おカネについて考える ~ 駐在員という選択肢 ~
今回のエントリーではこれまであまり書いたことがなかった、おカネのことについて書いてみたい。
会社員の多くの人たちが、「もっと給料を増やしたい」と思っている。
そう思いながら仕事を頑張るけど、典型的な日本企業に勤める限りはどれだけ頑張っても毎月の給与は変わらないし、たとえ結果を出しても賞与が少し増えるぐらいだ。
欧米系の外資系企業のように、結果を出したらその分だけ収入が増えるようなことはなかなかない。
努力がなかなか収入としては報われない日本企業では昨今の「働き方改革」により、多くの人たちが残業をすることなく、早めにオフィスを出られるようになった。
早く帰れるようになったのはいいけれど、これまで貴重な収入源だった残業代がなくなり、実質的に給与が減ってしまっている。
早く帰れるようになった人たちは副業ブームに乗って、ブログ(アフィリエイト)を始めてみたり、noteを書いてみたり、転売を始めてみたり投資を始めてみたりするけれど、ほとんどの人が大して稼げない。
何とか数千円の収入が得られたけれど、
「けっきょく、(かけた時間の割には)副業って無理ゲーじゃね?」
と思い始める。
「ブログでこんなに稼いだ!」というネット上で叫ぶ人たちの背後には、誰の目にも留まることがない、「ブログでほとんど稼げなかった」というたくさんの屍が存在している。
「この投資の方法で1億円を稼いだ!」という人たちの背後には必ず、同じような投資方法でまったく稼げなかったどころか損を出した、たくさんの人達の屍が存在しているのと同様だ。
ただ、それでも今の副業時代の波に乗り、本当に副業を始めた人たちは何もしていない人たちと比べれば、はるかに意識が高いし行動力があると思う。
だが現実的にはやはり、月に数千円とか1万円ぐらいだと、かける時間に対して得られる報酬は少なすぎると思う。
仕事を頑張ってもたいして給与は変わらないし、残業をしなくなった時間で副業を頑張ってもあまり稼げない。
でもせっかく時間あるのだから、何か有効に使いたい。
そんな意識が高い人たちはどうするのがいいのだろうか?
その答えはもし海外に少しでも興味がある人ならば、
「英語を勉強する」
ことを選択肢の1つとして提案したい。
いま貴方が20代ならもちろん、仮に30歳を過ぎていても、英語を勉強することは経済的にとても合理的な選択だ(参考までに、まったく英語ができなかった自分が英語の勉強を本格的に始めたのは、30歳ぐらいのときだ)。
英語を勉強している時間は当然お金にならないし、色々と学習費用がかかる。
だが英語を勉強してTOEICのスコアをあげていって、その結果として駐在員として海外に行くことができれば、かけた時間と学習費用は一気に回収される。
収入がどの程度増えるかは業界や会社によっても異なるが、一般的に年収は一気に、1.5倍~2倍ぐらいになると言われている(会社によっては2倍以上になる企業もある)。
仕事で結果を出しても年収はあまり変わらないけれど、駐在員になると給与は一気に1.5~2倍ぐらいになるのだ。
たとえ「今は」まったく英語ができなくても、退社後の時間と週末の午前中を費やして英語を勉強して、社内で駐在員の切符をつかむための努力を重ねれば、海外に行くことはできる。
「今は」英語ができない人たちが駐在員になる方法は以前にまとめたので、バックナンバーを記しておく。
「今は」英語ができない人が駐在員の切符をつかむ方法 ~ ローカル社員と駐在員の現実 ~
駐在員は給与が高くなるとよく言われるが、果たしてそれはどのような仕組みになっているのだろうか?
