神戸の刺青~2023年10月17日 日本vsチュニジア戦の感想を添えて~

こんばんは。一年以上の無職期間を終えようやくお給料をもらえる立場になったものの、離職期間の長さがヤバすぎて疲れすぎて、休日は基本寝て過ごしてるという本末転倒な北条加蓮Pサッカー部員のkcでっす。
今回は2023年10月17日に神戸で行われました、サッカー日本代表vsチュニジア代表戦から今後の日本代表について語っていく内容となっております。

ここで一点注意点を。私の文章を知ってくださる方がもしいらしたら「あぁ、またふざけた下らない文章を書くんだろう?」と思われるかもしれません。ですが今回はレベルの低いギャグを一切抜いての比較的大真面目に語っていこうと思います。
これで私を知ってくださった方は、普段はこんなにネガティブな人間じゃあないんだよ~ということだけを知っていただければと思います。

まず結論から言います。今回のチュニジア戦、正直やらなかったほうが今後の日本のためになったと思っています。
もちろん神戸サポーターの方にとっては古橋選手の凱旋ゴールは嬉しかったでしょうし、現地で久保選手を含め絶好調の代表戦士たちを見ることのできた方々にとっては一生ものの思い出となった一日だったでしょう。当然私はそれを否定するつもりはありません。

しかし、今後しばらくの日本の二大ミッションであるアジアカップ奪還、そして確実かつ無駄のないW杯出場決定のふたつを睨むという点では今回のチュニジア戦は実に無駄なものでした。理由を述べます。

理由① 5バックの相手をなかなか崩せなかった
これが理由のほとんどを占めます。チュニジア代表は日本と試合をやる前に韓国にて韓国代表とマッチアップしています。
そのときの資料が手元にないのは大変恐縮なのですが、スコア面で言えば韓国が4-0とスコアを見るからに圧倒しているのに対し、日本は2-0。チュニジアの韓国戦時の布陣が分からないとはいえ、日本は韓国より弱いんだという印象を与えてしまっても不思議ではないかと思います。
正直言うとそんなプライドの話はどうでもいいです。これから日本が戦う相手は日本相手に真剣に当たってくる相手ばかりなのは承知の通りかと思います。
彼らは恐らく日本を本気で研究してくるでしょう。日本は今まで世界の強豪とやってきた中で大量得点してきました。ところがそんな日本が一見スコアを取れなかった試合が刺青のように残っている。その相手の中身は何だったのか。その相手(チュニジア)は前半5バックを敷いていたらしい。ならば我々も5バックを終始通して日本から勝ち点1を奪いに行こう! こう思うチームが出てきても全く不思議ではありません。
相手にとっては大きな勝ち点1かもしれませんが、日本にとってアジアの小国に取る勝ち点1というのははっきり言ってハズレくじでしょう。それが積み重なった結果、一気に黄色信号が赤信号に変わっていく未来を私は恐れます。

理由② 相手に得点の香りをわずかでも残してしまった
これはある意味では贅沢ですし、チュニジアという素晴らしいチーム相手には侮辱とも取られかねない表現だとは思います。
ただ、この間の日本とチュニジアには勝ちが明らかに見えるチームと暗闇から抜け出す突破口を見いだせないチームくらいの、人で例えれば人生の勝者と敗者と表現しても差支えがないほどに差がありました。そんな中で89分まで日本は相手のシュートを0に抑える、パーフェクトゲームと言っていい内容のサッカーをしていました。
正直言うと綻びの兆候はところどころにありました。例えば下らないバックパスのミスから嫌な位置からの相手のスローインを誘発したシーン。GKのクリアがスリッピーなピッチに足を取られて攻め込んでいた相手なら確実に失点していたシーンも後半ありました。
サッカー経験者でない方はなかなか分からないものですが、そのような空気というのは確実に残り断ち切るのは難しいものなのです。それは後半アディショナルタイムに相手選手のヘディングシュートがGKの守備範囲を超えてポストに当たるという形で結実します。
結果的に見れば無失点で終えられたのは拍手に値します。ただし、相手のチームはこのシーンを選手に見せてこう言うでしょう。「俺たちは89分間我慢を続けていれば、最後にこういったシーンを演出できるかもしれない。チュニジアは決められなかったが俺たちはヒーローになるためにサッカーをやっているんだ。世界を驚かせよう」と。
アジアの小国には案外侮れないFWが一人はいるものです。私が全知全能の神ならば、彼に野望を持たせることとなったこのシーンを全世界中から消し去りたいほどです。あれはそのくらい日本にとっての刺青となったシュートでした。

以上が理由です。「いやいや、日本は圧倒してたんだからアジア相手に取りこぼすことはないって!」「こんなにすごいサッカーをしているのだから、逆に日本が負ける姿が想像できない……」そう反論する方の声が聞こえてきそうです。私もそう心から思いたいです。

ですが皆さんは忘れてしまったのでしょうか。当時の欧州組で構成された歴代の代表においてもレベルの高い選手で構成された『黄金の中盤』をベースに、圧倒的内容でアジアを勝ち進んできたジーコジャパン。本田圭佑選手と香川真司選手の卓越したキープ力に長友佑都選手が絡み、左サイドに重心をかけてから逆サイドでフリーになった岡崎選手が仕留めるという絶対的武器を手に連勝街道を邁進していたザックジャパン。彼らが本番であるW杯で大コケしたのは周知の事実です。

確かにそれはW杯の舞台でありアジアでの戦績は悪くなかったかもしれません。ただ、今度行われる北朝鮮戦は怪我との戦いと一部で言われているように、サッカー選手というのは怪我をしてしまってはどんなに才能があっても成績を残すのは不可能に近いのです。
もしアジアで無理な戦いを強いられ無理をした結果、今絶対的レギュラーに近づきつつある才能ある選手たちが一生を代償にする悪魔の餌食になってしまったら――それはどんな敗戦よりも悪夢でしかない正夢なのではないでしょうか。

あの試合を楽しまれた方や躍動された選手たちには非常に申し訳ないのですが、このような理屈をこねることが可能になってしまったという意味では、チュニジア戦というのはやらなかったほうがよかったのではないか――それが杞憂であってほしいことを祈る間にキックオフの時は刻一刻と迫って来ています。

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