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シベリア鉄道の夜 part1

ロシアに行きたかったのは、シベリア鉄道があったからと言っても過言ではない。響きがカッコいい、旅人って感じがする。じゃあ乗ってみよう。そう思ってチケット取った。あんなでっかい国を横切っている鉄道はどこかロマンがある。端から端まで、つまりは、モスクワからウラジオストクまで、7日か8日かかるのである。途中、みたい都市があったので2回降りた、イルクーツクとハバロフスクだ。

響きはいいのさ、シベリア鉄道って聞くと素敵なもののように思われる。だが、言い方を変えれば、ただの極寒の中走る長距離鉄道。全ては乗ってからわかったんだけど。いいこともちょっとはある。

最初は、モスクワからイルクーツクまでの道のり。ここはかなり距離があり、夜に出発したからか、4泊することになった。冷静に考えると、4泊って全く意味がわからない。エネルギー革命前に戻ったのか、たまに光より速く走っているのか、頭がごっちゃごちゃになるくらい長い。世界ってだいぶ広いのだと実感した。

シベリア鉄道にはWi-Fiはない、自分が地元の人たちと同じ3等席を利用したからなのか、もともと付いていないのかは分からない。その瞬間、アイフォンはアイポッドになった。本当にやることがない。寝ること以外で何が出来るのかを考えて時間を潰す様である。そのうちにトイレに行きたくなった。ここで壁にぶち当たった。乗務員や乗客にトイレはどこだっていう英語が通じなかった。レストルーム、トイレット、バスルームなんか色んな言い方をしてみたが、知らん顔される。絶望。途中で泊まる駅にも降りて見回したがなさそうであった。膀胱が暴れ出しそうになったが、なんとか隣の車両にトイレを発見した。トイレが輝いて見えた。なぜだか分からんが、ドゥシャンの『泉』が頭に浮かんだ。本当に関係ないけど。

次の日もやることはなかった。そして、なかなか食糧が手に入らない。昨日駅で買えた小さいケーキみたいなものを何日にも分けて食べる。全く腹にたまらない。買うときに文字が読めないせいで甘いかしょっぱいかも分からない。完全に運任せ。そんな車内で隣のベッドの4.5歳くらいの女の子がやたら懐いてくる。一緒に塗り絵をしたり、本を読んだりした。ちなみに、自分は読めてない、読めてるフリをしていた。子どもには言語は関係ないらしい。スパシーバの言葉とともにピーナッツとグミをくれた。めちゃんこうまい。星3つ。その子は写真を撮るのが好きみたいで、アイフォンのフォルダがおかけでいっぱいになった。

夜止まった駅で、破れた服を着ているおっちゃんからマスカットを一房買った。皮がとても茶色かった。



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