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夫の検査結果【HTLV-1キャリアでもある私】回想・・31

一週間後、夫がHTLV-1感染かどうか、結果を確かめるために病院へ行く。

診察室に入ると、医師は検査結果をみながら、首をかしげているように見えた。

夫は、キャリアでなかった!!

良かった!と感じた束の間、一緒に喜んでくれるどころか・・
夫からの感染であると疑っていた医師の態度から読み取り、私は焦った!
今度は、私の頭から足元をジロジロ見られて、大変に不快であった。
不審な眼差しを向けられていると感じた。

理由がわからず、?????となった私のなかで、ひょっとして、という事が浮かんできた。

息子が、別の男性との子どもであると疑っているのだろうか!?

慌てて「息子は、夫と私の子供なんです。なぜ同じ夫婦でも、感染する子と、しない子が生まれるのか、解明されてないんです!」と話してみる。
医師は不思議そうに、ふーんと呟いただけ。 やはり疑っているのだろうか。。

本当に、本当に、訳の分からない医者に関わるのは、疲れてきた。

「では・・これで。」と診察室を去ろうとしたとき、後背に、その医師からトンデモ発言を、再びされた。

「治療の仕様がないのだから、キャリアなんて、大勢病院に来られたら、病院が潰れてしまう。迷惑だ。キャリアなんて、年一回の市町村の健康診断くらいで良いんだよ。」
もう来ないって事になっているのに・・あなたに会うことないのに・・どこまでも嫌味な医者だ!!

もちろん反論した。キャリアでも、体の不調があり、普段から医療にかかる必要の時があるのだ。
面倒くさいと、あるいはキャリアに関わるのが怖いと、受診拒否をする医者が多い。
患者のせいにしているけれど、では医療体制を、あなたは変えようとはしているのかと、問いたい点である。医者側の倫理観含め、どうなのか。相手が血液内科医という事で、現状を知らなすぎることにも、とても悲しくなった。 そちらは血液検査でさえ、すんなり受け入れてくれなかったのではないか!! 

「治療の仕様がないと仰いましたが、キャリアでも、私は血液を提供することで、医療研究にも参加しています。体調不良で、病院にかかる事はあります。 今は、感染が関東圏にも広がっていて問題にもなってきているんです。風土病でないんです。
少数でも、キャリア・患者のために、日本には頑張っている素晴らしい先生方がいます。」

と最後に告げ、近日中にある「HTLV-1研究者の合同発表会」のチラシをお渡しした。

焦ったようだが、無言で受け取ってくれた。診察室を退出するとき、こちらがあいさつしても、顔をあげずに、不動になりチラシに見入っていた。きっと、学閥かなんか気にしているかもしれないが・・。本当に呆れた医者であった。

今回の医者の態度にも、心は大変に傷付いた。体も痛みさえ感じる。疲れた。こんなこと、いつまで続いてゆくんだろう・・。 私よりも若い世代の事を考えると胸が痛む。

でも、発言したことで、チラシを受け取ってくれたことで、何か相手に響いていた感じはしっかり掴めた。もしも、お渡ししたチラシが、そのお医者の、心のどこかに引っかかって、今後、HTLV-1について気にしてくれるようになったのなら、嬉しいことである。


わかってくれないと腹を立てるだけから、少し抜けてゆく感じがわかった。私のなかで、力が生まれてきていた。
恨みのなかにいるだけでは、辛すぎるのだ。

嫌なことのなかにも、自分自身をわかるという、経験にはなった。


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