お絵かき作文ドリル上梓
思考力をつけるためのトレーニングを具体的な形に。
2020年8月7日、朝日新聞出版より、考学舎の教材である、お絵かき作文をドリル化したもの(お絵かき作文ドリル基礎編・お絵かき作文ドリルチャレンジ編)を上梓いたしました。
この教材について簡単に解説しておこうと思います。
この教材の類書は今のところ、「国語が得意科目になるお絵かきトレーニング」(Discover21刊)以外には存在しません。
また、ここ数年で多くの思考力トレーニング教材が発売されていますが、お絵かき作文以外には、具体的なカリキュラムは見受けられません。
多くの教材では、なぞなぞを発展させたようなクイズ形式の問題や関連性を探すトレーニングをするもの、にとどまっています。
これには、思考力をハッキリ定義できていないことが大きく関連するものと思われます。
考学舎では、必要な力を定義することで、それを鍛えるために必要な道具をトレーニングすることができています。
このお絵かき作文ドリルでは、ご家庭で思考力を鍛えることができるのです。
1、思考力とは何か?
考学舎では、思考に必要な基本の力として、知識力(語彙力)、読解力、表現力を掲げています。
1つずつ見てまいります。
知識力 漢字や言葉の意味をはじめ、今、学校でまなぶことはほぼここに当てはまります。理解するにもベースとなる知識は不可欠です。
読解力 物事を聞いたり、読んだり、見たりした際にそれを自分の言葉で言い換え、自分なりに理解する力です。
表現力 正しい日本語で話し、書くことで、正しく人に伝える力です。
今最も、子どもに不足しているのはこの中でも特に読解力です。
これを効率的に鍛えることができるのが、お絵かき作文となります。
2、読解力を効率的に鍛えるために何をすべきか?
読解力は、上記したとおり、見たり聞いたり読んだりしたことを自分の言葉で言い換え、自分なりに理解する力です。
理解できたかどうか、を確認するために、国語の世界では読解問題というのがあります。
しかし、この読解問題は、どのようにして正解に至るのかが千差万別であり、1つの方法論とはならないばかりか、これを正解に導く方法論は、それこそ受験には使えても日常生活や仕事には全く役に立たないものになってしまいます。
理解するプロセスそのものを正しく知り、それを正しく活用できるようになることが大切なのです。理解するプロセスとは、自分が扱える言葉に置き換え、説明できることだと言えます。
これを小学生が実践できるために考えられたのが、絵を文で説明したり、文を絵で説明したりする「お絵かき作文」なのです。
「お絵かき作文」では、簡単な絵から、少しずつ複雑な絵に進みながら、理解する力、説明する力を養います。最初は、青い空に太陽がうかんでいるというシンプルな絵です。そこから、だんだん登場するモノが増え、背景が重層化していきます。これをドリルにあるルールにのっとってこなしていくと、公園で遊ぶ子供たちの様子、という複雑な絵を説明できるところまで進みます。
また、この「お絵かき作文」トレーニングを通し、子どもは、わからないモノ を「わからない」とはっきり認識できるようになります。文章を読んでいると、中にわからない言葉があっても読み飛ばしてしまうことが多くなります。特に読解問題の練習になるような文章では、高校生くらいでもわからない言葉を無視して考えようとしてうまくいかない、というケースが良くあります。仕事の上でも指示の中に知らないことがあるのに読み飛ばしてしまい、トラブルにつながる、ということが頻繁に発生します。
しかし、絵を説明する、文を絵にする、という中では、明らかにある部分が説明から抜けてしまう、ある部分が絵にならない、となるので、子どもも一緒に学ぶ大人も「わからない」をはっきり認識することができます。
わからないモノを「わからない」と認識する習慣をつけることで、文章を読んでも何がわからないのか、を意識することができます。そうすればそれを調べることも、前後の文脈から想像することもできます。
これが言い換えとともに正しく理解するための肝となります。
「お絵かき作文ドリル」では絵から文、文から絵への言い換えを通して、わかるものとわからないものをしっかり区別する術を学ぶことができるのです。
3、その先にあるもの
「お絵かき作文ドリル」チャレンジ編では、最後に6問、チャレンジ問題を掲載しています。
これは、表やグラフを説明してもらう問題、説明文から表を書いたり図を書いたりして問題を解く問題、そして最後には表やグラフから情報を読み取ってもらう問題と進んでいきます。
正しく説明する力をつけた子どもにとって、最近多く課されるようになった、長い説明文のある問題や、表やグラフの読み解き問題は何の苦労もありません。
説明文を読むこと、自分が見たものを言葉にして説明できることが、これらの問題を解くために必要な力、だからです。
もちろん、算数の力(四則計算やグラフや表の基本)は必要ですが、これは学校での勉強で十分に賄える程度の知識です。
絵を描き、そして絵を説明することを繰り返すだけで、理解する力、表現する力、そして、考える力がついていきます。
ぜひご家庭で「お絵かき作文ドリル」をお試しください。
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