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山羊文学(#ショートショート)
この物語はセンシティブな表現を含みますので、あらかじめご了承ください。
それでは始めます。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーとある国にヤギの群れがあった。
ヤギは集団で生活し移動していく。
オスはオス同士、メスはメス同士に子供を連れていく。ある時、子ヤギがふらふらと足をよろつかせて倒れた。
ヤギたちは一体どうしたのか、あたりを十分に警戒しながらソロソロと集まってきた。
子ヤギに目立った外傷はない。
餌も皆と同じモノを食べたので、食中毒の類でもなさそうだ。
遠くから人間が来たのを群れの一頭が気がついて、周りに合図を出す。
人間は仕留めたと確信しているのか、移動速度は遅い。
倒れた子ヤギに別れの言葉を言う間もなく、皆その場を立ち去った。
翌日、どうしても気になったとみえる夫婦ヤギが、子ヤギのところに戻ってきた。
子ヤギは横たわったままの状態だった。
しかし、近づくとあきらかに何かがおかしい。
腹がえぐられている。
が、いつもの赤い水が出てない。
代わりに茶色の何かが出ている。
夫婦ヤギはお互いの顔を見合わせた。
われわれは傷がつけばその痛みと共に、赤い水がでるはずではなかったのか。
夫婦ヤギが無事なのを確認してから、ヤギの群れが集まってきた。
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一体、あの人間は何をしたのだ。
ヤギ達はザワザワした。
真実を確かめるべく、勇気ある一頭が歩み出て恐る恐るピンク色の舌を出して、茶色の何かを舐めた。「ウメ~」と鳴いた。
が、その後に続くヤギはいなかった。
おしまい。