本を読んだ。【HTLV-1キャリアでもある私】回想・・25
日沼頼夫先生の本を手にした。『新ウイルスものがたり 日本人の起源を探る』(中公新書)。1986年初版というその本は、1994年まで 何と11刷されていた。
難しい専門用語や、病について、すんなりと理解は出来ていないが、気になり2回も読んだ。日沼先生の文面には、とてもあたたかなお心が伝わってくるのである。ヒトT細胞白血病(ATL)に発病する原因は、HTLV-1ウイルスの感染による事を突き止められた研究者。ノーベル賞候補者でもあったという。ご研究を取り巻く周りの同僚の方々、研究医師の方々とのやり取りが、映像のように見えドキドキしながら読んだ。HTLV-1キャリアについてもお書きになっていて、医療専門のお話の合間に、発病者・キャリアに対するお気持ちが伝わり、私は「ここにもわかって下さる方がいた。」と感激で泣けてきた。お医者の書いた本で泣けるとは、初めてだ。発病者・キャリアが単なる研究対象でなく、「人間なのだ。」としている言葉があった。どこかで疎外されてゆく不安感があったから、心に響いたのかもしれない。 そして日沼先生は、ウイルスの起源を探るべく、国内を旅し、東南アジアを旅し、ご自身の足でも調査に挑まれるのである。地図を片手に、その土地の人々に出会い、和やかに、丁寧に人とお話なさっている日沼先生という方のお姿を、勝手に想像してみるのである。 めちゃくちゃかっこいい。