人は「ととのう」に「青春」を求めているのではないかという話
こんにちは。
みんな大好きサウナの話です。
私はどちらかというとサウナには苦手意識がありました。
昨年7月に滞在した島宿がたまたまサウナー系だったので、貸切個室サウナで倒れたら人生が終わるという緊張感と共に1時間半のサウナを楽しみました。しかしながら7月の割には風が冷たく、ルーフトップの水風呂は諦めてしまいました。
そして今回ジョージアでリベンジ水風呂チャンスが訪れたわけです。
本日はジョージアの素敵なサウナスポットをご紹介しつつ、そこで感じたサウナブームへの考察を書いていきます。
1. サウナのご紹介
今回訪れたサウナはこちらのBanya No.1というところです。
LONDONとTBILISIの2箇所にあるようで、とてもおしゃれで雰囲気の良いところです。
集合場所にもよりますが、首都トビリシを出て車で1時間弱。山を登り雪の積もる中のサウナでした。
ジョージアのサウナに行こうという方の母数は多くないかもしれませんが、せっかくなのでジョージアサウナのおすすめポイントを3つほどご紹介しておきます。
①グランピング気分の映えスポット
ジョージアの街中は、旧市街の石畳のエリアはヨーロッパ感満載なのですが、多くの場所はインドを彷彿とさせるようなアジア感漂う雰囲気です。
しかしながら、例えば夜の公園のライトアップは常に綺麗だし、飲食店街も可愛らしい装飾が施されており、またカジノやナイトクラブなんかも華やかです。日本ともアジアとも違う本場感は、やはり欧州なんだなと感じるところではあります。
サウナも例に漏れず、BANYA以外に聞くスポットもグランピングのような素敵なスポットが多いように思います。基本グループで楽しむようなスポットになっているので、部屋を貸し切って楽しむという空間も、ラグジュアリ感があって日本人も大好きな雰囲気ではないかと思っております。
日本の場合、都内から非日常のキャンプスポットに行こうと思うと少し遠出というイメージがありますが、ジョージアの特に首都トビリシ付近は狭いところに色々なものが密集しており、ちょっと行けばすぐに山やら海やらがあるので、様々な景色を楽しむことができるのが良いところだなと感じます。
私は行ったことがないのですが、メンズの間でも人気のもう一つのスポットもご紹介しておきましょう。
Fibonacciというところで、そのまま湖に飛び込めるというアクティビティとしての楽しさもあります。夏は最高でしょうね。
②妖精さんのような陽気な熱波師
BANYAの話に戻りますが、あそこには熱波師という名の妖精がいました。笑
日本でも熱波師は特集を組まれるなど注目を浴びていますが、タオルではなく様々な香りづけをされた枝(ヴィヒタというそうです)でわさわさと仰いだり冷えた部分に蒸気を送ってくれたりと、エンタテイメント性も高いパフォーマンスでした。
熱い熱いといいつつもとても楽しい時間で、ただ耐えるというサウナとは違い時間が経つのもあっという間に感じました。
少し調べてみたところ、ジョージアのサウナ文化はどうやらロシアから来ているようで、ロシア式のサウナが「バーニャ」というようです。バーニャは日本のドライサウナと比べると温度が低く、湿度が高いという特徴があるようです。
たしかに、日本のサウナより耐えている感覚が少なく、タオルがなくても息苦しさを感じない割に、早くから大量の発汗がありました。みんなで楽しく入っているからあっという間なのかな?と考えていましたが、納得です。日本でサウナはちょっと苦手と思っている方にも、ぜひチャレンジしていただきたいです!(ジョージアですが🇬🇪)
③ワインや食事がセットになってDay Tripに最適
ジョージアといえばワイン。
BANYAの隣にはワイナリがあり、夕方にもなれば山からの夕焼けを楽しみながら、ワイナリのお母さんが作ったジョージア料理とワインを美味しくいただくことができます。
ジョージアのワイナリは探せば山ほど出てくるのですが、日本のように酒造に関する規制のようなものはないようで、普通の家でワインを作ってみんなご自宅で飲んでいます。今回はお腹が空きすぎていて、はじめにご飯をお腹に入れすぎてワインがほとんど入りませんでしたが、山小屋の中で長テーブルで情緒たっぷりの雰囲気で楽しむ料理とお酒は最高でした。(やや寒かったのですが)
