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価値観をことばに起こすことで。札幌啓成高校FV授業2023
あなたが高校生だったころ、
「あなたは何やりたいの?」と聞かれて困った経験ありませんか。
自分のやりたいこと、見えていましたか。
自分の価値観を言葉で表すことができたでしょうか。
こんな素朴な疑問を大切にしたい。北海道大学社会連携サークルきづききずきでは、2023年度より札幌啓成高校と連携して、講師という形で高校生たちと関わっています。
札幌啓成高校FV
「Future Vision」略してFVと呼ばれる講座。
札幌啓成高校の2年生は探求学習として様々開講される中から、自分の興味があるもの選んで授業を受けます。普通の座学ではなく、夏~冬まで続くアクティブラーニング。これを通じて生徒それぞれが興味を深めていくのです。
2023年、私たち北海道大学社会連携サークルきづききずきでは、対話や個人・グループワークを通して生徒たちの自己理解を促し、生徒自身がよりよく生きることに関する学びを得られるような「個人探求」の講座を開きました。
どうしてこの企画が出来たのか、どんな内容だったのか、どうだったのか?本記事で、お話ししていこうと思います。
「価値観の言語化」企画を実現したくて
社会連携サークルきづききずきが設立されたころ。
「社会に向けて自分たちのやりたいことを考え、実現していく!」そんなサークル活動をするにあたり、自分たちのやりたいことを企画してプレゼンする会が開かれました。
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メンバーの新井くんが持ち込んだのが、
「価値観の言語化」。
きづききずきのFV授業を形づくる土台が築かれました。
この企画をなぜやりたかったのか?
新井くんが語る原体験を覗いてみましょう。
価値観の言語化、その原体験
「あなたは何やりたいの?」と聞かれて困った経験ありませんか。
僕は沢山あります。
私は高校生の頃、大学・学部選択の場面で自分のやりたいことが分からず、とりあえず広い選択肢のあるところに進学しようと思い、総合入試制度がある北海道大学へと進学しました。
大学に入ってからやりたいことを見つけようと楽観的に考えていましたが、結局大学に入っても授業を受けたり、ルーティン的にサークル活動・アルバイトをする日々が続き、「大学生活これでいいのかな?」というモヤモヤを頭の片隅にずっと抱えていました。
その状態で試みたのが、自己分析。
メソッドに沿ってワークを進めることで自分の感性や考え方、興味の対象が可視化されていったとき、そしてそれが腹落ちしたとき、これまでにないワクワク感と安心感を得たのを覚えています。
自身の価値観が言語化されたとき、ありたい自分の姿が見え、今の自分を肯定できたような気がしました。また、自分の得意なことが言語化されたとき、自分がワクワクして熱中できるやり方を見つけたような気がしました。
そこから、社会や他人から評価されなくても、今ある自分を肯定できる感覚と、自分がワクワク感を得る方法を知りました。
と、まあ自己理解(自分らしさを知ること)を通じて自分が言語化されるだけで、人生の明るさが大きく変わるんだということを体感として得た訳です。
色々あって、
自己理解により、社会や他人の価値観を押し付けられて視野が狭まりになっている人の判断軸を自分に戻すことができ、自分らしさを取り戻すことができるし、自分の興味の対象とワクワクするやり方が分かり、自分のモチベーションが上がっていく、
そんな効果があると信じていて、
特に、部活でつらい思いをしても目の前の環境から抜け出せずにいた、そしていざ環境がなくなってしまって自由な選択を与えられると空っぽだった、高校生の頃の自分に自己理解の授業をしてあげたい。
そんな想いがこの企画に繋がっています。
企画を持ちかけ実現したFV授業
この想いを元手に、
繋がりのあった札幌啓成高校の先生へ企画の相談が持ちかけられました。
企画案を出して、
フィードバックをもらって、
アイデアを揉みこんで、
年度明けに札幌啓成高校FVの講座の1つとして実現したのです。
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自己理解、その方法を一緒にやる
FVの授業設計や実際の授業は、この取り組みに興味をもったサークルメンバーを巻き込みながら進められました。
どうすれば自分の理解が進むのだろう、楽しみながら学びを得られる形が作れるのだろう、どんな順番でどんなワークをしてもらうのが効果的だろう…?
