
カツ丼効果(ショートショート)
「カツ丼食うか?」
取調室で刑事が被疑者に言う。
現代ではカツ丼は大衆化し、
人情を感じさせられる効果は激減した。
今は●TT ●コモの味覚共有技術を使う。
母親の手料理の味、部活の引退試合の後に食べたメシの味、データがあれば再現が可能である。
現代人にとって、ご馳走は多様化している。
思い出の味は、あの頃を振り返り犯した罪を悔いるきっかけになる。
給料日前で財布が寂しい。
それでも、かつやの暖簾をくぐると、カツ丼の香りが空腹を満たしてくれる。
安くて旨くて、ボリュームのあるカツ丼は、私にとって最高のご馳走なのであった。
おしまい。