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欠陥品として生まれ落ちた僕

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「成長って、海の水面をもがいて顔を出すような感覚なんだよね」

友人のたむが言う。


そうかもしれない。私は、これまでもこれからも、普通になりたくて、もがいてきたのかもしれない。少しでも、マシな人間になりたいって、そう、今も思っている。

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欠陥品として生まれ落ちた。

小さい頃から忙しかった。
起きたら、朝ご飯を食べなくちゃいけなくて、学校の準備をしなくちゃいけなくて、勉強しないといけなくて、休み時間を過ごさないといけなくて、帰ったら宿題をしないといけなくて、気づいたら寝ないといけなくて、、、

ちゃんとした大人になるためには、これらをしないといけないらしい。

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今日も
どこかの私は、
欠陥品として、
修理しないといけない
そんな部分を直す一日が始まる。

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欠陥品を卒業したのは、いつの日だろうか、大学4年生の冬に「成長することを辞めよう」と自分に辞表を出した。

でこぼこだった僕は、’’でこ星人’’として生きることを辞め、’’でこぼこ星人’’として生まれ変わった。いや、でこぼこぼこ星人になった。

まだ、脱皮途中だけど。
今までの仮面は、ひどくこべり付いているようだ。

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そんな、でこぼこぼこ星人は、昨日のスーパームーンに心躍っていたが、尼崎のあらゆる建物を登っても、一面雲だった。ぜひ、空気を読む技術を雲に伝授したいものだ。でも、そんな雲も好き。

そして、昨日の児童ホームの出来事を思い返していた。

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『1つのbadの裏に、100のGOOD』

私は、1つの’’あかんやろ’’で、その人の100の良いところが見えなくなってしまう。

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「キタバさん、絵の具で遊んでいい?」

私は子どもの目を合わせることもなく、遠い目で答える。「…いいよ」
だって、片付けが大変なんだもん。

今、児童ホームでは、絵の具遊びがブームで、連日、絵の具と子どもたちはパーティーをしている。しかし、最終、色を混ぜすぎるので、愉快なハロウィンパーティーとなる。100均の紙コップに浮かんでいる気味の悪い色も、なんだか幸せそうだ。

私は、失敗しないように、声をかけまくる。
「ちょっと、床に水こぼれてる、ふいてー」
「そこ置いたら、こぼれるよ」
「ほらー、だからこぼれるって…」

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しかし、ふと気がつく。
僕はどこに目を向けていたんだろう。なんのために絵の具遊びをしているのだろう。なんのために児童ホームをしているのだろう。

それは、BADを子どもに突きつけるためではない。

その人の’’好き‘とか’’好きじゃない’’とか、学ぶって楽しいとか、そんなことを一緒に楽しむために、私はやってるんじゃなかったのかい、と。

「どんな色ができたのー?」
「好きな色どれなんー?」
「何と混ぜたら好きな色になったんー?」
「どんな絵を描いたの?」

私は、目を向けられていたのだろうか。あなたの感情に。
一緒に楽しめたのだろうか。あなたの人生に。

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次は、一緒にパーティーをしよう。審判じゃなくて、ね

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