駐在員の給与は「購買力補償方式」という考え方によって決められるケースが多い(他の決め方も存在はしているが割愛する)。
「購買力補償方式」とは簡単に言うと、海外でも日本と同じレベルの生活ができるように保証する仕組みのことだ。
外部のサイトに分かりやすい図があったので引用させてもらう。
ピンクの部分が日本での生計費で、それが生計費指数なるものと為替レートによって現地通貨に換算される。
生計費指数とは、世界の各都市で日本と同様の生活をするためにかかる費用の水準を東京を100として指数化したもので( Japanese Cost Of Living Index の略で「J-COL指数」と呼ばれたりもする)、マーサーやタワーズワトソンなどの世界的な人事コンサル会社が算出し、有料で企業に提供している。
日本での生計費は日本時代の給与をもとに、もろもろの手当を外した基本給を生計費としたり、駐在前の額面の給与×何割(7~8割ぐらい)という計算方法で算出したり、会社によってそれぞれ違う。
たとえば一つの例として、日本時代の生計費が30万円で、生計費指数が150の都市(仮にニューヨークだとする)に住み、為替が1ドル=110円だと仮定した場合、ドル(またはその国の現地通貨)で支給される海外生計費はこのように計算される。
30万円 × 1.5(NY150÷東京100)÷ 110=4,090ドル
ここで大切なことは、この4,090ドル(110円換算で45万円)は手取りベースということだ(さらに家賃も会社持ち)。
手取りで4,090ドルをもらえるのは、多くの日系企業では「駐在員の赴任中の現地の所得税は会社負担」(*)と規定されているためである(勤務する国の税金面の違いにより不平等が生じないようにするため)。
そのため、駐在員は税金面でもメリットがあると言われている。
(*実際には給与の所得税は常に個人に対して課税されるので、会社が税引き後ベースの給与を基に税引き前の額面の給与を逆算して設定する。そのため、所得税は個人ベースできちんと納税される。)
そして、駐在員の家賃は会社持ちである。
住んでいるマンションなり戸建ての契約が個人契約の場合は家賃相当額の手当てが上記の生活費に追加して支払われ、会社契約の場合は会社が家賃を払ってくれる(当然にして、日本企業らしい役職に応じて細分化された家賃の上限はある)。
たとえばニューヨークに駐在員として行くことができれば、家賃が軽く月30万円は超えるタワマンに、会社のお金で住むことができる。
東京時代に住んでいた狭いマンションとは大違いだ。
日々の生活でムダ使いさえしなければ(日本人が駐在するようなアメリカの地域は物価が高いので節約は必要になる)、基本的にお金が貯まっていく。
加えて、基本的にあまり使う機会がない日本の給与口座には、上記の図で示したような、海外赴任手当などの各種手当てが貯まっていく。
毎月貯金が貯まっていけば、年単位ではかなりの額になる。
こうして、日本時代は経済的に報われなかった、英語戦闘力を上げるための修行の日々が報われる。
駐在員になると具体的にどれぐらい収入があがるのかについて、さらに関心がある人たちに向けて、日本を離れる直前の年収とアメリカでの年収を比較しながら、日本時代とアメリカで毎月の給与がどれぐらい変わるのか、自分自身の実例に基づいて説明してみたい。
ここから先は、本気で海外に飛び出したい人たちだけに読んでもらいたい。
きっと、毎日の英語学習の励みになると思う。
最後に、駐在員になればどこの国に行っても、会社によって差異はあれど、それなりに給与が増えることはよく知られている。
海外で働くことに抵抗がない人たちにとっては駐在員としてできるだけ長く働いて、本社に戻ったら海外に関わる部門で2~3年ぐらい働いて、次は他の国に駐在してそこでまた数年働いて、
みたいなことを10年スパンで繰り返すのが、仕事で結果を出すことよりも同期より少し早めに出世するよりも、もっともおカネが稼げる働き方だ。
実際にそういう人たちもたくさん存在している。それはそれで、1つの経済合理的な選択肢だろう。
このnoteが、本気で海外に飛び出したい人たちの励みになれば幸いだ。
ここから先は
¥ 600
この記事が気に入ったらチップで応援してみませんか?