vol.12『アカ ヨシロウと料理』
はじめに
夫は料理が好きだ。
厳密に言うと、「料理が好き」というより「気になる調理道具を使って料理をするのが好き」といった感じだが。
夫が持っている調理道具は、決して使い回しの利くタイプではない。ものすごくマニアックな道具を使っているわけでもないが、1つの調理工程にしか使えない道具がたくさんある。
例えば、食べ物に燻製の香りを付けるだけの道具だったり、ステーキ肉を柔らかくするために叩く道具だったり。
そんな夫の調理道具一式は使い道が限られているため、日常生活ほとんど使われない。それらは普段、夫に使われる機会を収納棚の中で待つばかりである。
わたしからすれば、そんな使い回しの利かない調理道具は、はっきり言って「お荷物」だ。登場頻度が少ないくせに増えていくばかりのお荷物。引っ越しする度、調理道具が詰まった大きなダンボールが2、3個できると、思わずため息をついてしまう(かさばるし、重いし)。
だが困ったことに、夫が調理道具を手に入れたとき、そしてそれを使って楽しそうに料理をする姿が本当に楽しそうで、明るい良い表情を浮かべるものだから、わたしは何も言えないのだ。
月刊アカ ヨシロウvol.12『アカ ヨシロウと料理』では、料理と大好きな調理道具について語ってもらった。
夫と料理の特集。アカ ヨシロウの強いこだわりが垣間見える料理の話。
アカヨシロウと料理
-よしさんは「食へのこだわり」が強い方だと思うのですが、そのこだわりはいつ頃からですか?
うーん。思い出としてあるのは高校の頃、オフクロが夕飯でステーキと豆ごはんを一緒に出してきて、「ステーキのときは白米だろー!」と言って追加で白米を炊いてもらったときには「あぁ我ながら面倒くさいヤツだなぁ」と思ったのを覚えているかな。まぁ今でもステーキに豆ごはんは許せないんだけどね笑。そう考えるとこだわり無いつもりだったけど、あるのかもしれないね~。
-よしさんには「調理道具が好き」という印象があるのですが、調理道具に惹かれる理由はなんですか?
最初に調理器具として憧れたのは登山道具かもしれないね。ナイフで野菜を切り、バーナーで米を炊く。それに憧れて中学で登山部に入ったんだよなぁ。
僕が調理道具に惹かれる理由は2つあって、1つ目は「もっと料理を深く突き詰めるため」であって、2つ目は「もっと幅広く料理をするため」だね。肉を切るように何種類か包丁を持っているのは前者で、ヌードルメーカーや燻製器などは後者という感じだよ。
-よしさんの「外食」へのこだわりを教えてください。
外食で行くお店は、「①お腹を膨らますだけの目的で食べる店」と「②味わったことのない料理を食べるお店」と最後に「③妥協して行く店」と完全に分けている。①は平日の昼間にいく牛丼なんかがそうで、店も味も知っていてただ安く済ませるためだけに食べていることが多い。②は「お金を払って食べるのだから、自宅では味わえないものを食べよう」という思考で行く店で、僕の中ではラーメンやインドカレーなどのいわゆる専門店になる。③は「旨いとも安いとも思わないが、無性に食べたくなるもの」で、マックのポテトとかがそうだなぁ。
最近は②の思想が強くて、どうせ外食するなら知らない味を知るようにしようと、普段はあまり食べないようなものを食べるようにしているよ。
-よしさんは「自炊」にどんな意識を向けていますか?
