vol.2『アカ ヨシロウと音楽』
はじめに
夫は常に音楽を聴いている印象だ。
夫はどこかへ出かけるときには必ず音楽をかけるし、作業中は必ずといっていいほど耳にイヤホンをして音楽で気分を高めながら作業をしている。時々聴いているのが音楽ではなく、ラジオ番組や落語だったりすることもあるけれど、夫が無音の中で何かをしていることはほとんどない。常に音楽と共にある、そんな印象だ。
夫の聴く音楽は、夫を知る人なら誰もが納得するような、そんな音楽ばかり聴いている。明るく、朗らかで、メロディやリズムからネガティブな要素は感じられない(ただし夫は歌詞を聞いて音楽を聞くことがない。そのため実は歌詞がものすごくネガティブだった、という可能性は大いにある)。だから今回の月刊アカ ヨシロウvol.2『アカ ヨシロウと音楽』で、夫の紹介する音楽をぜひ聴いてほしい。前号と合わせて、読むだけで”アカ ヨシロウ”という人物像がわかるはずだ。
夫と音楽の特集。夫が大好きな音楽についての話。
アカヨシロウと音楽
アカ ヨシロウ
1988年千葉県生まれ。フリーライター。前職は食品卸売会社にて輸入肉の仕入れとシステム担当を歴任。趣味は登山と映画鑑賞。好きな言葉は「日々是勉強」「為せば成る」「ケ・セラ・セラ」。
ー結婚3年目を記念して、よしさんのこだわりを紹介するWEB上ZINE『月刊アカヨシロウ』を毎月末刊行することにしました。そのvol.2です!
おおおー、いろんな人に自慢しているけどカホさん仕事が早いなぁ。夫婦の紹介をしていこうなんてつもりだったけど、僕のコンテンツになっちゃったっていうね笑。 やぁ嬉しいですよ。どんどんやってこー!・・・人任せ笑。
ー出会ったときのよしさんに対するイメージが「ずっと音楽聞いてる人」だったので、vol.2の特集を『アカ ヨシロウと音楽』にしてみました。よしさんはいつから音楽好きなの?
中学生ぐらいからかな〜。
男子校だったけど、人並みにはモテたくて。音楽聴いてればカッコつくかな〜と思ってね笑。けど、J-POPばっかり聴いててもモテないような気がしてね。当時はカウボーイ・ビバップみたいな音楽がカッコいいと思ってたかなぁ(画でみるとダサいけど、カウボーイ・ビバップの音楽は今聞いてもいい曲だなぁ)。いろいろ聞く中で、テクノミュージック※1ばっか聞いていたなぁ。
ー学生時代はテクノばっかり聴いてた、と。
男子校だから(モテの)結果は伴わないけど。クラブとかそういうのに憧れてて・・・テクノってカッコよくない?! 当時はダフト・パンクとかファットボーイ・スリムとかを聞いていたなぁ。昔から4つ打ちの元気な曲が好きなんだなぁ。
ーよしさんがテクノ好きだっていうのを当たり前のように受け入れてきたから聞いてこなかったんだけど・・・よしさんにとってテクノの魅力はなに?
ずっとノッていられるところかな〜。
僕が聴くのはインスト※2ばっかなんだけれども、歌詞がないから歌詞を追わないで済む。邦楽聞きながら勉強は出来ないけど、テクノなら問題ないんだよね。学校の時間以外はずっと聴いてたなぁ。もしかすると電車の中とか外を歩いている時に、耳に入ってくる音をシャットアウトしたくて聞いていたのかもなぁ。
ーわたしがよしさんと出会ったとき、よしさんはテクノ聴いてる人っていうよりファンク※3を聴いてる人って印象だったんだけど・・・ファンクはいつ頃好きになったの?
大学生になってからだなー。
テクノもだけど、ノリの良い元気な曲が好きなんだよね。70年代のR&Bが好きなんだけど、底抜けに明るいんだよなー。あと楽器が多彩なのが好き。ロックも元気だけど、ギターとベースとドラムがメインだから楽器の種類が少ないよね。ファンクだとトランペット、サックス、トロンボーンなんか使ったりして。賑やかで楽しいのが好きだな!
ーそういえばよしさんがロック聴いてるとこ、あんまり見たことないや。
正直な話・・・ファンクが好きってよりはロックが苦手かもなぁ笑。ロックってギターばっか強い印象でね~。クラシックギターやジャズギターは好きなんだけど、ロックギターはそうでもないという。「オマエうるさい。前出すぎだから下がってろよ」って思っちゃう笑。いろんな楽器が仲良くしているバンドが好きかなー。(もちろんロックも好きな曲はいっぱいあるし、ロックの範囲も広いけどね。)
ーあ〜・・・わたし、てっきりめちゃくちゃファンク好きな人なんだと思ってた。
もちろんファンクも好きだよ。けど、なるべく色んなジャンルを聞くように心がけているかな~。
ー話は変わるけど、よしさんはわたしたちの結婚式でドラム演奏を披露したんだよね。大学生時代、狭い1人暮らしの部屋にドーンとドラムが鎮座してたのは印象的だった。でも、ドラムを習ってたわけではないんだよね?
