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運動習慣を続ける鍵は「つながり」にあり?CrossFitジムが示す新たな可能性
この記事は約7〜8分で読めます。
挫折しがちな運動習慣、突破口は「コミュニティ」かもしれない
忙しい毎日の中、運動を続けようと思っても三日坊主で終わってしまう……。そんな悩みを抱えているビジネスパーソンに朗報です。本記事では、従来型ジムとCrossFitジムにおける「コミュニティ意識」や「社会的資本」の違いを探る研究をご紹介します。もしかしたら、あなたの運動習慣を変えるヒントが見つかるかもしれません。
1. はじめに
こんにちは。私は医療従事者として働きながら、忙しい日常の合間を縫って運動に励む“ビジネスアスリート”です。多くの人が運動の効果を理解しながらも、なかなか続けられないのが現実。その一因として、「一人で頑張る」という孤独感が挙げられます。
一方で、近年ではコミュニティ重視型のフィットネスが注目を集めています。その代表例がCrossFit。高負荷なトレーニングプログラムだけでなく、参加者同士の強いつながりやサポート体制を特長としています。今回取り上げる研究は、なぜCrossFitジムでは継続率が高いのか、その背景にある「社会的資本」と「コミュニティ意識」を探索したものです。
2. 論文の基本情報
タイトル(英語): The role of social capital and community belongingness for exercise adherence: An exploratory study of the CrossFit gym model
タイトル(日本語): 運動習慣の維持における社会的資本とコミュニティへの帰属意識の役割:CrossFitジムモデルに関する探索的研究
ジャーナル名: Journal of Health Psychology, 2018年
著者名: Jessica Whiteman-Sandland(第一著者)、Debbie Clayton(最終著者)
研究機関: Cardiff University
対象: CrossFitジム(CFG)メンバー50名、従来型ジム(TG)メンバー50名
研究期間: 2018年
3. CrossFitとは? 高強度グループトレーニングの概要
CrossFitは、有酸素運動・ウエイトリフティング・体操系運動など、多岐にわたる要素を組み合わせた高強度インターバルトレーニング(HIIT)をベースとしています。クラス形式で1回あたり約1時間、ウォーミングアップからメインワークアウト、クールダウンまでがセットになっていることが多いです。特徴的なのは、参加者同士が声を掛け合いながらトレーニングを行う点で、ジム内には一体感や連帯感が生まれやすいことが挙げられます。
4. 研究の目的・方法
背景
運動継続の難しさ: 従来型ジムでは個人プレーになりがちで、モチベーションを維持しにくい。
CrossFitへの注目: グループエクササイズかつコミュニティ重視のため、運動参加率や継続率が高いのではないかと指摘されている。
研究の目的
CrossFitジム(CFG)メンバーと従来型ジム(TG)メンバーの社会的資本やコミュニティ意識の差異を検討。
これらの要因が運動習慣の継続にどのような影響を与えているのかを探る。
方法
被験者:
CFGグループ(50名)、TGグループ(50名)
年齢層や性別分布は可能な限り均一になるよう調整。
使用ツール:
自己報告式質問票
社会的資本(橋渡し型・結束型)、コミュニティ帰属意識、ジム出席頻度
分析:
各変数の平均値を比較(t検定などの統計手法を用いた有意差の検証)
出席頻度の予測因子として、社会的資本とコミュニティ意識を回帰分析で検討。
5. 橋渡し型社会的資本と結束型社会的資本の違い
橋渡し型(Bridging):
職場や学校など「異なるバックグラウンド」を持つ人同士をつなぐ社会的ネットワーク。異質な人とのつながりからは、新しい情報や刺激、より広範なサポートが得られるという特徴がある。結束型(Bonding):
家族や親しい友人など「同質性の高い集団」の中で形成される強固な結びつき。情緒的な支えや深い信頼関係を築ける一方で、外部との関係形成は限定的になりやすい。
CrossFitジムの場合、メンバーの多様性(年齢・職業・運動経験など)が高いとされ、橋渡し型社会的資本を構築しやすい環境が整っています。また、高強度のトレーニングを一緒に乗り越える体験から、結束型社会的資本も得やすいという両面がある点が注目されました。
6. 研究結果
6-1. 社会的資本のスコア
橋渡し型:
CFG: 27.1、TG: 21.1(p<0.05、効果量d=0.6)
結束型:
CFG: 24.4、TG: 18.2(p<0.05、効果量d=0.7)
いずれもCrossFitジム(CFG)メンバーが従来型ジム(TG)メンバーより有意に高い結果でした。
6-2. コミュニティ帰属意識
CFGメンバー: M=37.0
TGメンバー: M=30.6
p<0.01、効果量d=0.8
6-3. ジム出席頻度
コミュニティ意識や社会的資本は出席頻度自体を直接的に予測する因子とはならなかった。
7. 研究の考察・関連研究とのつながり
CrossFit以外のグループエクササイズとの比較
近年はF45やOrangeTheoryなど、CrossFitと類似した高強度グループトレーニングが人気を集めています。これらも競い合いつつも励まし合う集団のダイナミクスにより、継続を促す仕組みが整えられています。
8. 実践方法と注意点
実践方法
友人や同僚と目標設定を共有
SNSやオンラインコミュニティでモチベーションを維持
運動後の振り返りを行う
注意点
高負荷によるケガのリスクがあるため、初心者は適切な指導を受ける。
過度のトレーニングを避け、適切な休息を取る。
9. まとめ
CrossFitジムのモデルは、単なる運動の場を超えたコミュニティ形成の効果を示しています。個人での運動が難しいと感じている方は、ぜひグループエクササイズやオンラインコミュニティを活用し、「つながり」を力に変えてみてください。
10. 注意書き
本記事は一般情報提供を目的としており、医療アドバイスではありません。運動計画を立てる際は専門家に相談してください。