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禁煙のはなし7 「当時から現在まで」

禁煙開始から10日から2週間ぐらい。禁断症状はまだやってきますが回数は減っていきます。開始当初一日10回程度でしたが、半分ぐらいには減っています。それに、一回一回をちゃんとやり過ごしてきた経験があるので、気持ちの余裕もあります。ここまで来ると、このまま成功するかもしれない。という希望で、毎日の禁煙がやりがいに変わってきました。タバコとライターを持ち歩いていたのに、代替で食べる袋飴を持ち歩く日々に変わりました。ちょっと可愛らし過ぎるけど、結構それも気に入っていました。

2週間を過ぎた頃、ここらへんから禁煙との戦い方は変わっていきます。先に言ってしまうと、とにかく焦りは禁物。激しい戦いは終わって、かなりの長期戦になっていきます。
ここまでやってきた自身もあるし、対処法も心得ています。でもニコチン依存はとにかくしつこい。
順調と思っていたところに強めの喫煙衝動が突然やってくることがあります。「またか、まだなのか、、、。」と思ってしまいます。たばこから離れた所までずいぶん歩いたつもりだったのに、引き戻される気持ちになりました。今まで同様に対処できるのですが、そのしつこさにうんざりすることがあります。
それでも、やりがいの気持ちと、自分が何か変われるような嬉しさがありましたし、新しい毎日を楽しんでいました。

気づくと、2ヶ月が経ちました。ここまでは一応、順調と言っていいかと思います。でもこの後ちょっとしたノイローゼ気味になります。3ヶ月が過ぎても禁断症状はまだあるからです。もちろん回数や程度は減っていますが、本当にしつこい。変化のない毎日に少しうんざりしてきます。
イメージではダイエットの体重変化に近いです。最初の食べないだけ減っていく、運動の分だけ減っていく時期が終わります。右肩下がりだったグラフが、変化が極めて少なくなり、やがて横ばいになります。
あまり気にしなければよかったのかもしれませんが、禁煙がやりがいになって、タバコからの脱却に期待が大きくなってしまったからかもしれません。長い戦いに精神が疲れてきました。
客観的に見れば回復に向かっていることは間違いないのですが、本人にしてみれば、この1ヶ月であまり変化しないように感じていました。3ヶ月も経過すれば禁断症状のまるで無い生活ができると期待していたようです。一般に禁煙書や禁煙サイトなどで、禁煙から3ヶ月ぐらいの様子を読むとずいぶん改善して、楽になったように書かれます。もちろんその通りなのですが、長期戦で消耗してきた状態です。良い捉え方をすれば「禁断症状はほとんどない」ですが、悪い捉え方では「禁断症状はまだまだある」と感じます。本当は変化しているのかもしれませんが、停滞しているようにしか感じられません。出口が遠くに感じられて、地味な辛さが毎日続きました。
僕が次にやっと少し前進したなと感じられたのは4ヶ月目以降のことでした。2ヶ月間の単位でみると、僅かですが変化があったと解ったからです。季節も3月になっていてまた希望をもてる気分になりました。
「ゆっくり付き合えば大丈夫。」今思えば、やっと禁煙の全体像を把握できたのはこの頃だと思います。

そして、この後は特に辛いような思い出はありません。本当にしつこい禁断症状でしたが、ゆっくり確実に減ってゆきます。
5ヶ月、半年。弱い禁断症状ですがまだたまにやってきます。「あぁ、また来たんだね。」ぐらいに余裕で迎えられるようになしました。袋飴を持ち歩くこともなくなりました。

7ヶ月、、、1年。ごく弱い禁断症状が、まだたまに来ることがありますが、むしろ懐かしいぐらいです。

2年、3年、4年、、、。年に一回ぐらい、ふと喫煙の衝動がおこりましたが、もはや禁断症状と言えるレベルではない、ほんとにごく弱いものです。
「僕は今も続けているな。禁煙成功ではなく、卒煙なんだな。」
やっと卒煙の意味がわかりました。

それから、ちょっとした風物詩みたいなものだった、ごく小さい禁煙の衝動すらなくなりました。

今年で10年。

禁煙中によくある話ですが、タバコを吸ってしまった夢を見ることがあります。夢の中でのしまった!とか落胆の気持ち。目が覚めたときの安堵感。時には汗をかいていたり。こんなことも小さなストレスだったこともありました。今もたまにですが、タバコを吸う夢を見ることがあります。あせって起き上がるかというと、夢の中で案外しっかり吸っていたりします。
最初はどっきりする嫌なものでしたが、ある段階から、「ちゃんと油断していない証拠だな。」受け入れて考えるようになりました。あまりしっかり吸っているのもどうかと思いますが、今でも禁煙が続いているなと思える時ですし、当時を思い出すきっかけだったりします。

「禁煙できたなんてすごい!」とか「俺は意志が弱いから無理。絶対できない。」とか言われたりしましたが、いや、すごくもなんともない。と思うだけです。苦労や工夫はあっても、我慢や苦しいだけで乗り切ったわけじゃないので。冷静に見つめたら、逃げ道があったり、やりがいがあったりでした。多分、こんなことを言ってくれる人の禁煙のイメージとは全く違うと思います。なのでこんな風に答えるようにしています。
「肉体改造やダイエットだと思ったほうがいいですよ。」
まず敷居を低く、何回失敗してもいいと僕は思っています。
「少し苦労はあった方が長く続きます。」
簡単では無いけれど、自分の方法で身につけたものは愛おしいし、大切になる。長く続くことも禁煙には大事です。吸わなかった1日がもったいなくて次の1日も頑張れる。同様に1週間、1ヶ月をもったいなく感じたらその分またやれると思います。

本文は当時の自分が知っていたらよかったのに。と思うことを過去の自分に読ませるつもりで書いてきました。専門の禁煙サイトや禁煙書などになかった、あの頃に本当はほしかった情報です。禁煙中に少し先の未来がどんなものか、今の苦労の向こうにどんな事があるのか、メンタルを支える知識が伝われば幸いです。禁煙を考える方、禁煙中の方、禁煙者のまわりにいる方、参考にしていただければと思います。

禁煙のはなし1 「禁煙を楽しもう」
禁煙のはなし2 「“たばこが好き”は言い訳だった」
禁煙のはなし3 「禁煙に失敗した」
禁煙のはなし4 「助走期間」
禁煙のはなし5 「スタート」
禁煙のはなし6 「禁断症状の対処法」 
禁煙のはなし7 「当時から現在まで」
禁煙のはなし8 「大掃除、そして猫はじめました」


■カーキびわ と申します。
現在(2022年)、禁煙歴10年目。喫煙歴は18年くらい。卒煙10年を迎える前に、禁煙やたばこについて思い出すこと、今になって想うことを少しずつ書いております。僕の場合は紙巻たばこの時代の話ですが、どなたかの参考になれば幸いです。

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