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私の気胸体験談、そこからの教訓

1度目の気胸のこと

1度目は、夏の暑い盛りの日のことでした。
確か週末金曜日でした。

私は朝から仕事で、直接出先に向かうため、通勤時間の電車を乗り継いで、移動中でした。
当時まだ実家住まいで、出先(客先)までは電車を3つ乗り継いで2時間弱といったところだったでしょうか。同じ県内ではあったものの、かなり交通の便が悪い場所でした。

2つ目の電車に乗り、次の乗り換え駅に向かう途中での事でした。
最初に背中に鈍痛といかないまでも、重怠さを感じ「何かいつもと違うな」と感じました。
別に電車内はぎゅうぎゅうの混雑状態だったという事もなく、他の乗客とぶつかったりもしていません。
猛暑日が続いていたことや、当時仕事がかなりハードワークだったこともあって、疲れが溜まってるのかな、夏バテかな?くらいにその時は思いました。

ただ、そう考えている間にも背中から肩、腕、最後には胸と段階的に重怠さ→鈍痛が伝い、次第に痛みからか呼吸は浅くなりました。立ちくらみのような朦朧とした状態にもなり、どうにか乗り換えの駅で電車を降りた時には、数歩も歩けず、ホームのベンチに座り込み、立ち上がれなくなっていました。

その時点ですぐに病院に担ぎ込まれていればよかったのですが、当時はまだ仕事では1番の下っ端で、出先には打ち合わせのため上司や他部署の上役も参加しており、自分だけ出ない訳にはいかないと、痩せ我慢して上司には遅れる旨の電話を入れ、その後どうにか現地に向かいました。

打ち合わせには遅れて参加できたものの、話は全く頭に入りませんでした。会議終了後に本社へ戻ろうと席を立とうとした時には立ち上がることができず、訝しんだ上司や上役からは直帰で病院に行ってこいと言われました。

そこでようやく自分でも諦めが着いたのですが、そのまま最寄りの病院へ直行、ではなく、自分の足でなんとか電車を乗り継いで地元に帰り(←これが更にダメでした!)、実家近くの病院で診て貰いました。
これにより、思ってもいなかった事態となります。

病院に着いたのはその日の昼過ぎで、その時点で右肺は、胸腔の中で軟式のテニスボールくらいのサイズに萎んでいて、即処置が必要な状態でした。
即日緊急入院となりました。
病名としては、右肺の緊張性気胸でした。

その時診てくれた呼吸器専門の医者に言われたのは、
「危ないね、もう少し遅かったら死んじゃってますよ」

と言う言葉でした。
人生で初めて、自分の判断ミスによって「自分が死んでいたかもしれない」可能性を、人から突き付けられた訳です。

2度目の気胸のこと

2度目はそれから2〜3年後、会社の人事異動で広島に単身赴任した矢先のことでした。
着任しておよそ1ヶ月、少しずつ一人暮らしにも慣れ、たまの祝日を挟んだ3連休で、地元に帰省しようと考えていた週末の夜。

自室で荷造りやら、溜まった洗濯物の始末やらをしていたところ、以前と同じような背中の鈍痛を感じました。
1度目の気胸以降、背中や肩に感じる鈍痛や違和感には敏感になっており「またやったかな?」と気になったものの、その日は帰省前の準備に結果気を取られてしまい、とりあえずその日は早く休もう、くらいに考えて就寝しました。

翌朝、憶えのある息苦しさで目が覚め、洗面台で顔を洗って、少し身体を屈めた際に、左胸の内側で、
「ぶるんっ」
と、今まで感じた事のない体内の振動と、鈍痛では収まらないほどの重い痛みを感じました。この直後から、呼吸をしても充分に息が吸えず、どんどん左胸の内で支えるような圧迫感が増していきました。
これは後から思う推測ですが、この時左胸の胸腔内で、肺が胸腔(胸膜)から一気に剥がれ、空気が漏れ出したのではないかと思います。

即座にスマホで近場の総合病院を調べ、万が一の為に軽く身辺の準備を済ませてから、私は自家用車で病院に向かいました(←これ、かなり危ない!)
休祝日で開いている病院に駆け込んだものの、緊急扱いではないため、受付では順番を待ち、30分ほど待たされた挙句、痛みが限界を迎えた頃にようやく当直医の診察になりました。
この時診てくれた医者からも、前と同じようなことを言われました。

「もっと早く来た方が良かったですね、左胸の気胸ですよ」

今度は左肺が、前回と同じように著しく縮み、重度の気胸の状態でした。

気胸への対処、私の受けた治療

気胸で縮んだ肺は、胸腔内に溜まった空気を抜いてやり、かつ肺そのものに空いた穴を塞がないと、元の形と大きさに戻りません。
私が病院で説明を受けた治療は、大きく3つでした。
※以下、あくまで私個人の体験談によりまとめたもので、正確な医療知識に基づくものではありません。念のため、ご留意下さい。