そうなんす。結婚式のドラム演奏はハシャイだねー。やぁピアノとかトランペットとかギターとかも触ってはきたんだけどね。ドラムだけが唯一続いた楽器なんだよね。
ホントはジャズピアノとかをオサレに弾きたいんだけど、習ったり練習するのがメンドくさくてね。ほら、ドラムって叩いたら音出るじゃん。見よう見まねでできるのがドラムのいいところだと思うんだよな~。(だからドラムの楽譜読めない。)
ードラムを披露する機会はもうない?
あるよ!やりたい!ピアノも弾きたい!トロンボーンも今度こそ練習する※4!予定はないし、今日はメンドいからやらないけど。←
ーわたし、決してプロ並みの腕前ではないけどピアノ弾けるし・・・よしさんの好きな「Rah Band」の楽曲でも2人で披露してみる?
わー!ありがとう~! 僕の好きなRah BandのPV載せてるー!!ダサいなー笑!このヘナヘナ感が最高にクールなんだよなぁ。いいね。よーし、じゃあ80年代のアナログシンセを買っちゃおうかなー!
僕がキーボードねーー笑!!
※1 テクノとはクラブミュージックのジャンル。アメリカのミシガン州デトロイトを発祥としているとのこと。
※2 インストとは「インストゥルメンタル」の略した和製英語。 ボーカルの入っていない楽曲のこと。
※3 ファンクとは音楽ジャンルの1つ。アフリカ系アメリカ人(黒人)起源のブラック・ミュージックのジャンル。
※4 自宅にプラスチック製のトロンボーンがあり、購入直後から半年近く吹いていない。
アカヨシロウとその妻、シーン別音楽対決!
第2回の対決企画は、音楽好きな2人によるシーン別音楽対決。お題のシーンに合わせた楽曲を厳選して1曲紹介していく。
出会った当初は音楽の趣味が噛み合わなかった2人だが、夫のお気に入りの音楽が隣で流れ続けるという日々が7年も続くと、妻の音楽センスも徐々に変わってくるようで・・・?
<お題>
・2人でお出かけするときに必聴の1曲
・筋トレ・ランニング中に聴きたい1曲
・気分が落ち込んでいるときに聴きたい1曲
・映画込みでおすすめの映画音楽1曲
・自己紹介音楽!(自分を紹介する1曲)
※なお、それぞれが紹介した曲にはリンクが貼ってあります。リンク先はYouTubeやAmazonの視聴できるページなど。ぜひ聴いてみてください。
<2人でお出かけするときに必聴の1曲>
かほセレクト「Hiatus Kaiyote - Nakamarra」
出典元:Amazon Music - Hiatus Kaiyote
かほ「普段2人でお出かけするとき、よしさんに音楽選択権があるから(交換日記参照)全然浮かばなくて焦った(浮かんでもほぼよしさんがわたしにおすすめしてくれた音楽ばっかりだった笑)。でもね、Hiatus KaiyoteのNakamarraを聴きながら、自然たっぷりな場所でハイキングとかピクニックが楽しめたらいいな〜って思った。Hiatus Kaiyoteは音もいいけど、歌詞もステキ。この曲はサビが”I love you”の繰り返しなの。広大な大地を感じるイメージも最高。Hiatus Kaiyoteは全部が最高」
よし「ステキじゃないですか。カホさんらしくていいですね。僕がいつも流している曲が割とアップテンポで元気だから、こんな感じでゆったりドライブしてもいイイね。歌詞もステキだなぁ。このアルバムダウンロードしといてちょー。今度の遠出はどこ行こうかね~。」
よしセレクト「電気グルーヴ - FLASHBACK DISCO」
よし「電気グルーヴのアルバム「VOXXX」がドライブにちょうどよくて、その中の「FLASHBACK DISCO」がアガるんだよなぁ。電気グルーヴの元気で意味のない感じが好きなんだよね。僕がよく聴く音楽はテクノと70年代R&Bが多いけど、電気グルーヴは相当影響を受けたなぁ。縦ノリで運転している僕の画が見えてこないかい~?」
かほ「確かに普段ドライブデートしているときも、気がつくと電気グルーヴの曲が流れたりしてるね!”電気グルーヴの元気で意味のない感じ”ってすごくよくわかる(電気グルーヴさんが”意味のない感じ”って言われてどう思うのかはわからないけど笑)。ただひたすらノリ続けられて、しかも聴いてて全然疲れないのは魅力的だな〜って思うよ」
<筋トレ・ランニング中に聴きたい1曲>
かほセレクト「Yeah Yeah Yeahs - Heads will roll (A-Trak remix)」