学生時代は健康面と費用面で自炊していたけど、最近は料理がうまくなってきて、自炊したほうが楽しいし旨いようになってきたね。
やぁ料理って楽しいんだよね。外食で食べた料理を「うん?これってどうやったら作れるんだ?」と吟味・予想して、それを自宅で答え合わせする。調味料から味を想像して料理をつくり、結果がどう変化したかを楽しむ。実験みたいに考察できるのが楽しいから、美味しかったらバンザイだし、美味しくなくても僕の中ではオッケーなんだよね。
アカヨシロウお気に入り調理道具
我が家にはアカ ヨシロウが取り揃えたさまざまな調理道具がある。アカ ヨシロウお気に入りの調理道具について語ってもらった(妻によるコメント付き)。
フライパン
(↑)写真左から「魔法のフライパン」、「1人サイズのフライパン」、目を見開いたよしさん、中華鍋。
料理でよく使うフライパンは3つ。あと中華鍋が1つか。中華鍋はカホさんに初めてもらった誕生日プレゼント。中華鍋は大きいので、今でも「量」を作る時に重宝している。フライパンは学生時代に買った1人サイズのものと、錦見鋳造㈱の魔法のフライパン、あとステーキ用のフライパン(↓)だ。
それぞれ使うシーンが別れていて、どれも外せないものたちだ。中華鍋もフライパンも鉄製だ。管理が大変だという人もいるけど、個人的にはそんなことないと思っている。テフロンはハゲると使えない一方、鉄製は壊れない。デメリットは重いところか。
以下、妻より
「よしさんが調理道具好きだと気づいたのは中華鍋をプレゼントしたとき。よしさんと付き合いはじめの頃に買った誕生日プレゼントが中華鍋。今までプレゼントしてきたものの中で一番嬉しそうだった。気づけば「魔法のフライパン」やら「ステーキ用フライパン」やらどんどん調理道具が増えていて、引っ越しの度、クソ重いので、今では若干悩みの種(笑)」
包丁
家には包丁が4本あって、学生時代から使っているステンレス包丁、前職時代に買った良い鉄製の包丁、骨を割る時に使うチョッパー、塊肉を処理するときの筋切り包丁だ。まぁこの中でメインに使っているのは2番めの包丁で、チョッパーと筋切り包丁はなかなか日の目をみないね。
(↑)前職の部署とよしさんの名字が刻印されたスペシャル仕様。
やぁよく切れる包丁は料理が楽しくなるから良いんだよなぁ~。包丁はまだまだ欲しいんだけど、きりがないから自重しているんだよね。ナイフもあるし特に困ってはいないんだけど、今は魚のワタ処理とか細かいことをやるようによく切れるペティナイフほしいんだよな~。
以下、妻より
「わたしに包丁へのこだわりはない。切れれば何でもOK。なので家に何本も何本も刃物があることが不思議に思えるときがある。それからわたしは刃物が怖いので、よしさんがテレビを見ながら(よそ見をしながら)果物ナイフで果物を切る姿はいまだに慣れない」
ヌードルメーカー
ひげ剃りメーカーのフィリップスが2014年に出した製品である「ヌードルメーカー」。当時は3万を超える製品で「ヌードルメーカー2が出たら型落ち品が安くなるぞ!」と待っていたものの全く新製品を出す気配がなく、昨年買ってもらった機械(それでも1万円以下まで安くなっていた。)。
やぁ、自宅での製麺はロマンである。デカイし重いしうるさいし、麺を作る間も作ったあとも面倒くさい機械なのだが、やはり楽しいから仕方がない。
「買ったらホントに料理するの?」と言われて購入してもらったが、少なくとも10回は使用したかと。デカイので実家に置いてきたのだが、僕にしてはよく使った機械だと思っている。早く広い家に引っ越して持ち帰りたい。
以下、妻より
「よしさんが3~5年くらい「欲しい」と言っていたアイテム。クリスマスプレゼントとしてプレゼントした気がする。今住んでる家が狭いからわたしの実家に置き去りだけど」
鬼おろし
大根をおろす時に普通の大根おろしだと細かくなってしまうけど、鬼おろしだと大きくおろすことができるから歯ごたえを残すことができるね。なめこやしらすと和えた小皿をだすときに使うよね。
大根は美味しいし冬は安いから大好きなんだけど、最近は大根を一本買うと使い切るのに必死になってしまうからあまり買わなくなっちゃったなぁ。鍋にしたり、煮付けにしたり、鬼おろしを使ったり、一週間が大根まみれになるんだよね。まぁ半分のやつを買えってはなしか。
以下、妻より
「これでおろした大根は美味しい。でも、洗いにくい」
お肉筋きり器