まず、レントゲンやCTで胸部の状況を確認した上で、
①肺の収縮が軽度で、穴が塞がっていると思しき場合、安静にした上で入院(若しくは通院)にて経過観察を行う。

②肺の収縮が顕著で(中等度〜重度の場合)、胸腔内の空気を抜き減圧するため、胸腔ドレナージ処置を行った上、肺のリーク(穴開き)部分が自然治癒し、肺が膨張/回復するのを安静にして待つ(→つまり、即入院)。

③②でリークが解消されない場合、及び外傷など何らかの要因で緊急に処置が必要な場合、胸腔鏡などによるリーク部分の切除/縫合を伴う手術を行う。(即入院だし、場合によっては開胸手術になる)。

私の場合、1度目と2度目はどちらも②の胸腔ドレナージを即時に実施されました。
局部麻酔の上でなのですが、基本的には、腋の下あたりを数センチ切開した上で、太めの医療用チューブ(ドレン)を差し込まれます。体外に伸ばしたドレンはトロッカーと言われる機材に繋がれ、伸ばしたドレンを経由して胸腔に溜まった空気と排液(血液や体液)が排出される仕組みです。

簡単な仕組みですが、やはり、痛いです。
症例数をこなした事のある医者にかかればスルッと処置が済むのかも知れません。
※たぶん、呼吸器の先生に当たるのが1番ラッキーかもしれませんね。
私の場合、2度目に当たった当直医の先生が、恐らく、あくまで私の主観に基づくものですが、あまり上手ではなかったんじゃないかな…チューブを差し込まれる時、力づくで、とても、とても痛かったのを今でも覚えています。

入院中は、退院するまでは、ドレンが刺さったまま、トロッカーが繋がったままでの生活になります。
食事の時も、着替えの時も、トイレに行く時も、寝る時も一緒。身体にモノが刺さったままの生活は、とてもシンドいです。
たまに身体を捻ったり、咳き込んだりすると、隣でトロッカーから「ゴボゴボッ」と不安にさせるような排出音が聞こえ、そしてまた患部には鈍痛が走ります。
治るまでは静かに。ひたすら安静に過ごして、穴が塞がり、肺が元通りに膨らむのを待つのみです。

ちなみに③の手術による治療は、あくまで医者から説明されたこと、及びネットの記述なので不明瞭な内容もあるかもしれませんが、いずれにせよ体験したくない治療法です。

私の場合、胸腔ドレナージで2回とも済んでいますが、それでも1度目で退院まで7日間、2度目で10日間くらいかかりました。手術になると、恐らくそれよりも入院期間が延びるのではないかと思います(或いは、回復までに時間がかかるか)。
幸いにして今のところ、手術による治療は免れていますが、私自身、2回も気胸を患っており、正直次に可能性がないとは言い切れません。
実際今回、軽度とは言え、3度目やってますしね…。
4度目?え、ヤダ、絶対ヤダ!でも、絶対ないとは言えない…。

気胸になるのは何故だろう、どうすれば回避できるか

他でも話した通り、自然気胸の場合は、直接的な発症の原因となるものはありません。ありませんが、私の場合、1度目と2度目に共通して、最初は背中に違和感を感じるところから始まっています。そしてその前段階として、疲労の蓄積状態が、その少し前から続いているようでした。
この時点で何かしら気付けていれば良かったのだと思います。あくまで私個人のトリガーだとは思いますが、「疲労の蓄積」と「背中(身体)の違和感」はセットでした。身体はサインを出しています。

「おかしいな」と思ったら、直ぐ病院へ行くこと。

当たり前のことなんですが、実際生活をしていると、家庭や仕事を優先しがちで、自分の身体のことには中々気をやることができません。
私は実は、元々学生の頃から、酷く疲れが出ると背中が痛くなることがあり、最初の気胸の時も「いつもと様子が違う」とは思いつつも「まあいつものことだろう」とも同時に思い、仕事を優先してしまい、直ぐに病院へ行くという決断をしませんでした。
※2度目の時、違和感に気付いたのに判断を誤っているのも、多分これと同じです。

1度我慢しちゃうと、我慢って結構続けられちゃうんですよね。同じようなことがあっても「前の時も我慢できたしな」と、また我慢してやり過ごせちゃう。そうやって少しずつハードルが上がって、それが常態化すると、今まで以上におかしな事があっても「自分の感覚がおかしいのかも知れない」とか「ここで穴開けたら周りに迷惑かけてしまうし」と考えて、そうした自分の勝手な思い込みで、異変を揉み消して、更に状況を悪くする。
で、いつかある時に限界を迎えてしまって、大事にぬってしまう。
我慢って、こと自分の健康上の事に関しては、絶対に良くないです。

我慢はやめること

我慢しているうちに、状況は悪化します。
私は1度目の時、おかしいと思いつつも我慢して仕事に向かい、我慢して自力で地元の病院にかかり、時間がかかったことで病状を悪化させました。
2度目の時も、異変には気付いたものの、様子を見ようと我慢をし、翌日悪化してから自分で車を運転して病院に向かいました。これは運転中に意識を失って事故を起こす可能性があり、極めて危険な行為です。
我慢は美徳じゃない、とても危険な行為だと言うことを、私はこの事で学びました。


…うん、学んだハズ、なんだけどなぁ。
もう少し続きます。


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