かほ「最近ずっと聴いてるのが Yeah Yeah YeahsのHeads Will Roll(A-Trak remix)。リミックス版じゃないHeads Will RollもYeah Yeah Yeahsらしい雰囲気満点。”ちょいダサめ、なのにかっこいい”感じが最高にいいの!でも筋トレ&ランニングってなるともうちょっとテンションをあげたいなって思って、それでリミックス版。4つ打ちだから走りやすいテンポだと思う」
よし「おおおー、結構元気だね。最近カホさんが筋トレやランニングにポジティブになれてるような気がしていいですね。カッコいいし、確かにこの曲で筋トレしたら楽しそうだなー。」
よしセレクト「きゃりーぱみゅぱみゅ - CANDY CANDY」
よし「きゃりーぱみゅぱみゅは結構好きなんだよなー。彼女の曲も元気で明るいのが多いからかな。きゃりーぱみゅぱみゅの曲は全般的に筋トレと相性がいいと思っているけど、「CANDY CANDY」は特にランニングの時に永遠と口ずさめる感じがちょうどいい。♪キャンディーキャンディーキャンディキャンディキャンディー♪ってね。ランニング用のブルートゥースイヤホンが欲しくなってきたね。」
かほ「よしさん、きゃりーぱみゅぱみゅ大好きだよね!一時期2人できゃりーぱみゅぱみゅのMVばっかり見てたときがあった気がする笑。きゃりーぱみゅぱみゅのMVにマッチョな人出てきたりするし、筋トレとかランニングの時にかける音楽として違和感はないね。永遠に口ずさめる感じって、淡々とリズムを崩さず走り続けるランニングにはぴったりかも。わたしも聴きながら走ってみようかな」
<気分が落ち込んでいるときに聴きたい1曲>
かほセレクト「Mitski - Geyser」
かほ「MitskiのGeyserは曲調も歌詞も切ないんだけど、はっきりした歌声が胸に響くというか、最後にギュギュッと詰まったサビに向かうにつれて『うわー、高まるー!!!』みたいな感覚に襲われるの。それが本当に心地よくて好き。テンションがものすごく上がってるときにはあんまり聴かない。でもちょっと落ちてるときとか、テンションを”上げなければ”って考えてるときなんかはよく聴いてるね」
よし「おおー。心に響いて、歌詞だいぶ切ないけどじんわりと高める感じの曲だねぇ。なるほどな~、気分が落ち込んでいる時の捉え方が違くて面白いね。僕は次に挙げるけど、元気がない時はもっと暴力的な音楽(?)を聞いているなぁ。どうでしょう~。」
よしセレクト「Captain Funk - Twist & Shout」
出典元:Amazon | STYLE stage 8 MIX BY CAPTAIN FUNK
よし「実はこの曲、僕が最初にハマった思い入れの深いやつです。この曲を聞いたら元気にならざるをえないというか、踊らざるをえないよね。1曲めにこの曲がはいっているCaptain Funkの「STYLE stage8」ってアルバムは、こんな感じの曲が74分ノンストップで入っているっていう地獄のようなアルバムなんだ笑(「Twist & Shout 」は1曲目)。やぁ中学生の時はこればっか聞いていたなぁ。アップルミュージックに入ってないから、中古でCDまた買おうかな~。」
かほ「よしさんに気分が落ち込んでいるときってあるの?!って思うぐらい明るいね!特に40秒あたりからは”元気にならざるを得ない”って感じがする笑。よしさんが言う通り、わたしの楽曲に比べると暴力的な音楽だね。すごいなあ、落ち込んでなんていられないなあ・・・」
<映画込みでおすすめの映画音楽1曲>
かほセレクト「ハッピー・ボイス・キラー(原題:The Voices) - Sing a Happy Song」
かほ「映画込みでおすすめの1曲ってんでものすご〜く迷ったんだけど、映画『ハッピー・ボイス・キラー』のエンディングを締めくくる楽曲をおすすめすることにしたよ。ただ、まあエンディングなんで、「映画観たい」「ネタバレNG」な人はリンク先に飛ばないで、ぜひ映画を観て味わってね!元々ある『Sing a Happy Song』っていう底抜けに明るい歌を、よくよく考えたらめちゃくちゃ暗いコメディ映画で流すセンス。曲も映画もまとめて大好き!」
よし「映画『ハッピー・ボイス・キラー』は良い映画だよなぁ。言ってしまえばこの曲がオチだからね。やぁホント、イラッとするから皆に見てほしい映画ですな。この曲が好きすぎて結婚式に使っちゃったもんね。O'Jaysの原曲だけど、明るいから結婚式にオススメだね。」
よしセレクト「 MARVIN GAYE & TAMMI TERRELL - Ain't no Mountain High Enough」
出典元:Amazon.co.jp | ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー
よし「僕は映画『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』から紹介しようかな(「Ain't no Mountain High Enough」は挿入歌として使用されている)。やぁ歌詞がいいんだよねー。映画で流れるシーンもこの曲がめっちゃハマるから、初見時に涙が溢れてしまったもんね。この曲も好きすぎて結婚式で使用したっていう。ね。この曲はカラオケで歌えるように練習しよう~。」
かほ「よしさん、結婚式でこの曲流すとき、なんだか演出をこだわりにこだわりまくっていた記憶があります。結構好きだよね。映画『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』はよしさんが大好きな楽曲ばっかりが詰まった夢のような映画だったね。この曲以外の曲でもよしさんノリノリだもんね。にしたってこの曲は本当に歌詞がいい。歌えるようになったらかっこいいね!」
<自己紹介音楽!(自分を紹介する1曲)>
かほセレクト「Björk - It's in Our Hands」
出典元:Amazon.co.jp: Björk- Greatest hits
かほ「自己紹介楽曲って難しいね笑。大好きな楽曲を紹介するというよりは『ああ、かほちゃんっぽい』って言われるような曲を選ばにゃならんと思ってめちゃくちゃ悩んだの。で、浮かんだのが、出会った当初にまんまと『ああ〜・・・っぽいよね』って言われたBjörkの曲。お気に入りは『It's in Our Hands』。よしさんには”サブカルクソ女”って言われてたから、それを象徴する楽曲を選ぼうと思って笑。もちろん今でもBjörk聞いてます。好きです。サブカルクソ女です笑」
よし「おおー、やっぱりカホさんはビョークですな。うーん、ぽいなぁ。やぁ当時カホさんのことをサブカル女と言ったのは、ビョークというかトータルですからね。ファッションから声のトーン、部屋の飾りつけ、見てる映画、そして音楽。別にサブカル女子がどうということはないんだけど(むしろ好み)、当時のカホさんは見事なもんでしたもんね。ビョーク、僕も好きよー。」
よしセレクト「Sly & the Family Stone - Thank you (LIVE ! on soul train ver) 」
出典元:Amazon Music - スライ&ザ・ファミリーストーン
よし「上であんなことを言っておきながら、僕も大概だなぁと。やぁ70年代R&Bが好きなんすよ。明るくて元気だから。このSly & the Family Stoneの「Thank you」は、当時の音楽番組「soul tain」のライブバージョンが特に好きで、演出がサイコーなんだよなー。バンドメンバーが一人ずつ出てくるんだけど、キーボードから始まって、ドラム、ベース、トランペットと繋がってく感じ。1分30秒のところで出てくるヴァイオリンのあんちゃんの目がイっちゃってるんだよなー。男女混合で色んな人種の人がいろんな楽器が演奏するところとかステキだよね。なんか楽しそうだよね。」
かほ「よしさんの印象はやっぱりこれ。よしさんに『これがめちゃくちゃかっこいいんだよ〜』ってライブバージョン見せてもらったとき、『ああ、これがよしさんの”かっこいい”なんだ』って思った記憶がある。で、その”かっこいい”に違和感を全く抱かなかったの笑。よしさんにおすすめの音楽紹介してもらったけど、よしさんを構成する音楽は全部”楽しそう”なのがいいね!」
編集後記
夫の聞く音楽をはじめて聞いたとき、あまりにもテンションが高い楽曲に「この人と付き合っていて身がもつだろうか」と思ってしまったことを覚えている。夫と出会ったばかりのわたしは、非常に元気がなかった。
しかし夫が聞かせてくれる音楽は底抜けに明るいものの、元気のない人を精神的に追い込むような曲ではない。むしろ「そんなこと気にすんな、楽しく生きようぜ」な楽曲ばかりだから、少しずつ心が軽くなっていったのを覚えている。
それはわたしが結局「夫が聞かせてくれる音楽が好きだった」ということなのだろうが、今ではわたしも夫が流す音楽に合わせて体を揺らすほどノリノリである。
夫の聞かせてくれる音楽は、元気をくれる。
気になった楽曲があれば、ぜひ聞いていただきたい。
次回は3月末に刊行予定。
photo / sentences / edit: Kaho Katayama
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