秋頃には宿泊施設が近くにできるそうで、1泊でのウィークエンドトリップも楽しめそうです。
他のスポットでも、バーベキューがセットになっていたりと、10名程度のグループで楽しむのに最適なメニューが多いように感じます。少人数でご旅行される方も安心してください。ジョージアには日本人はたくさんいるので、日本人経営のお店等に行くと簡単に出会い一気にコミュニティが広がります。
2. はじめての水風呂、そしてととのう
さて、やっとサウナを体験した話です。
ととのう体験が果たして本当にできているのかはなかなか判断が難しいところですが、ととのったていで書いていきます。
はじめての「ととのう」
サウナ初心者ということで、今回はととのったことすらないですがととのいの一歩先へ導いてくれるという『サウナ〜る』の助けも借りました。CBDオイルを使っているという点に唯一性があり、日本の施設でも導入されていたりするようです。
誤解のないように断っておくと、プロモーションの記事ではありません。
3回のサウナタイムがあったのですが、1回目は水風呂には入らずにシャワーだけと言われたのでそれに従いシャワーを浴びてしばらく休憩。2回目は水風呂にチャレンジしました。3回目は時間がなくなったのでサウナから急いで出て着替えました。笑
外は雪なわけで気温は氷点下でございました。マイナスの外気の中、初めての水風呂に入りました。1分と言われましたが、全身浸かれた自分を褒めて10秒で出ました。驚くほど指先がツーンとなりましたが、意外と入れるものですね。
水着を着ているのですが、バスローブも用意されているのでバスローブを着て外気ならぬダイニングのような休憩ルームでゆったりと過ごしました。
正直なところ、ととのえたかどうかは明確にはわからないのですが、心地よい風に当たってフワーっとした良い気分になったという感覚はあります。これをととのったというのだとしたら、私がそこに感じたものは「懐かしさ」でした。
「ととのう」に感じた懐かしさの正体
この「懐かしさ」の正体が何かはすぐにわかりました。
私は学生時代はずっと運動部に所属しており、特に7歳の頃から始めたバドミントンは海外遠征に行ったりするくらいには熱心に取り組んでいました。
そんなわけで、小学生の頃からハードな練習をしてきたのですが、バドミントンというのは風を受けてはいけないスポーツなので、休憩時間以外はドアも窓も閉め切って、何なら遮光カーテンまで閉めて行うのです。
大きな体育館の場合は、観客席やロビーにエアコンが効いているのでそこまで暑くなることはないのですが、学校の体育館での練習は狭いし壁の向こうはすぐ外なので、夏は地獄のような暑さです。その中でかなりハードに運動をするので、もちろん滝汗ですし体に熱がこもるのを感じます。
学校の体育館を想像してもらいたいのですが、多くの学校では体育館の脇には側面に沿うような通路があり、その通路を風が吹き抜けるようになっているところが多いのではないでしょうか。
練習の休憩時間にその通路に出て風を浴びる時間、それこそ私が水風呂後に感じた感覚でありました。
3. 人は「ととのう」に「青春」を求めている説
前章では私なりの「ととのう」の印象を書きました。
バドミントンは特に、その蒸し暑い体育館と外気という性質にサウナに近いものを感じますが、この感覚は多くの運動部経験者が感じたことのある感覚なのではないかと思っています。
運動で疲労した体の気だるさとは裏腹に、爽快な気分と汗を冷やす風の心地よさ、それはまさに「青春」時代に感じた感覚です。
そこで、ととのいのメカニズムを確認しつつ、青春との関係性を少し解いてみたいと思います。
「ととのう」の仕組み
今では「ととのう」の仕組みも何となく耳にしたこともある方は多いかと思いますが、ととのいは交感神経と副交感神経の切り替えにより発動すると言われています。