新井くんは、自分のやりたい!実現したい!内容と、メンバーが出してくれるアイデアを尊重することのバランスが難しかったと振り返ります。
そのアイデアで自分の成し遂げたい内容になるか?
こだわったからこそ棄却する案もあり、頑固だと思われていたかもしれない笑。
企画の発起人として、自分が責任を持ちながら最後まで進めることは新井くんにとって初めてのこと。どこまで自分の想いをゴリ押せるのだろう?という難しさを知りました。
そんな中で
共通して大事にしていたこと。
その日、その時の授業のなかでどんなことを学んで、それがそれぞれの生徒の将来にどう活きていくのかは冒頭に必ず伝えるようにしていました。
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意外と普段はしっかり説明されない授業の目的。
それを明確に伝えておくことで、参加する講師(きづききずきメンバー)も生徒も同じ方向を向いて学びの場を作っていくことができました。
そして、極力講師のはなしっぱなしにしないように。
生徒たちが自分たちで考えて、自分自身への理解深められるように。ワークシートや小道具を活用。
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時には、私たちきづききずきメンバーもワークに参加。
学校の先生ではなく、大学生という近い立場だからこそ「一緒に考える」時間を過ごしていきました。
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そして毎回の授業で、その日の内容を生徒からフィードバックをもらっていました。FV授業を通じて自分の将来が見えてきた子がいたり、この授業があったことで高校生の人生、心に残るような気づきを与えられたんだな~ということが見てとれたり。
その感想を受け取るのは純粋に嬉しかったし、企画としても評価できると思います。新井くんはしみじみと話します。
伴走していただいた啓成高校の先生からは、
「Aくんはどの授業も寝ているで有名な生徒。でも、FVの時間だけはまったく寝ないで受けていた。そこに感動した。」
そんな高評価をいただいたそうです。
きづききずきメンバーも学ばせてもらった
きづききずきメンバーは、講師として関わってきました。しかし、一番学びを得たのは私たち自身だったかもしれません。
新井くんは、高校生は若くて純粋でまじめで、大学生になって忘れていた純粋な気持ちを思い出させてくれた~と笑います。
FV授業はきづききずきの企画の中では比較的ライトなレベルから関われるものでした。だけれども外部の方に価値提供するという体験ができるものでもありました。
参加してくれたメンバーから「次はこうしたいんです」と話してくれるようになってきたとき、FV授業を通じたきづききずきとしての成長も感じられたのです。
きづき・きずき
新井くんが得た、きづき。
高校生から多くを学んだ。それを、パッと一言でまとめるのは難しいけれどたくさんの良い気づきをもらえたように思う。
一方で、高校生はこんなにも不自由なのかという驚きもあった。
自由に考えていいよ、自由にやっていいよという指示への耐性が無い。
レールが見えなくなったときの歩き方を知らなかったり、自由記述になると書けなくなったり。考え方が型にはまったものしか想い浮かべられなかったり、自由にペアづくりができなかったり。
大学生になればある程度自由にやれる環境があるけれど、高校生はそういった環境がないんだなぁ。
どこかのタイミングで自由な歩き方を知っておかないと、自由が自由じゃない状態になってしまうのではないかな…?
そんなギャップを感じた。
高校、学校教育の中と、外の間にあるギャップ。
この気づきは、2024年のFVに引き継がれています。
今年のFVは、去年よりも補助線を多めにして設計するように意識。自転車の前に補助輪みたいに、段階的な形で、自由な歩き方を伝える時間にしていきたい。
今書いたように、啓成高校でのFV授業は2024年度、2年目の実施が叶っています。
新井くんが発案し、高校、多くのきづききずきメンバー、そして生徒らが協力して良いものとなったFV授業。きづき・きずきとして継続していけるプロジェクトになった。
彼はこう締めくくりました。
自分が卒業したあとも引き継いでいける。それは団体として良いことだ。
きづき・きずきの目玉になるような企画が築けた。そんなところを評価したい。
さらに進化させたFV授業が今、取り組まれています。
おわり。(インタビュー&編集:名畑)
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