽しくない」「私は勉強ができない」そんなことを思い込むのではないだろうか。私の牛丼と紅生姜のように。

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その子のペースに合わせる。

入所したてのBさんがいる。その子は、宿題よりも遊びたい気持ちがいっぱいで、静かタイムになっても、あんまり気乗りしない。Bさんは「今日は、宿題しない!!」とよく言っていた。私は「全くやらないのはナシだから、少しでもやって〜」と言う。すると、Bさんは「ひらがなの宿題、1文字する!!」と言って、1文字だけ練習する。

私は、少し動揺する。「1文字かぁ…」と思う。でも、約束は約束だから、遊びたい気持ちを尊重する。そんな日が1週間ほど続いた。

そんなある日、Bさんがこんなことを言った。「今日の宿題は、なんとーーーーー!!4文字します!!!!!」と言い放った。私は、新喜劇のようにこけそうになったけど、踏ん張った。そして、「おぉぉぉ!!今日は4文字かぁぁ!!」と笑い合った。

そして、その日Bさんは、1枚の宿題を終えていた。
きっと、Bさんは、文字を書くことに辛さを感じてないと思う。その日は、きっと書くことが楽しかったのだろうと思う。書けた文字を私に見せて、「キタバさん、これ見てー!」と目を輝かせていた。

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きっと、Aさんにも、こんな時期が合ったはずなんだ。できることが増えいく喜びを感じていた時期が合ったはずなんだ。書くことが楽しかった時期が合ったはずなんだ。いつの日か、タスクになり、書くことが辛くなってしまったのだと思う。

悔しい、なぁ。

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それぞれのユニークな発達をどう支えるのか。
システムをどう変えていくのか、考えていきたい。




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