サウナで交感神経が優位になり、アドレナリン等のホルモンが分泌されることで心拍を上げます。あたたまった心部体温を冷やそうと心部から表皮へと血流が増加します。その状態で水風呂に入ると、体の表面が急激に冷やされて心部体温が上がることによって、さらに交感神経が活発になります。水風呂から出ると、副交感神経が優位になり心拍や血流も平常時に戻ります。
副交感神経が優位な状態ではリラックスした状態となり、アドレナリン等のホルモン分泌は抑えられます。しかしながら、この変化が短時間に急激に起こるため、水風呂から上がった時にはこれらのホルモンが残った状態が一定時間(2分程度)残り、体はリラックスしつつも普段副交感神経優位の時には発生しない精神状態となるのです。
アドレナリンは、人間が生命維持の危機を感じたときに働くホルモンで、戦闘や逃走のためにやる気を出させるという効果もあるそうです。そんなわけで、リラックスしつつも何だか前向きな良い気分となるのですね。
運動をした時にもアドレナリンが活性化されます。そう考えると、激しい運動やトレーニングの後にクールダウンをした状態というのは、ととのうほどの急激な緩急がなかったとしても、その感覚に近いものだという仮説はあながち間違っていないのではないかと思えてきます。
サウナーは「青春」を求めている説
これは私の勝手な人間に対するロマンの話になります。
サウナが好きな人は、どうしてそんなにハマるのだろうか?と不思議に思ったことがあります。
もちろん健康にも良いですし、「ととのう」という感覚自体も気持ちの良いものだと思うと、マイナスになるものはなさそうなので、単純に健康のために、その感覚を求めて、たびたびサウナに通うというのもわかります。
しかし、今回私の中では「ととのう」と部活の「青春」が結びついてしまったので、そこに一つの仮説を抱きたくなってしまったのです。
私の周りには、学生時代にはバリバリ運動部で頑張っていた方が多く、サウナ好きの人たちを見てもそのような方が多くいます(偏見ではなく私の周りの実態です)。それ故、彼らはサウナそのものへの楽しみと共に、どこかあの青春の懐かしさに焦がれているのではないか、という想像を楽しんでいたりします。
今回私の場合は特にグループでのDay Tripだったので、みんなでワイワイと暑さに耐えている様もまたそれを彷彿とさせたのかもしれません。
4.サウナが教えてくれたこと
最近私は、どのような人生を送りたいかということを考えていたわけなのですが、私がサウナに青春を投影したのも、心のどこかで自分自身が青春を求めているからなのかもしれません。
幼い頃から色々な習い事をしていましたが、私は何かの勝敗や賞を取ることよりも、そこで出会った友人たちと共に練習を乗り越える時間が好きでした。仕事においても、なんだかんだトラブルが発生して集まった深夜の会議室のどこか昂揚した空気がみんなちょっと好きなのです。
青春というのは、年齢に関わらず何かに本気で打ち込んでそれを仲間と分かち合う経験なのかもしれません。
良い年した大人が青春、というのは白い目で見られることもあるかもしれませんが、私はもともとどこかずっと童心を持って生きていたいと思っています。「大人になりたい20代、童心に帰りたい30代」仮説も最近自分の中に持っていたりします。
知り合いが以前「子供を育てるというのは自分の幼少期の追体験をしている気分」というようなことを言っていました。みんながみんなそうではないかもしれませんが、自分の生まれ育ったような環境で子育てをしたいと思う方が多いのもこのような心理によるものなのかなと想像しています。
そして、子供のいない30代はその童心を投影する先もないため、自身の青春を求めているのかもしれない、と思い至ったのです。私だけの感覚かもしれませんが、サウナを通してそんなことを思いながら、自分の描きたい人生の形がまたひとつ見えてきたのでした。
とりとめのないまとめになりましたが、サウナ、機会があればまた行きたいなと思います。サウナーの皆様は、是非ジョージアのサウナにも一度足を運んでみてはいかがでしょうか(雑)。サウナだけではなく、とても魅力のあるところなのでお勧めです!
それでは、今日もありがとうございました。