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2020年暮れ。ある日の事。【HTLV-1キャリアでもある私】回想・・20
*母子感染への偏見について、体験を書きました。お辛くなる方は、お読みになるのをお控えください。
電車に乗っている時であった。 私の通院するA病院の最寄駅で、電車が止まりドアが開いた。
何やら只事でない様子で、大声で話す中年女性と男性のお連れが、私の隣に座ってきた。 女性の方は「HTLV-1になったんなら、子どもなんて産むべきじゃないでしょ!」と激怒している。男性の方は「まあ・・なあ・・。」と下を向いている。続けて、その女性は「私だったら、そうするわよ!」と、勝ち誇ったようにしている。「HTLV-1になったんなら」・・とか、「子どもなんて・・」とか。その言い方にカチンときた!
人として認めないって聞こえる。そのうち、だんだん小声で話していたのでよく聞こえなくなったが、特定の誰かをずっと非難している。身内の方に向けてのことだろうか。病院の帰りなのだろうか。
グサ、グサと言葉がナイフのように突き刺さる。痛い・・。
目の前で起きている事。これも現実なんだ。
けれど、はっきりしている。この人が、絶対におかしい。例え身内であったとしても、他人の出産について何でこの人が決めるんだ。今流行の病の中、HTLV-1関連のご心配まで抱えご出産に向き合う方がいたとして、どんなにお辛かろうかと思う。何故責め立てるのだ。 ムカムカしてきた! 私、何か言わなきゃ!?・・。だめだ。おかしい人に関わるな。感情的になってはいけない・・。もしも話すとしたらどう伝えるべきか?
ところが、私の頭の中では、何も言葉になってこなかった。嫌な人の側を離れれば良いのに、離れるもんか!と踏ん張っている自分もいた。相手の嫌なエネルギーに負けそうになって、耳を塞ぎたくもなっていた。そのお連れさんたちは、次の駅で降りて行った。
まるで、自分の在り方が試されているような出来事だった。
ほんの数分の出来事。その方々が電車を降りた後、深く息を吐いていた。呼吸が乱れていたことに気が付いた。体も緊張していた。その方々に実際に反論しなかった事より、自分の中で、しっかりと反論できる言葉にさえならず怯えていたことが、情けなくて悔しくなった。マスクをしているので助かったが、頑張って止めようとしても、しばらくポロポロと涙が止まらなかった。
歳の暮れも押し迫った12月の出来事だった。