ミートテンダーライザー
出ました!ミートテンダーライザー!ステーキ肉の筋を「ガショーン!ガショーン!」と切っていくアイテムだね。
こいつはな~。使ってないね~~笑。肉汁が出やすくなるし、洗いにくいんだよね。写真を用意しようとしたんだけど、どこにあるか分からなくなってしまったレベルだよ。
以下、妻より
「肉を愛するよしさんらしいアイテム。でも、洗いにくい」
低温調理器
低温調理器いいじゃーん。主にお肉を柔らかくするための機械なんだけど、仕組みを簡単に言えば「筋繊維タンパク質が固くならずにいい感じに変性する温度に保温する機器」だ。牛モモ肉をジップロックに入れて低温調理器で67℃10時間ぐらい処理してから調理する。やぁローストビーフとは若干違う料理になるけど、ジューシーで最高な味がするぜ~。まぁ問題は「低温調理器と肉を入れるだけの容量をもつ大きな鍋がないから作れていない」ってところかな。笑
以下、妻より
「「買っちゃった」とものすごくホクホクした顔で報告されたのが印象的なアイテム。2、3回これを使った料理を振る舞われたが、正直わたしは、これを使ったことによる違いを感じとれていない」
燻製香り付け器
燻製香をつけるためだけのハンディ機械。注意したいのが燻製器ではないところで、あくまで香りをつけるのがポイントだ。
やぁオシャレじゃないー?なかなか使う機会がないけど、ナッツやゆで卵などに簡単に燻製香をつけることができるんだよ?
先で紹介したヌードルメーカーとこの燻製香り付け器は「自分史上最高におすすめな商品3選 in 2018」として動画にまとめたぐらいハマったアイテムだよ~なんだ。(の割には今年全然使っていないんだけどね。)https://note.com/akayoshiro/n/n912a62220104
以下、妻より
「よしさんが一番嬉しそうな顔で使うアイテムだけど、個人的には一番「なにそれ…?」と思った」
サラダ水きり器
野菜を洗った後に水を切るための機器だね。やぁ中華であるひき肉のレタス包みをやりた!いって買ったんだけど、いまだにやってないねぇ。
やぁほら、うちらってサラダ文化がないじゃん?レタスが安い日は他の野菜も安いからさ。そんな日にかぎってひき肉が高かったり。なかなか機会がないんだよな~~。
以下、妻より
「せっかく買ったのだから使いなっせ」
かき氷器
カホさんが夏にかき氷を食べる文化がないようなので購入(してもらった)。
やぁ前々から思ってたけど、かき氷ってたかだか氷を細かくしてシロップかけただけなのに、結構な金額をとるよな~。シロップなんて1回10円くらいだろ?この機械と氷とシロップがあれば、いつだってかき氷が食べれるんだぜ?もうこれがあったら、外食で500円とか払って食べるのがバカらしくならないかい~?(はっはっは。)
以下、妻より
「よしさんへの誕生日プレゼント。夏に聞くことができる騒音。よしさん特製梅シロップをかけて食べると美味」
番外編 お肉専用リュックサック
https://item.rakuten.co.jp/ajmart/10000863/
専用の保冷剤がついていて中身が保冷できる、食料を背負う専用のリュックサック。コレを見つけたときは血が湧いた。うーん、コストコはこーいう商品があるからタマラナイなぁ。
とはいえ食料専門のリュックなのでなかなか日の目をみることがない。このリュックを使うためにも、またお肉会をやろうかなぁ~。
以下、妻より
「コストコで発見したアイテム。保冷機能がついているリュックサックで、夫は「これでたっぷりお肉を買って帰れる!」と大興奮していた」
アカヨシロウレシピ集
よしさんが作る料理は大抵美味しい。時々肉の香りが強かったり、調味料の香りが強かったり(もう少しはっきり言うと「くさい」)するときもあるが、ほとんど美味しい。
そんなよしさんの料理の中で、わたしが「これはめちゃくちゃ美味しい!!!」と思う料理のレシピを教えてもらった。
ローストビーフ
①牛肉はももの塊肉を用意。個人的には肩ロース肉が好きだが、塊でなかなか売っていない。
②にんにく・塩コショウ・ローズマリーなど、好みで下味を付けて半日冷蔵放置。
③常温に戻したら表面をフライパンで焼き色をつける。
④ジップロックに入れてちょっと熱いかな?程度に温めたお湯にドボン。お湯もいい感じに保温。
⑤中心まで熱が通ったかな~と思ったらOK。ソースを自作したい人は自由に作ろう!
