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セルフ伝言ゲーム
思い出がパッと出てくる人はすごい。
高校生のころのことを思い出そうとしたけれど、引き出しに全然入っていなかった。自分の経験に対してあんまり記憶力が良くない。暗記は苦手じゃないはずなのに……昔のことをいろいろ喋れる人を尊敬してしまう。
思い出せるエピソードがいつも同じだ。同じものしか残っていないので、繰り返しその話をするしかない。結果、その綱がどんどん強化されていく。なおさらその話をするしかなくなる。
思い出せるものがかなりパッケージ化されてしまっているので、もしかしたら無意識に省略したり盛ったりしていて、それをソースにして語り直して、それを繰り返すうちに、実態とかけはなれているものもあるかもしれない。
自分の中での伝言ゲームなので、誰も訂正してくれない。その場にいた人が証人になれるかもしれないけど、その人も覚えていなかったらもうどうしようもない。やはり何か記録に残しておくにこしたことはないのかもしれないけど、文字で「赤い」って書いておいても、読む人の想像の中ではそれがワインレッドになったりショッキングピンクになったりするかもしれない。
冷凍して解凍して、元の通りの鮮度を維持するにはすごい技術やコストがかかる。それでもたぶん完全に元には戻らない。過去の出来事なんてそこそこ重要度の高いことなのに、それの保存をこんな言葉なんていう精度の低い物に頼って長年生きてきているの、けっこう不思議だ。
今日はここまで。ありがとうございました。