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手軽に、映えるモノクロ写真を撮る ~スマホで“それっぽい”モノクロ写真が撮れるアプリ「Hypocam」
■自家現像をやっていた時代
時々モノクロ(白黒)写真を撮りたくなる。
昔(1981~1983年頃)は主に仕事でモノクロフィルム(トライX、プラスX)を使っていた。82~83年にかけてのニューヨーク取材の折には、PENTAX MXとサブ機のコンパクトとしてXA、XA2を使って主にリバーサルフィルムでを使っていたが、時々トライXを入れてモノクロで街並みや人物を撮っていた。
帰国後に1000カット以上あるモノクロフィルムの大半のプライベート写真を、自分で現像しようと思い立ち、現像に必要な機材一式とラッキーの引き延ばし機を新宿のヨドバシカメラで購入し、当時住んでいた自宅の1LDKマンションの寝室を遮光カーテンとセーフライトで簡易暗室化して、せっせと現像・紙焼きに勤しんだ。その後、趣味で写真を撮るようになってからも、出来上がりをコントロールできる自家現像が面白くて、オリンパスXAやコニカBM-301、ペンEE-3などにトライXやネオパンを入れてモノクロ写真を頻繁に撮っていた時期がある。当時長男が生まれたのだが、一眼レフでモノクロ写真を何百カットも撮影した。この頃は、フィルム代を節約するためにトライXの100ft長巻を購入し、自分で空パトローネに巻いて使っていた。
1990年代は、カメラは主に国内外の旅の記録用として使っていたので、撮るのはカラーネガばかり。その後2000年代に入ってデジカメを使うようになっても、ほぼカラー写真しか撮影しない時期が長く続いた。
再度モノクロ写真に目覚めたのは、2012年頃にオリンパス「E-PM2」を購入した時だ。搭載していた「モノクロエフェクト」の「ラフモノクローム(森山大道風写真が撮れる)」と「ドラマチックトーン」が面白くて、街中でモノクロ写真を撮りまくった。そして、2017年に散歩カメラとして富士フイルム「X-E3」を購入した時、フィルムシミュレーションの「モノクロ」がけっこう良くて、時々使っていた。ただ、ここ数年はミラーレスはむろん、日常的にカメラを持ち歩くことすら面倒になり、散歩時のスナップや居酒屋スナップなどはスマホで撮ることが増え、結果モノクロ写真からは遠ざかっていた。
■モノクロ写真を撮る理由
最近になって、ある種の「モノクロ写真ブーム」が起きているかもしれない。最近「PENTAX K-3 Mark III Monochrome」(…実は僕もちょっと欲しい)や「ライカM11モノクローム」など、モノクロ専用デジタルカメラが相次いで発売されこと、ニコンがフラッグシップ機Z8に本格的なモノクロモードを搭載したことなども、モノクロ写真ブームの一因だろう。さらにミラーレス機全般に搭載されているモノクロエフェクトが高機能化して、フィルムライクな画像が得られるようになったことも大きい。特に富士フイルムのカメラの「フィルムシュミレーション」は優秀だ。SILKYPIXなど現像ソフトも高機能化し、様々なモノクロ処理ができる。さらにフィルカメラのブームも、モノクロ写真好きマニアを増やす要因になっているかもしれない。
モノクロ写真を礼賛する写真マニア、カメラマニアは、モノクロ写真の良さに「理屈」をつけたがる(…ような気がする)。
例えば、「モノクロ写真は色が無いゆえに逆に被写体の本質を浮き彫りにする」…なんて論調が典型だろう。
さらに、「モノクロ写真はカラー写真よりも情報量が多い」「モノクロセンサーは高感度」という話でモノクロ撮影の優位性を語る人もいる。確かに、ベイヤー型のセンサーで生成するモノクロ画像は、フィルターを通さないで全画素を使うため、カラー画像よりも多くの情報を含む。またモノクロセンサーを使えば、高感度になることも事実だ。
ただし、人間の目で見る撮影後のモノクロ画像は、それが諧調表示である場合、カラー画像よりもビット数が少ないから、カラー画像よりも「目が受け取る情報量」は少ない。人間の目と脳は、さほど高機能ではない。
余談だが、人間の目の解像能力も意外と低い。視力1.0は30cmの距離で300DPIの解像能力だから、モニター上で等倍で表示して細部を見るというのでなければ、A4に引き伸ばした写真を普通に鑑賞するために必要なデジカメのセンサーの解像度など800~1000万画素もあれば十分だ。4000万画素のフルサイズのセンサーなんて必要ない。
そんな話はさておき、現状で多くのマチュアの写真好き、カメラ好きがモノクロ写真に走るのは、「ノスタルジックな雰囲気」とか「かっこいい写真が撮れる」といった割と単純な理由からだろう。モノクロで撮影するとプロのフォトグラファーっぽい写真が撮れるので、何となく写真が上手くなった気がするのかもしれない。ブログにせっせとモノクロ写真をアップしていれば、カッコつけられるというのもあるだろう。
その程度の動機で撮るモノクロ写真、つまり“それっぽい”モノクロ写真を撮るためなら、わざわざミラーレスカメラを持ち歩くのも、バカ高いライカのモノクロ専用カメラを買うのもバカバカしい。できればスマホで撮りたいものである。
■スマホで”それっぽい”モノクロ写真を撮る
スマホでモノクロ写真を撮影するアプリはたくさんあるが、僕が気にいっているのは「Hypocam」(無料)だ。
エフェクトの調節、フィルターの選択が容易で、独特のUIもおしゃれだ。なんとなく「それっぽい」、ハイコントラストの白黒画像を簡単に撮ることができる。アプリ内課金でフィルターを追加できるが、無料機能部分だけで十分に遊べる。
Hypocamは、iPhone版とAndroid版がある。使い方は簡単で、わざわざ説明するほどのこともないので特に解説はしない。インストール後に起動してみれば、すぐに使い始めることができる。ただ、最初に保存先の設定をしておかないと、スマホ本体のギャラリーに反映されないので、その点だけは要注意だ。
僕は今回、このHypocamを普段サブスマホに使っている古いAndroid端末(Xiaomi Redmi Note 11 Pro 5G:センサーはSamsung S5KHM2 108Mpx)にインストールして、モノクロ専用カメラにしてみた。高性能のカメラ機能を持つ最新機でなくとも、安い中古スマホで十分に楽しめる。この組合わせで適当に撮ったモノクロ写真を掲載しておく。
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