【ポイント】
・ローストビーフは薄く切るのがポイント。贅沢な気分になろうとローストビーフを厚く切ると、顎が疲れて苦行となる。柔らかいローストビーフが好みの人はヒレがおすすめ。
・完成したローストビーフは冷ましてから切ったほうが肉汁がでない。個人的には温かいうちに食べたい(冷めるまで待てない)ので、肉汁をビシャビシャにしながら食べてる。
もやしナムル
①もやしナムルをするときは、倍値してでも豆もやしを購入している。(倍値だとしてもたいして高くない)
②たっぷりのお湯で茹でる。湯で時間はおまかせ。僕は沸騰15秒ぐらいか。
③お湯を捨てたらゴマ油・黒酢・ダシダ(牛ダシ素)をいれて和える
【ポイント】
・ダシダ以外でも、粉末の鶏ガラだしとか、ナンプラーを入れたりして工夫すると楽しい。お酢もレモン汁とかにすると東南アジア感が出る。
・ダシダとかナンプラーとか、少しでもクセを出したほうが個人的に好き。
ポトフ
①圧力鍋にキャベツ、ニンジン、ジャガイモ、玉ねぎをゴロッと入れる。
②肉は豚バラでも牛モモでもソーセージでもOK。(ソーセージは爆発するけど、まぁそれもダシがでてOKだと思っている)
③コンソメと、コショウやローズマリー・ローリエなどお好みでハーブを入れる
④加熱もいい感じで。野菜が溶けちゃうのでやりすぎ注意!(こだわりある人は肉と野菜は分けてもいいかもしれません)
【ポイント】
なし。コンソメを入れれば誰がどう作っても美味しい。
梅シロップ
①酸っぱいのが好きな人は青梅、甘いのが好きな人はちょい熟し梅を用意。
②瓶に梅と砂糖をしきつめる。砂糖はショ糖でも黒糖でも氷砂糖でもお好みで。
③冷蔵庫で放置
④梅シロップは掬ってかき氷にかけたり炭酸で割って飲む。
【ポイント】
・ゆっくり作る人は梅をそのまま。急ぐ人は果実を切って入れる。(そのとき種は入れない。)
・砂糖は溶けるまでメッチャ入れる。全部溶けたら追加して入れる。
・梅酒と違ってカビるので定期的に表面をかき混ぜる。砂糖の分量が少ないとカビやすい。
以下、ヨシロウコメント
カホさんが美味しいって言ってくれる料理のレシピを書いたけど、全部放置する系の料理で笑った。
他の料理も考えたけど、そう考えると細かく手の混んだ料理って作ってないんだなぁ~って思ったよ。下味つけて放置して、最後にチャチャッと料理する感。笑
今後はフランス料理みたいに濾したり、整形して固めたり、きれいに盛り付けたり。そんな料理ができるように頑張ろうかな~。
編集後記
「こんな使い方ができるんだよ!」「ほら、こんな料理ができたよ!」「ほら、こんな風に味が変わるんだよ!」と得意げに笑う夫はイキイキとしている。
調理道具を使う夫があまりにも楽しそうに笑うので、わたしは時々、調理道具に嫉妬しそうになる。
そんなわたしだが、今回の記事を書いていて、調理道具に「お荷物だ!」と小言を言いながらも、調理道具をプレゼントとして買い与えているのは自分だなあ…と気づいた。
結局、わたしは楽しそうにしている夫が好きなのだ。そんな夫が好きだから、調理器具が増える現実に頭を抱えつつ、甘々なのである。
今回のテーマについて話したとき、夫は「これでも(買うのを)自重してるほうだよ」と言っていた。今後も、わたしが「???」となるような調理道具が溢れかえるのだろうなと思った。
それでも、夫が楽しく毎日を過ごせるのであれば、それでいい。
次はどんな調理道具で、料理を振る舞ってくれるのだろうか。
photo / sentences / edit: Kaho Katayama
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